スマウグ

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スマウグSmaug)は、J・R・R・トールキン中つ国を舞台とした小説、『ホビットの冒険』の登場人物である。

概要[編集]

中つ国に住む、翼と赤みがかった金色の鱗を持つ[1]貪欲な第三紀最大ので、火竜族”ウルローキ”の”最後の世代の一体である。大きさは、『中つ国歴史地図[2]』やトールキンの自筆画では20~25m程度とされるが、実写映像作品では全長130m~141m以上とかなり巨大化している。[3]

スマウグは、谷間の国の方言 Trâgu の訳として当てられた名前であり、北方語やホビットの方言に見られる trah- という語幹に関連している[4]スメアゴル (Sméagol/Trahald) とも関連があるとされている。 トールキンによると、スマウグの名前はゲルマン祖語の動詞 smugan (「穴に押し込む」の意)の過去形である。

人物[編集]

その出自は、竜族の根城として知られる「ヒースのかれ野」にあるとされる。第三紀に谷間の町を荒廃させ、はなれ山(エレボール)とそのすべての宝を奪った。

スマウグは中央の広間に宝を積み上げ、その上で眠っている。その宝の中にはアーケン石と何着かのミスリルの鎖帷子があった。そのような莫大な宝をため込んだにもかかわらず、スマウグは宝物庫の品物ひとつひとつを熟知していて、ビルボ・バギンズが比較的価値の低い品物を盗んだときも即座に気づいた。鎖帷子の1着はトーリン・オーケンシールドからビルボに贈られ、後にモリアオークの槍からフロド・バギンズを護っている。

スマウグの鱗を傷つけることはほぼ不可能だが、ビルボがスマウグと対峙したとき、下腹部にむき出しのつぎはぎがあることに気づいた。ビルボが仲間のドワーフにスマウグの弱点について話したとき、山の秘密の入口から入ってきたツグミがこの話を聞いていた。このツグミが今度はエスガロスのバルドにこの話を伝え、スマウグがエスガロスを襲撃したときにスマウグはバルドの黒い矢を受けて命を落とした。

スマウグの死後、トーリンたちははなれ山の宝の所有権を主張した。このため、スマウグに受けた損害の賠償として宝の一部を要求したバルドや闇の森のエルフの王スランドゥイルとの間に軋轢が生じた。トーリンは宝の山分けを拒み、両者に宣戦を布告した。この衝突はついには五軍の合戦へと発展する。

スマウグの死を境に、中つ国における火龍族の歴史は幕を閉じ、絶滅したか史上に記録されないほどに減少したと思われる(少なくとも指輪戦争の直前まで火竜が存在していたことは判明しており、[5])指輪戦争後の第4紀以降も龍族は生き延びた事が判明している。[6]指輪物語』では、ガンダルフはスマウグが倒されたのは幸運だったと言っている。

演じる人物[編集]

ホビット 竜に奪われた王国のワールドプレミアで展示されたスマウグの肖像(ベルリンにて)

2012-14年にかけて公開されるピーター・ジャクソン監督の「ホビット」では英国人俳優のベネディクト・カンバーバッチが声とモーションキャプチャーでの動きを演じる。西洋のドラゴンの他にも、東洋など世界中の様々な竜伝説からヒントを得て製作されている。非常に威圧的な形容を持ち、一つの指輪で透明になったビルボを言葉だけで現界に引きずり出すほどの力を持つ。

映像作品[編集]

実写映像作品の製作段階では完成作品よりも更に巨大で恐ろしげな容姿をしていたとされ、全長は141m以上あった可能性がある[7]。製作段階よりも小型になり恐ろしさも減衰したのは、かつてゴラムにも同様に行われた措置であるが、これらの措置は「怪物ではなく一キャラクター」を作り出すためのものであった(ゴラムも原著では大きく恐ろしげな怪物として描かれている)[8]

デザインの製作には非常に長い時間と労力が要され、第一作目や二作目の予告編中でも完成版とはデザインが異なっている。コンセプトアートの中には、前シリーズ中のバルログのようなデザイン(牡羊のような角を生やしたものや[9]ジャックランタンの如く目や口内が白熱したものなど多数の個性的なデザインが存在した。

また、1977年の Rankin/Bass Productions によるアニメ映画作品版では体毛を生やし、などの哺乳類的な要素を顔に持つ独特の容姿をしていた。強力な視力は、目がサーチライトのように光ることで表現されている。ピーター・ジャクソンは、この作品を幼少時に鑑賞した事でトールキン作品の映像化の夢を抱いた(映画監督になることを志望)。

Gene Deitch 製作の映像作品(1966年)では、極めておそろしく残虐な地球の古代の怪物 Slag と称されている[10]。原作とはキャラクター性や物語の設定が原作とは大きく異なり[11]、最期は宝物の上で寝ている最中にビルボ達によって弱点を射抜かれ討伐された(ハート形のアーケン石を矢じりにしてカタパルトで射出していた)。

なお、フォーブス誌による”フィクションにおける長者番付”では、幾度となく上位にランクインしている。

脚注[編集]

  1. ^ 書籍の挿絵などによっては赤く描かれていないことがある。
    岩波少年文庫版の『ホビットの冒険(下)』の表紙では緑色に描かれている。
  2. ^ Karen Wynn Fonstad, 2002, The Atlas of Middle-Earth 「中つ国」歴史地図 ― トールキン世界のすべて, 評論社
  3. ^ Ian Failes. 2014. Behind the scenes of Weta Digital’s Smaug. the fxguide. 2014年12月8日閲覧
  4. ^ Tolkien, J. R. R., Christopher Tolkien, ed., The Peoples of Middle-earth, "The Appendix on Languages", p. 54。
  5. ^ J.R.R. Tolkien, The Lord of the Rings, The Fellowship of the Ring, "The Shadow of the Past"
  6. ^ Martinez M., 2014. What Happened to the Other Dragons of Middle-earth?. Middle-earth & J.R.R. Tolkien Blog by Michael Martinez. 2014年08月04日閲覧
  7. ^ Carolyn Giardina. 2013. 'The Desolation of Smaug:' Weta's Joe Letteri Reveals The Biggest VFX Challenges. The Hollywood Reporter. 2014年12月8日閲覧
  8. ^ Sullivan P.K.. 2013. What Happened To Smaug’s Other Legs? ‘Hobbit’ FX Expert Explains. The Mtv News. 2014年12月8日閲覧
  9. ^ http://www.digititles.com/movies/the-hobbit-an-unexpected-journey-2012/graphic-art/early-concepts-of-smaug-by-peter-konig-1
  10. ^ ホビット 竜に奪われた王国の劇中で、トーリン・オーケンシールドが龍を 「Slug」(なめくじ)と挑発したが、原作中での表現の他に当作品に対するオマージュであったかは不明
  11. ^ エレボールとエスガロスの生存者はトーリン将軍(人間である)とオリジナルキャラクターのミカ王女ら3人のみで、ビルボも加えて旅の一行は4人と少ない(ガンダルフを除く)。