スポーツ鍼灸

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スポーツ鍼灸(スポーツしんきゅう)とは、スポーツ選手の疲労回復やコンディション維持、故障の治療に特化した鍼灸施術である。

概要[編集]

スポーツ分野での鍼灸師は、トップアスリートやスポーツ愛好家のスポーツ障害の治療や予防、コンディショニングを中心に行うスポーツトレーナー的役割として位置づけられてきた[1]。スポーツ分野の鍼灸のテーマは、スポーツ外傷・障害の治療・スポーツ選手の体調管理・生活習慣病の予防・競技パフォーマンスの向上など多岐にわたっている[2]。近年は鍼灸師を養成する大学や専門学校でも、スポーツトレーナー資格を銘打った学科やコースを設置する場合も見られる[1]

スポーツ鍼灸師には、「治療の手技のみに関心を寄せず、スポーツ医療全体像を理解した上で、自分の業務範囲は、その中の一部であることを認識すること」「スポーツに関わる医療スタッフとしての自覚を持ち、他の専門家スタッフの立場を理解し、対話を持ちながら活動すること」「スポーツの傷害を全て鍼灸治療で処置しようとせず、適切な処置を選択できること」「傷害に対してに除痛のみに走らず、再発予防や機能回復までを考慮した上で対処していくこと」が求められる[3]

公益団法人全日本鍼灸学会がスポーツ鍼灸委員会[4]を設けているほか、社団法人全日本鍼灸マッサージ師会もスポーツ事業委員会[5]を設置して、研究・普及に努めている。

脚注[編集]

  1. ^ a b 沢崎健太,本田達朗「スポーツ産業と鍼灸 スポーツ分野における鍼灸師の新たな需要拡大の可能性」『全日本鍼灸学会雑誌』第59巻第4号、社団法人全日本鍼灸学会、2009年、421-422頁、doi:10.3777/jjsam.59.421 
  2. ^ 宮本俊和,古屋英治,森山朝正「スポーツ鍼灸の研究」『全日本鍼灸学会雑誌』第58巻第2号、社団法人全日本鍼灸学会、2008年、166-178頁、doi:10.3777/jjsam.58.166 
  3. ^ 溝口哲哉「スポーツ鍼灸の現状と問題点」『全日本鍼灸学会雑誌』第50巻第1号、社団法人全日本鍼灸学会、2000年、93-95頁、doi:10.3777/jjsam.50.83 
  4. ^ スポーツ鍼灸委員会とは”. Sports Acupuncture & Moxibustion Committee. 2020年7月11日閲覧。
  5. ^ スポーツケア|公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会”. www.zensin.or.jp. 2020年7月11日閲覧。

外部リンク[編集]