スピロ予想

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数論において、スピロ予想 (Szpiro's conjecture) は、楕円曲線導手と判別式との間の関係について述べた予想であり、ABC予想と深い関係にある。この予想の名前は、1980年代にこれを定式化した Lucien Szpiro に由来する。

言明[編集]

任意の ε > 0 に対し、定数 C (ε) が存在して、有理数体 Q 上定義された全ての楕円曲線 E に対して、E の極小判別式を Δ で、導手を f で表すと、

\vert\Delta\vert \leq C(\varepsilon ) \cdot f^{6+\varepsilon }

が成り立つ。

以上は有理数体における主張であるが、一般の代数体ヴァージョンや関数体ヴァージョンもある。関数体ヴァージョンは、Szpiro の定式化のずっと以前に小平邦彦によって発見されており、その証明は易しい[1]

ABC予想との関係[編集]

スピロ予想より強い以下の主張がABC予想と同値である[2]

任意の ε > 0 に対し、定数 C (ε) が存在して、有理数体 Q 上定義された全ての楕円曲線 E に対して、
\max\{\vert c_4\vert^3,\vert c_6\vert^2\} \leq C(\varepsilon ) \cdot f^{6+\varepsilon }
が成り立つ。ここに、c4, c6 は楕円曲線 E のよく知られた不変量である。

一般に 1728Δ = c43 - c62 であるから、上記の主張から通常のスピロ予想は簡単に導かれる。

通常のスピロ予想は、少し弱いヴァージョンのABC予想と同値である[3]

脚注[編集]

  1. ^ Silverman, p. 388.
  2. ^ W. Stein
  3. ^ D. Goldfeld, Modular forms, elliptic curves, and the ABC-conjecture.

参考文献[編集]

  • Lang, S. (1997), Survey of Diophantine geometry, Berlin: Springer-Verlag, p. 51, ISBN 3-540-61223-8 
  • Szpiro, L. (1981), “Seminaire sur les pinceaux des courbes de genre au moins deux”, Astérisque 86 (3): 44–78 
  • Szpiro, L. (1987), “Présentation de la théorie d'Arakelov”, Contemp. Math. 67: 279–293 
  • Joseph H. Silverman, Advanced Topics in the Arithmetic of Elliptic Curves, Springer, 1994.

外部リンク[編集]