ジャック・ランシエール
ジャック・ランシエール(Jacques Ranciere, 1940年 - )フランスの哲学者。パリ第八大学名誉教授。
[編集] 経歴
アルジェリア出身。高等師範学校(Ecole Normale Superieure)で哲学を学ぶ。
アルチュセールの薫陶を受け、1965年にはエティエンヌ・バリバールらとともに『資本論を読む』の執筆にも参加したが、その後急速に距離を取るようになった。自著『アルチュセールの教え』(1974年)でアルチュセール思想への疑義を表明している。
1970年代末、ジャン・ボレル (Jean Borrei/Joan Borell)、アルレット・ファルジュ、ジュヌヴィエーヴ・フレースら若い研究者を率いて、「論理的叛乱」(仏Révoltes Logiques)グループを組織、同題の研究誌において、社会的なものの表象について考察を展開した。この研究誌に掲載されたランシエールの論文は『民衆の舞台』(2003年)に収録されている。同時期にランシエールは労働者の解放という問題やエティエンヌ・カベをはじめとする一九世紀のユートピア主義者の研究に取り組み、また定期的にアメリカのいくつかの大学に赴くようになった。この研究の成果が、やがて『プロレタリアたちの夜 労働者の夢の記憶』の題名で公刊されることになる国家博士号取得論文である。床張り職人の哲学者ルイ・ガブリエル・ゴニーの未公刊著作を集めた『平民哲学者』を出版したのもその数年後だった。
さらに1980年代半ばには、伝統的な教育学の基礎に対して一九世紀初頭という時期に根本的疑義を唱えたもうひとりの型破りな人物ジョゼフ・ジャコトーに関心を抱いた。この研究から生まれたのが『教師は何も知らない』である。次にランシエールは、歴史学で言葉をあつかうとき歴史的言説が曖昧な規定しかもたないことに興味を抱いた(これは著作権の関係で『歴史における名前』という題名で刊行された)。ランシエールは映画愛好家でもあり、このころから『カイエ・デュ・シネマ』に連載を開始し、美学と政治学の関係について研究した。この主題について直接検討した最初の書物が『民衆の国への小旅行』であり、これは三篇の哲学小説という形式を取っている。
[編集] 既刊訳書
- ルイ・アルチュセール他『資本論を読む』ちくま学芸文庫
- 『不和あるいは了解なき了解 政治の哲学は可能か』インスクリプト
- 「美学的無意識」、『みすず』2004年5月
- 『民主主義への憎悪』2008年8月インスクリプト
- 『感性的なもののパルタージュ 美学と政治』2009年12月法政大学出版局
- 『無知な教師 知性の解放について』2011年8月法政大学出版局
ほか、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』、『批評空間』、『現代思想』などに論文のいくつかが邦訳されている。
[編集] 外部リンク
- The Passing 邦訳論文リストがある。