ジョルダン標準形

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ジョルダン標準形(ジョルダンひょうじゅんけい)とは、代数的閉体上で定義される一般の行列に対する標準形のことである。任意の行列は、適当に相似変換することによって、ジョルダン標準形に帰着することができる。

J_n(\lambda) =
\begin{pmatrix}
\lambda &    1    &        &         &    0    \\
        & \lambda &   1    &         &         \\
        &         & \ddots & \ddots  &         \\
        &         &        & \lambda &    1    \\
   0    &         &        &         & \lambda \\
\end{pmatrix}

という n 次行列を定義すれば、ジョルダン標準形はこの行列を対角線上に配置した、


\begin{pmatrix}
J_{n_1}(\lambda_1) &        &         0          \\
                   & \ddots &                    \\
        0          &        & J_{n_k}(\lambda_k) \\
\end{pmatrix}

という形をしている。このとき、行列 Jn(λ) をジョルダン細胞ともいう。また、λi は標準化の対象となる行列の固有値である。

[編集] 標準形の存在証明とアルゴリズム

V を代数的閉体K 上の有限次元ベクトル空間、 fV の線形変換とする。 V の基底 {eij | i = 1,...,k;j = 1,...,ni}} が fジョルダン基底 とは、 f(eij) = λieij + eij − 1、ただし ei0 = 0とする、 であることと定義する。ジョルダン基底に関する f の表現行列がジョルダン標準形である。

定理 任意の f に対しジョルダン基底は存在する。

証明は n = dimV についての帰納法で、n = 1 ならすべての基底がジョルダン基底だからOK、 n - 1までOKとして、 n = dimV とする。次の明らかな補題が証明の鍵である。

補題 {eij}f のジョルダン基底なら、f − λ1V のジョルダン基底でもある。ここで λ は任意のスカラー。

この補題により rankf = r < n の場合に示せばよい。 このとき V'=\mathrm{Im} f,\ f'=f|_{V'} とすると、帰納法の仮定で、 f' のジョルダン基底 {eij} がとれる。 番号を \lambda_1=\lambda_2=\cdots =\lambda_s=0 i > s なら\lambda_i \neq 0となるようにとる。 e_{11},e_{21},\cdots,e_{s1}Kerf の元で線形独立だから、これらに b_1,b_2,\cdots,b_{n-r-s} を加えて Kerf の基底を作る。またV の元 c_1,c_2,\cdots,c_sf(c_i)=e_{i n_i } となるようにとる。このとき n 個のベクトル \{ e_{ij} \} \cup \{ b_i\}\cup \{ c_i \}が線形独立であることは容易にわかり、 これらは V の基底である。c_i =e_{i n_i +1},\ b_i =e_{k+i 1}と番号づけると、これが f のジョルダン基底となる。[証明終わり]

V = Knf が行列 A=(a_1,a_2,\cdots,a_n)で表されるとき、 rankA = r なら、 a_1,a_2,\cdots,a_r が線形独立としてよい。このとき  A=\begin{pmatrix}  {A_{11}}  &  {A_{12}}  \\ {A_{21}}  &  {A_{22}}  \end{pmatrix} は行変形で \begin{pmatrix}  {E_r}  &  R \\ 0  &  0   \end{pmatrix}と簡約化される。

命題 上のとき、 a_1,a_2,\cdots,a_rV' の基底であるが、この基底に関する f' の表現行列は A11 + RA21 である。

命題の証明は略するが、これを用いると上のジョルダン基底の存在証明は、同時に行列のジョルダン標準形と変換行列を求めるアルゴリズムにもなっている。