シンチグラフィ
シンチグラフィ(英: scintigraphy)・シンチグラムは、体内に投与した放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したもの。画像診断法の一つ。
腫瘍(がん)や各種臓器の機能の診断に使われる。また、核種の組織親和性を利用して、異所性胃粘膜の検出、甲状腺や唾液腺の検査にも使われる。
医療現場では、画像化したものについても包括して「シンチグラム」と呼ばれることも多く、診療報酬点数表でも「シンチグラム」と表記される。
なお、一般的にはシンチグラフィとRI検査とはほぼ同義語として使われるが、RI検査はシンチグラフィよりも範囲が広く、画像化を伴わないシンチグラムや、ラジオアイソトープを使った体外からの計測によらない検査(循環血液量測定など)も含まれる。
目次 |
[編集] 種類
| 脳血流シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc)、ヨウ素(123I) |
| 脳脊髄腔シンチグラフィ | インジウム(111In) |
| ガリウムシンチグラフィ | ガリウム(67Ga) |
| 骨シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc) |
| 心筋血流シンチグラフィ | タリウム(201Tl)、テクネチウム(99mTc) |
| 肺血流シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc) |
| 肺換気シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc)、キセノン(133Xe)、クリプトン(81mKr) |
| 甲状腺シンチグラフィ | ヨウ素(123I)、テクネチウム(99mTc)、タリウム(201Tl) |
| 副甲状腺シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc)、タリウム(201Tl) |
| 肝シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc) |
| 肝胆道シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc) |
| 腎シンチグラフィ | テクネチウム(99mTc)、ヨウ素(131I) |
| 副腎シンチグラフィ | ヨウ素(131I)他 |
[編集] 脳血流シンチグラフィー
IMP、HMPAO,ECDといったトレーサーがよく用いられる。統計学的な画像解析としてはSPM(statistical parametric mapping)や3D-SSP(three-dimensinal stereotactic surface projiction)などがよく知られている。3D-SSPは特に認知症の診断で非常によく用いられる。
| 病名 | 略称 | 特徴的所見 |
|---|---|---|
| アルツハイマー型認知症 | AD | 頭頂側頭連合野の血流低下。喫前部、後部帯状回の血流低下。進行すると前頭葉の血流低下も認められる。 |
| 血管性認知症 | VaD | 血管障害の病巣に応じた様々なパターンあり。 |
| レビー小体型認知症 | DLB | 頭頂葉、後頭葉の血流低下。特に後頭葉一次視覚野の血流低下が特徴的である。 |
| 前頭側頭型認知症 | FTD | 前頭葉皮質と側頭葉皮質の血流低下。 |
| 進行性核上性麻痺 | PSP | 前頭葉皮質の血流低下。 |
| 大脳皮質基底核変性症 | CBD | 前頭葉皮質と頭頂葉皮質の左右差のある血流低下。 |
[編集] 心筋血流シンチグラフィー
テクネシウム製剤など血流シンチグラフィーの他、脂肪酸代謝イメージングや交感神経イメージングが知られている。
[編集] 交感神経イメージング
交感神経イメージングとしてはMIBGシンチグラフィーが知られている。MIBGはノルエピネフリンの生理的アナログである。交感神経終末でノルエピネフリンと同様に摂取、貯蔵、放出が行われる。節後性交感神経の機能を評価できるため、各種心疾患の局所的交感神経障害、神経変性疾患の自律神経障害、糖尿病の自律神経障害の評価に用いられる。三環系抗うつ薬、レセルピンといった薬剤はこの検査結果を修飾するため休薬が必要である。
- H/M比とwashout rate(WR)
評価はH/M比とwashout rateによって行われる。心臓(H)と上縦隔(M)のROIの平均カウントの比率を計算する。正常値は施設によって異なるが低エネルギーコリメーターを使用している場合は後期相で2.0~2.6程度であり、中エネルギーコリメーターを使用している場合は2.6~3.4である。WRは早期相心臓ROIカウントと後期相心臓ROIカウントをもとに計算され、交感神経機能の指標と考えられている。H/M比の低下はレビー小体病であるパーキンソン病、びまん性レビー小体病、純粋自律神経機能不全(PAF)などで認められる。通常ROIは前期相の方が低いものの、レビー小体病では後期相の方が低くWRの亢進を伴っている。通常は後期相H/M比を結果とする。
- 検査意義
パーキンソン病ではMIBG集積低下が起立性低血圧、圧反射異常、心拍変動異常に先立って出現するため早期診断で重要である。多系統萎縮症などでは自律神経障害は認められるが節後線維障害ではない(間脳や脊髄中間外側核)ため、H/M比の低下は認められてない。また拡張型心筋症においてΒ遮断薬の効果の事前予測のも用いられる。