スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ

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スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ
ශ්‍රී ජයවර්ධනපුර කෝට්ටේ
ஸ்ரீ ஜயவர்த்தனபுரம் கோட்டே
Sri Jayawardenepura Kotte
人造湖から見た街並み
人造湖から見た街並み
位置
スリジャヤワルダナプラコッテの位置(スリランカ内)
スリジャヤワルダナプラコッテ
スリジャヤワルダナプラコッテ
スリジャヤワルダナプラコッテ (スリランカ)
スリジャヤワルダナプラコッテの位置(インド内)
スリジャヤワルダナプラコッテ
スリジャヤワルダナプラコッテ
スリジャヤワルダナプラコッテ (インド)
地図
座標 : 北緯6度54分39秒 東経79度53分16秒 / 北緯6.91083度 東経79.88778度 / 6.91083; 79.88778
歴史
遷都 1985年
行政
スリランカの旗 スリランカ
  西部州(スリランカ)の旗 西部州
 県 コロンボ県
 市 スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ
市長 Swarnalatha Silva
スリランカ自由党
地理
面積  
  市域 17.04[1] km2
人口
人口 (2014年[2]現在)
  市域 約128,000人
その他
等時帯 スリランカ標準時 (UTC+5:30)

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテシンハラ語: ශ්‍රී ජයවර්ධනපුර කෝට්ටේタミル語: ஸ்ரீ ஜயவர்த்தனபுரம் கோட்டே英語: Sri Jayawardenepura Kotte)は、スリランカ首都。同国西部に位置する。名称が長いため、通常はコッテまたはコーッテ[3] (Kotte) と略される。

現在の都市名は遷都を決めたスリランカの第2代大統領ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナに由来しており、「スリ(聖なる)・ジャヤワルダナ(勝利をもたらす)・プラ(都市)・コッテ(元々の街の名前)」の意味となる。

概要[編集]

同国西部に位置する旧首都コロンボの中心部から南東に約10kmの地点に位置している。1985年コロンボから遷都されたが、国会議事堂など一部を除き、長らく首都機能の移転は進んでいなかった。2009年内戦終結後は徐々に移転が進められている。

市街地はコロンボから連坦しており、事実上コロンボ郊外の一角を市域とする都市である。

歴史[編集]

コーッテ王国時代の地理(1557年-1565年

1415年コーッテ王国の都となった。この頃は「ジャヤワルダナ」(勝利をもたらす、の意)と称されており、Diyawanna OyaとKolonnawa Oyaの2本の河川が合流し沼地に囲まれ防衛に適したこの地に、王宮要塞が建設された(現在のEthul Kotteの地域)。1565年、内紛により誕生したシーターワカ王国の度重なる攻撃により都市は放棄され、王はポルトガルが守るコロンボに逃れた。

16世紀後半以降は、ポルトガル、オランダイギリスの植民地支配を受ける。植民地時代は「コッテ」と称されていた。1977年、コロンボから首都機能をコッテへ移転する計画が示され、1983年に国会議事堂が完成した。当時のジャヤワルダナ大統領が、かつての都の名称と自分の名前が同じだったため、旧名を復活させた。そのため、街の正式名称が「スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ」(聖なる・勝利をもたらす都市・コッテ)とされた。1985年、コロンボからの遷都が正式に発表された。なお、国会議事堂は、人造湖 (Diyawanna Lake) の中央に位置する島に立地している。

国会議事堂など一部を除き、長らく首都機能の移転が進まない状態が続いてきたが、内戦終結後の2012年には8省庁が入る複合庁舎が完成するなど、徐々に移転が進んできている[4][5][6]

地理[編集]

コロンボ周辺の衛星画像。中央右下の大きな湖の西岸がスリジャヤワルダナプラコッテ

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテはスリランカ南西部の西部州コロンボ県に属しており、州の南北中央西部、県の西部に位置している。北西で旧首都にしてスリランカ最大の都市コロンボと接しており、コロンボ都市圏の一地域を形成する。市の東端にはDiyawanna Lakeという大きな人造湖があり[1]、湖中央の島には国会議事堂が存在している。南西でデヒワラ・マウントラビニアと、湖を挟んで東ではカドゥウェラと接する[7]

地区[編集]

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテは、主に以下の地区から構成される。北部のラージャギリヤ地区には市議会 (Municipal Council) が立地しており、国会議事堂に向かう幹線道路も同地区を通過している。南部のヌゲーゴダ地区にはケラニバレィーラインの主要な鉄道駅とスリジャヤワルダナプラ大学が存在する。

  • Ethul Kotte
  • ナーワラ
  • ヌゲーゴダ
  • ピタコッテ
  • ラージャギリヤ

気候[編集]

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテはケッペンの気候区分では熱帯雨林気候に属す。気温は年間を通して小さな変化があるだけである。湿度は高めだが、2月は例年最も乾燥した月となる。しかしそれでも降水量は63mmもあり、年間を通じて平均降水量が60mmを下回る月はない。

スリジャヤワルダナプラコッテの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
日平均気温 °C°F 26
(79)
26
(79)
27
(81)
28
(82)
28
(82)
27
(81)
27
(81)
27
(81)
27
(81)
26
(79)
26
(79)
26
(79)
26
(79)
降水量 mm (inch) 85
(3.35)
63
(2.48)
112
(4.41)
252
(9.92)
335
(13.19)
195
(7.68)
130
(5.12)
95
(3.74)
165
(6.5)
358
(14.09)
309
(12.17)
153
(6.02)
2,251
(88.62)
出典:Weatherbase[8]

人口動態[編集]

ヌゲーゴダ地区

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテには、複数の民族・宗教が混住している。最も多いのはスリランカの主要民族であるシンハラ人で、その他にタミル人ムスリムマレー人バーガー人といった人々が居住している。ムスリムとタミルの大半はラージャギリヤ地区に居住する。その他、中国人やマレー人、それにインドを起源とする人々の小さなコミュニティが存在する。2001年国勢調査で示された民族・宗教構成を以下に示す。なお、2014年時点での人口は約12万8千人[2]

民族[編集]

民族別の人口(2001年)[9]
シンハラ 101,331 (87.49 %)
スリランカ・タミル 6,583 (05.68 %)
スリランカ・ムーア 4,031 (03.48 %)
バーガー 1,367 (01.18 %)
スリランカ・マレー 919 (00.79 %)
インド・タミル 786 (00.68 %)
スリランカ・チェティ英語版 65 (00.06 %)
Bharatha英語版 57 (00.05 %)
その他 687 (00.59 %)

宗教[編集]

宗教別の人口(2001年)
仏教 93,364 (80.6 %)
カトリック 8,659 (07.5 %)
イスラム教 5,465 (04.7 %)
ヒンドゥー教 4,550 (03.9 %)
その他のキリスト教 3,618 (03.1 %)
その他 170 (00.2 %)

その他[編集]

  • スリ・ジャヤワルダナプラ総合病院は、1983年日本の無償協力プロジェクトによって建てられた病院である。約1000床のベッドを有しており、建設当時スリランカ最大規模の総合病院となった[10]
  • 人造湖の周囲を巡る道路に、Sri Lanka Nippon Mawatha(スリランカ日本通り)という名称が付けられている。
  • 世界で最も長い首都名だと思われがちだが、現地語での正式名称ではバンコクの方が長い。

施設[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b City Profile - Sri Jayawardenapura Kotte Municipal Council” (PDF) (英語). 国際連合人間居住計画 (2003年10月). 2013年1月20日閲覧。
  2. ^ a b スリランカ民主社会主義共和国の基本情報”. 国際労働財団. 2021年1月9日閲覧。
  3. ^ 地球の歩き方 D30 スリランカ 2011~2012年版. ダイヤモンド社. (2011). pp. 105-107. ISBN 978-4-478-04145-1 
  4. ^ The Sethsiripaya development project. Stage 2” (英語). LankaEstate.Net. 2013年6月14日閲覧。
  5. ^ Sethsiripaya administrative building complex 2nd stage” (英語). GovLk.com (2012年5月19日). 2013年6月14日閲覧。
  6. ^ ただし、このSethsiripaya庁舎自体はラージャギリヤ地区の東、湖東岸のカドゥウェラ市に立地している。
  7. ^ සිගියම්” (英語). Kaduwela Municipal Council. 2014年1月20日閲覧。
  8. ^ Kotte, Sri Lanka Travel Weather Averages” (英語). Weatherbase. 2013年1月22日閲覧。
  9. ^ Population by Ethnicity according to D.S. Division and Sector: Colombo District (Provisional)” (英語). Census of Population Housing 2001. スリランカ統計局 (2001年). 2007年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月22日閲覧。
  10. ^ 二国間関係”. 在スリランカ日本大使館. 2013年6月14日閲覧。

外部リンク[編集]