シンカイクサウオ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
シンカイクサウオ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 : カジカ亜目 Cottoidei
上科 : ダンゴウオ上科 Cyclopteroidea
: クサウオ科 Liparidae
: Pseudoliparis
: シンカイクサウオ P. amblystomopsis
学名
Pseudoliparis amblystomopsis
(Andriashev, 1955)
和名
シンカイクサウオ

シンカイクサウオ学名Pseudoliparis amblystomopsis)は、カサゴ目クサウオ科に属する魚類の一種。

形態[編集]

深海性カサゴ目のクサウオ科魚類と共通し、体は柔軟でぶよぶよとしている。頭部は大きいが尾部は尻すぼみで、上から見るとオタマジャクシに似た体型をもつ[1]

体長は10-20cm程度で、最大で全長23.8cm[2][1]だが、35cmに達する個体もいる。体は淡桃色かつ半透明で[1]、内臓の一部は透けて見える。目は黒くて小さい。

分布[編集]

水深6,000m以深の超深海層に分布し、海溝海底付近で生活する底生魚である[2]深海魚の中でもとりわけ深い領域に暮らす種類の一つで、同様の水深からは同じクサウオ科の数種と、ヨミノアシロアシロ目)などのわずかな種類が生息することが知られる[3]

これまでに明らかになっている生息域は太平洋北西部における海溝の深部に限られ、日本海溝および千島海溝の水深6,156-7,587mの範囲から報告されている[2]

映像記録[編集]

イギリスアバディーン大学東京大学大気海洋研究所の合同研究チームが2008年に行った調査で、日本海溝の水深7,703m地点においてシンカイクサウオの生態映像が撮影された[4]。映像に記録されたシンカイクサウオは計17匹で、餌として設置されたサバに群がるヨコエビを、活発に遊泳しながら捕食する姿が観察された[4]

水深6,000mを越える深海では栄養供給が著しく乏しい上に、極度の低水温と800気圧近い高水圧(指先に小型車一車両分に匹敵する質量の力がかかる)に曝される[5]。このような過酷な環境下で生存を維持するために、海溝深部における深海魚の生息密度および運動性は非常に低いと考えられてきた[4]が、そうではないとされる事で観察者達を驚かせ、新たな謎となった。

本映像はこれらの常識を覆す貴重な資料であるとともに、シンカイクサウオが家族単位の群れを構成し得るような何らかの子育てを行うかもしれないという、新たな可能性を示すことになった[5]

この映像は魚の撮影では最深記録となったが、マリアナ海溝の8,145m地点での調査でクサウオの一種が撮影され、記録が破られた [6]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c 『深海生物ファイル』 pp.208-209
  2. ^ a b c Pseudoliparis amblystomopsis”. FishBase. 2011年7月10日閲覧。
  3. ^ Jamieson AJ, Fujii T, Solan M, Matsumoto AK, Bagley PM, Priede IG (2009). “Liparid and macrourid fishes of the hadal zone: in situ observations of activity and feeding behaviour”. Proc Biol Sci 276 (1659): 1037-45. 
  4. ^ a b c 水深7千7百メートル深海魚の撮影に成功”. 東京大学大気海洋研究所. 2013年8月7日閲覧。なお、共同通信『47NEWS』にも2008年10月10日付けで『水深7千7百メートル深海魚の映像公開 予想外に活発な動き』の見出しにて掲載《2013年8月7日時点でも閲覧可能》
  5. ^ a b 'Deepest ever' living fish filmed”. BBC NEWS. 2011年7月10日閲覧。
  6. ^ New record for deepest fish”. BBC NEWS. 2014年12月19日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]