スピリチュアライズド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スピリチュアライズド
2008年、スウェーデンマルメにて
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド ラグビー
ジャンル
活動期間 1990年 -
レーベル
メンバー
  • ジェイソン・ピアース
  • トニー・フォスター
  • ジョン・コクソン
  • トム・エドワーズ
  • ケビン・ベイルズ
  • トーマス・ウェイン

スピリチュアライズド: Spiritualized)は、イギリスミュージシャンで、ジェイソン・ピアースを中心とするイギリスのロックバンド

概要[編集]

1990年イングランド中部ラグビーにてスペースメン3の元メンバーを中心に結成。アルバム毎にメンバーチェンジを繰り返しており、結成時のメンバーは1994年の時点でジェイソン・ピアースを除く全員が脱退している[3]。以降もメンバーの加入脱退はあるものの、1999年加入のトニー・フォスター、ジョン・コクソン、トム・エドワーズ、ケビン・ベイルズは2015年現在まで不動のメンバーとなっており、初期に比べて徐々に安定してきている。

1997年に発表したアルバム『宇宙遊泳: Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space』は、全英アルバムチャート4位を記録し、英国内ゴールドディスク認定、全世界でプラチナディスクに認定。また、NMEが選ぶ年間ベストアルバム「アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選出される[4]

経歴[編集]

ジェイソン・ピアースとピーター・ケンバーの対立によるスペースメン3の活動停止に伴い、同バンドメンバーのジェイソン・ピアース、ウィル・カラザース、ジョニー・マットック、マーク・リフォイに加え、ピアースの郷友であるスティーヴ・エヴァンスでスピリチュアライズドを結成[5]

バンド名はペルノのワインボトル裏に書かれていたテキストから採られた。バンドはほとんどがスペースメン3の元メンバーと言うこともあり、同バンドが所属していたデディケイテッド・レコーズとの契約をそのまま受け継ぐことになった。

スピリチュアライズドとしての最初のリリースはザ・トロッグス英語版のカバー曲「夢をかなえて(Anyway That You Want Me)」[6]で、このレコードの発売によりスペースメン3の分裂は公のものとなった。

1992年、1stアルバム『レイザー・ガイデッド・メロディーズ』を発売。アルバムは2年に渡りラグビーで制作された。1995年には2ndアルバム『ピュア・フェイズ』を発売。1997年に発売された3rdアルバム『宇宙遊泳』で商業的な成功を獲得する。同アルバムにはドクター・ジョンがゲスト参加しており[7]1998年にはジェイソン・ピアース、マイク・ムーニー、ショーン・クック、デイモン・リース、ティム・ルイスの5人がドクター・ジョンのアルバム『アナザー・ゾーン』に参加した[8]

2001年9月17日、4thアルバム『レット・イット・カム・ダウン』を発売。全英アルバムチャート3位を記録し、英国レコード産業協会によりシルバーディスク認定を受ける。

2003年9月8日、5thアルバム『アメイジング・グレイス』を発売。このアルバムの制作後にジェイソン・ピアースは特定のできない病により生死をさまよい、長期間の病気療養を余儀なくされる[9]

2008年5月26日、約4年半ぶりのスタジオ・アルバム『ソングス・イン A&E』を発売。A&Eは「Accident(事故)」と「Emergency(救急)」の頭文字から取ったものであり、自身の入院と病気療養期間を題材として制作された。

2012年4月16日、7thアルバム『スウィート・ハート・スウィート・ライト』をドミノ・レコーズ傘下のレーベル「Double Six Records」から発売。収録曲「So Long You Pretty Thing」ではピアースの11歳(当時)の娘がPoppy Spaceman名義で参加した。

音楽性[編集]

長いペダルトーンドローンを特徴とする作風であり、『レイザー・ガイデッド・メロディーズ』と『ピュア・フェイズ』では、ドローンとトレモロによりシューゲイザー的な要素を取り入れた。『宇宙遊泳』はブラックミュージックゴスペルブルースに加え、フィル・スペクターブライアン・ウィルソンウォール・オブ・サウンドスタイルの要素を取り入れる[10]。その影響がより顕著になった次作の『レット・イット・カム・ダウン』では、延べ100人を超えるミュージシャンが制作に参加[11][12]。『アメイジング・グレイス』ではゴスペル、ブルースなどのソウルミュージック色が色濃くなったが、前作とは一転してシンプルな作風になった。

メンバー[編集]

結成以来の中心メンバーであり、スピリチュアライズドを象徴している人物。スペースメン3の元ボーカル、ギター、キーボード。
  • トニー・フォスター: Tony Foster (Doggen)):ギター
1999年に加入。イギリスのバンド、ブレイン・ドナー英語版のメンバー。
1999年に加入。イギリスのエレクトロニカユニット、スプリング・ヒール・ジャックのメンバー。
1999年に加入。
1999年に加入。ブレイン・ドナーのメンバー。
  • トーマス・ウェイン: Thomas Wayne):ベース
2009年に加入。

旧メンバー[編集]

名前 担当楽器 期間 備考
マーク・リフォイ
Mark Refoy
ギター 1990年 - 1994年 スペースメン3の元ギターであり、オリジナルメンバーの1人。『ピュア・フェイズ』レコーディング中にバンドを脱退[13]。後にスリップストリーム英語版を結成。
ウィル・カラザース
Will Carruthers
ベース 1990年 - 1992年 スペースメン3の元ベースであり、オリジナルメンバーの1人。
ジョニー・マトック
Jon Mattock
ドラムス 1990年 - 1994年 スペースメン3の元ドラマーであり、オリジナルメンバーの1人。脱退後は、ブリーダーズの作品などでセッションミュージシャンとしての活動を続けた後、ルーピン・ハウル英語版に加入した。
スティーヴ・エヴァンス
Steve Evans
キーボード 1990年 - 1992年 オリジナルメンバーの1人。
ショーン・クック
Sean Cook
ベース 1992年 - 1999年 加入前はElectraheadというバンドに在籍[5]。『宇宙遊泳』リリース後にバンドを解雇され、ルーピン・ハウルを結成[5]
ケイト・ラドリー
Kate Radley
キーボード 1992年 - 1997年 脱退後、リチャード・アシュクロフトと結婚[14]
マイク・ムーニー
Mike Mooney
ギター 1995年 - 1999年 加入前はジュリアン・コープ英語版のバンドでギターを担当。『宇宙遊泳』リリース後にバンドを解雇され、ルーピン・ハウルを結成。
デイモン・リース
Damon Reece
ドラムス 1995年 - 1999年 『宇宙遊泳』リリース後にバンドを解雇され、ルーピン・ハウルを結成。
グレッグ・ヘイル
Gregg Hale
ギター 1997年 - 1999年
ティム・ルイス
Thighpaulsandra
キーボード 1997年 - 2008年 加入前はジュリアン・コープのバンドでキーボードを担当。
レイモンド・ディッカティ
Ray Dickaty
サクソフォーン 1997年 - 2003年 脱退後は、フリージャズグループ、ソーラーファイアトリオで活動。
マーティン・シェラード
Martin Schellard
ベース 1999年 - 2003年 加入前はジュリアン・コープのバンドでストリングスアレンジを担当。
リチャード・ウォレン
Richard Warren
ベース 2003年 - 2008年
ジョニー・エイトケン
Jonny Aitken
ドラムス - 『アメイジング・グレイス』制作期間中にケビン・ベイルズが病に倒れた際に代役を務めた。
サム・フリーマン
Sam Freeman
ベース 2008年 - 2009年

タイムライン[編集]

SaxophoneDrumsBassGuitarKeyboardGuitar

ディスコグラフィ[編集]

スタジオ・アルバム[編集]

発売日 タイトル レーベル
イギリスの旗1992年3月30日
日本の旗:2001年12月29日
Lazer Guided Melodies
レイザー・ガイデッド・メロディ
Dedicated Records
Sony Music Japan International
イギリスの旗1995年3月28日
日本の旗:2001年12月29日
Pure Phase
ピュア・フェイズ
Dedicated Records
Sony Music Japan International
イギリスの旗1997年6月16日
日本の旗:1997年7月24日
Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space
宇宙遊泳
Dedicated Records
Sony Music Japan International
イギリスの旗2001年9月17日
日本の旗:2001年10月24日
Let It Come Down
レット・イット・カム・ダウン
Spaceman Records
Sony Music Japan International
イギリスの旗2003年9月8日
日本の旗:2003年12月17日
Amazing Grace
アメイジング・グレイス
Spaceman Records
Sony Music Japan International
イギリスの旗2008年5月26日
日本の旗:2008年7月9日
Songs in A&E
ソングス・イン A&E
Spaceman Records
ホステス・エンタテインメント
イギリスの旗2012年4月16日
日本の旗:2012年4月25日
Sweet Heart Sweet Light
スウィート・ハート・スウィート・ライト
Double Six Records
ホステス・エンタテインメント

その他[編集]

発売日 形式 タイトル レーベル
イギリスの旗1998年10月26日
日本の旗:1998年11月21日
ライブ・アルバム Royal Albert Hall October 10 1997
ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール
Dedicated Records
Sony Music Japan International
日本の旗2002年7月20日 ミニアルバム ドゥ・イット・オール・オーヴァー・アゲイン Sony Music Japan International
イギリスの旗2003年4月15日
日本の旗:2003年5月7日
ベスト・アルバム The Complete Works: Volume One
コンプリート・ワークス Vol.1
Spaceman Records
Sony Music Japan International

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j Ankeny, Jason. Spiritualized Biography, Songs, & Albums - オールミュージック. 2022年1月30日閲覧。
  2. ^ Fitzgerald, Colin (2015年4月1日). “This Is Our New Song: ‘The Bends’ and the Reformation of Alternative Rock”. PopMatters. PopMatters Media. 2022年1月30日閲覧。
  3. ^ Spiritualized Biography by David Segal - musicianguide.com
  4. ^ NME Albums & Traskc Of The Year”. NME. 2008年1月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月31日閲覧。 - 「1997」をクリックすれば表示される。
  5. ^ a b c Spiritualized Biography by Jason Ankeny - allmusic.com
  6. ^ 1990年、このコピーにはスペースメン3のロゴがプリントされていた
  7. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Anutha Zone - Dr. John”. AllMusic. 2015年12月10日閲覧。
  8. ^ Dr John* - Anutha Zone (CD, Album) at Discogs
  9. ^ SPIRITUALIZED STAR HOSPITALISED” (英語). ニュー・ミュージカル・エクスプレス. 2015年4月19日閲覧。
  10. ^ Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space Review by Jason Ankeny - allmusic.com
  11. ^ Spiritualized - Let It Come Down Credits - Discogs
  12. ^ Let It Come Down Review by Heather Phares - allmusic.com
  13. ^ 代役にはラグビーのザ・ダークサイドからケヴィン・コーウェン (Kevin Cowen) が加入するが、1994年のグラストンベリー・フェスティバルのステージに立ったのみ
  14. ^ Richard Ashcroft Biography - musicianguide.com

外部リンク[編集]