ジゼル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ミルタ役を踊るN・コロソワ (サラトフ劇場)

ジゼル』(Giselle )は、アドルフ・アダン作曲によるバレエ作品(のちの改訂時にヨハン・ブルグミュラーレオン・ミンクスが曲を追加している)。ロマンティック・バレエの代表作の一つで、現在でも頻繁に上演されている。

目次

[編集] 概要

結婚を目前にして亡くなった娘達が妖精ウィリーとなり、夜中に迷い込んできた人を死ぬまで踊らせるというハインリッヒ・ハイネによって紹介されたオーストリア地方の伝説に着想を得て作られた。2幕物で、第1幕の昼間の森の場面と第2幕の夜の場面の対照が印象的である。主人公が死装束で踊る唯一のバレエ作品といわれる。

[編集] 主な登場人物

  • ジゼル:村娘
  • アルブレヒト:貴族、版によってはアルベルト
  • ヒラリオン:ジゼルに思い焦がれる森番の青年、版によってはハンス
  • バチルダ:アルブレヒトの婚約者で公爵令嬢
  • ベルタ:ジゼルの母親、寡婦
  • ミルタ:ウィリー(精霊)の女王
    注:バレエ団により解釈が違う。

[編集] あらすじ

[編集] 第1幕

心臓が弱いが、笑顔を絶やさない踊りの好きな村娘、ジゼル。アルブレヒトは貴族である身分を隠し、名をロイスと偽って彼女に近づく。ふたりは想いを通わせるが、ジゼルに恋する村の青年ヒラリオンには面白くない。彼はアルブレヒトが普段の衣装や剣をしまう小屋から剣を見つけ、村の青年ではないことを確信してその剣を持ち出す。

ある時、ジゼルの村に貴族が狩の途中に立ち寄ると言う。それはアルブレヒトの婚約者、バチルダの一行だった。村娘ジゼルとバチルダはお互い結婚を控えているもの同士として仲がよくなる。その後、ヒラリオンが持ち出した剣によりアルブレヒトの身分が暴かれるが、アルブレヒトは混乱するジゼルをなだめる。しかしヒラリオンは更にバチルダと公爵を連れてきてしまい、もはやごまかしようのなくなったアルブレヒトは公爵に礼を取り、バチルダの手にキスをする。それを見たジゼルは気が動転し、髪を振り乱して錯乱し、母であるベルタの腕の中で息絶えてしまう。ヒラリオンとアルブレヒトは互いを責め合うが、村人たちやベルタに追い出されるようにアルブレヒトが退場する。

[編集] 第2幕

第2幕

森の沼のほとりの墓場。ここでは結婚を前に亡くなった処女の精霊・ウィリーたちが集まる場所。ジゼルはウィリーの女王ミルタによってウィリーの仲間に迎え入れられる。

ジゼルの墓に許しを請いにやってきたヒラリオンは鬼火に追い立てられる。ここではウィリーたちが夜中に迷い込んできた人(或いは裏切った男とも)を死ぬまで踊らせるのである。ウィリーたちがヒラリオンを追う間、ジゼルを失った悲しみと悔恨にくれるアルブレヒトが彼女の墓を訪れ、亡霊となったジゼルと再会する。

ヒラリオンはウィリーたちに捕らえられ命乞いをするが、ミルタは冷たく突き放し死の沼に突き落とす。ミルタはアルブレヒトをも捕らえ死に追いやろうとする。アルブレヒトが最後の力を振り絞り踊るとき、朝の鐘が鳴り、ウィリーたちは墓に戻っていく。ジゼルは朝の光を浴び、アルブレヒトに別れをつげて消えていくのであった。

[編集] 解釈をめぐって

アルブレヒトのジゼルへの愛は貴族の戯れに過ぎなかったのか、それとも本当にジゼルを愛していたかは、ダンサーにより解釈が異なる。ユーリー・グリゴローヴィチ版以降、第2幕ではジゼルがアルブレヒトを許しウィリーたちから守るという解釈をすることも多い。また、マッツ・エック版では、ジゼルは死ぬのではなく、精神病になるといったような解釈をされている。