シンダーハンネス

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シンダーハンネス
生息年代: デボン紀前期
Schinderhannes NT2.jpg
復元図
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
古生代デボン紀前期
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし : (未整理[1]左右相称動物 Bilateria
(未整理)旧口動物 Protostomia
上門 : 脱皮動物上門 Ecdysozoa
: (未整理)? 節足動物門 Arthropoda
(未整理)? ディノカリダ門 Dinocarida [2]
: アノマロカリス綱 Anomalocarida
: (未整理)? ラディオドンタ目 Radiodonta
: アノマロカリス科 Anomalocaridae
: シンダーハンネス属 Schinderhannes
学名
genus Schinderhannes
和名
シンダーハンネス
下位分類(
  • Schinderhannes bartelsi

シンダーハンネス・バルテルシSchinderhannes bartelsi)はアノマロカリス類の一種。前期デボン紀のHunsrück粘板岩層(en:Hunsrück Slate)から発見された1個の化石標本によって知られる。この発見は驚きを持って迎えられた。なぜなら、それ以前にはアノマロカリス類はそれより1億年以前のカンブリア紀の例外的に保存のいい化石鉱床(ラーゲルシュテッテン)からしか見つかっていなかったからである[3]

アノマロカリス類は、アノマロカリスなどを含む動物群であり、節足動物と遠縁に当たるものと考えられていた。これらは現生の動物とまるで似ていない。分節化した外骨格、遊泳に使われる水平突起、大型の複眼などの特徴を持つ。とりわけ特徴的なのは、かぎ爪状をした、一対の「大付属肢」である。これは一見エビの後部に似ており、パイナップルを水平に切ったような環状の口へ、食物を運んでいたと考えられている[4]

発見[編集]

唯一の標本は、ブンデンバッハ(:w:Bundenbach)の Eschenbach-Bocksberg 採石場から発見された。名前は、この地方に出没した無法者のシンダーハンネス(w:Schinderhannes)にちなんで名付けられた。種小名のバルテルシは、フンスリュック粘板岩の専門家の Christoph Bartels への献名。標本は現在、マインツ自然史博物館に収蔵されている[3]

形態[編集]

シンダーハンネスの体長は約10cm。他のアノマロカリス類と同様に、一対の大付属肢を備える(これはフルディアのものによく似ている)[3]

生態[編集]

保存されている腸の形態は、捕食性の動物に典型的なものである[5]。また、棘のある大付属肢や、眼のサイズからも、捕食性が支持される[3]。明らかに遊泳型で、頭部につながっている「ひれ」で推進力を得ており、第11節にある翼状のひれを安定のために使っている[3]。これらのひれは、カンブリア紀のアノマロカリス類の水平ひれから派生していると考えられる。祖先型は、体の側方にあるひれを遊泳に使っていたが、シンダーハンネスのような特殊化はされていなかった[3]

発見の意義[編集]

この生物の発見は、初期節足動物の分類について、いくつかの問題に答えを出すかもしれない。もしこれがアノマロカリス類に近くなければ、基本的にこの生物は真の節足動物と分類されるはずである。たとえて言えば、シンダーハンネスは、節足動物の「叔母」と見ることができ、そしてアノマロカリスは「大叔母」と見ることができる。このことはアノマロカリス類が側系統であること、つまり節足動物はアノマロカリス類から進化したことを示唆する。また、節足動物の二枝型付属肢が、アノマロカリス類の水平ひれと鰓の融合を通して生じたということも示唆するように思われる[6]。またこの化石によって、「大付属肢」を持ったグループ(いわゆるアノマロカリス類)が、自然分類ではないことも表している。

この生物の発見の最も重要な意義は、アノマロカリス類の生息期間を大幅に拡張したことである。このグループは以前は、それより1億年以前の前期~中期カンブリア時代のラーゲルシュテッテンからのみ発見されていた。このことは、Hunsrück粘板岩のようなラーゲルシュテッテンの有用性を強調した。これらの、例外的に保存のいい化石層によってのみ、鉱物化されない形態を観察できるのかもしれない[7]

外部リンク[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 分類学上、未整理の分類群(タクソン)。以下同様。
  2. ^ 学説により、所属するは節足動物門ともディノカリダ門ともされる。
  3. ^ a b c d e f doi:10.1126/science.1166586
  4. ^ ワンダフルライフ (書籍)
  5. ^ Nicholas J. Butterfield (2002). “Leanchoilia, and the interpretation of three-dimensional structures in Burgess Shale-type fossils”. Paleobiology 28 (1): 155–171. doi:10.1666/0094-8373(2002)028<0155:LGATIO>2.0.CO;2. JSTOR 3595514. 
  6. ^ doi:10.1126/science.1169514
  7. ^ doi:10.1111/j.1502-3931.1995.tb01587.x