シャーロット・ヤング

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シャーロット・メアリー・ヤング
Charlotte Mary Yonge
22歳の時に描かれた肖像
生誕 1823年8月11日
イングランドハンプシャーオッタボーン
死没 1901年5月24日(77歳)
イングランド、ハンプシャー、オッタボーン
国籍 イングランド人
職業 教師文学者小説家
宗派 聖公会
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シャーロット・メアリー・ヤングCharlotte Mary Yonge1823年8月11日 - 1901年5月24日)は、近代イギリスの小説家、文学者。ヴィクトリア朝のイギリスで活躍した女流作家の一人であり、神話や歴史・恋愛など多岐に亘る分野で創作活動に従事した。

生涯[編集]

シャーロット・メアリーはウィリアム・ヤングの長女として、1823年8月11日ハンプシャーオッタボーン英語版で生まれた[1]。家庭で教育を受け、ラテン語ギリシア語といった古典言語やフランス語、及びユークリッド幾何学代数学を学んだ[2]。後に父による教育は非常に厳しいものであったと回想している。

私は父から非常な努力と(私と全く馴染まなかった)正確さを要求された。父は私をしばしば恐ろしい罵声で怒鳴りつけ、私はその度に泣かされていたが、同時にそんな父が褒めてくれる事が励みでもあった…[3]

ヤングは人生の長きにわたって専制的な父の影響下に置かれ、結婚を含めたほとんどの人間関係もその範囲にあった[4]。「父の賞賛は私の喜びであり、父の罵声は私の不幸だった」と語っている[5]。宗教的には熱心な聖公会(英国国教会)の信徒であり、地元の名士にオックスフォード運動英語版(国教会の独立宗派性を高めようとする宗教改革)の指導者である神学者ジョン・キーブル英語版がいた事は彼女の生涯に影響を与えた。

1948年からヤングは児童向けに小説を書き始め、文才に恵まれていた彼女の小説は商業的な成功をよび、作家として成功を収めた。1868年、オッタボーンの南に新しい行政区が作られた際、シャーロットは新しい街の名付け親になるように頼まれている。彼女は統合された村の一つである「エストレイ」の名を現代的に修正してイーストリー街と命名した[6]

作家になってからも日曜学校の教師として穏やかに生き、彼女の生涯はオッタボーンの町で過ごされた[7]

作家活動[編集]

25歳の時から小説執筆に興味を抱いたシャーロットは作品を書き始め、生涯で160作の作品を世に送り出している[8]。最初の成功は1853年に執筆された「レドクルッフェの相続人」で、印税の一部は南十字星号の航海費用として寄付されている。平行して児童向けの文学雑誌「モンテレイ・パケット」を主宰、同誌では日曜学校に通う児童の為に書かれた作品が掲載された。単独による創作活動にも熱意を注ぎ続け、また実在する聖者や苦労人の伝記を執筆するなど歴史小説にも視野を広げていった。

彼女の文才は大衆に広く好まれ、帝国宰相を務めたウィリアム・グラッドストンもファンの一人であった[9]ルイス・キャロルジョージ・エリオットクリスティーナ・ロセッティチャールズ・キングズリー英語版アルフレッド・テニスンアンソニー・トロロープ英語版ら同時代の文人らからも賞賛を受けていた[9]。詩人ウィリアム・モリスとラファエル前派の画家エドワード・バーン=ジョーンズは、オックスフォード在学中に「レドクルッフェの相続人」に傾倒して、「中世時代の騎士道に時代錯誤な傾倒を見せるガイ・モービル(『レドクルッフェ』の主人公)は、我々の仲間だ」と書き残している[10]

作風についてはアンソニー・トロロープ、ジェーン・オースティンオノレ・ド・バルザックギュスターヴ・フローベールエミール・ゾラと比較される[10]

しかし1940年代前後の現代文学の潮流の中で次第にシャーロットの作品は「古典的」で「懐古的」と批判され始め、「キリスト教的で古臭い価値観」「乏しい人生経験ゆえに世界観が狭量」と半ば偏見じみた評価すら受けるようになった[11]。評論家カタリーナ・サンドヴァッチは「彼女の創作活動と個人的な価値観を混同する傾向は、彼女の作品を常に苦しめた」と論じている[12]。こうした状況下から、現代文学の研究では出世作であり、多大な影響を他者に与えた「レドクルッフェの相続人」を除いて殆ど研究されなかった[13]

作品一覧[編集]

参考文献[編集]

  • Battiscombe, G. & Laski, M. (eds.) (1965) A Chaplet for Charlotte Yonge: papers by Georgina Battiscombe, Katharine Briggs, Lettice Cooper, Alice Fairfax-Lucy, Annis Gillie, Ruth Harris, Elizabeth Jenkins, Margaret Kennedy, Marghanita Laski, Violet Powell, Catherine Storr, Kathleen Tillotson, Rachel Townsend, together with genealogical tables & bibliography, also some little-known pieces by Charlotte Yonge "Last heartsease leaves, authorship, etc."; edited for the Charlotte Yonge Society by Georgina Battiscombe and Marghanita Laski. London: Cresset Press
  • Budge, Gavin (2003) "Realism and Typology in Charlotte M. Yonge’s The Heir of Redclyffe." Victorian Literature and Culture 31 (2003): 193–223.
  • Coleridge, Christabel Rose (1903) Charlotte Mary Yonge: Her Life and Letters. London: Macmillan and Company
  • Dennis, Barbara (1997) Introduction. The Heir of Redclyffe. Oxford: Oxford U. P.
  • Hayter, Alethea (1996) Charlotte Yonge. Northcote House
  • Jay, Elisabeth (2004) "Yonge, Charlotte Mary." Oxford Dictionary of National Biography. Oxford: Oxford University Press, 2004. Retrieved on 8 May 2009.
  • Sandbach-Dahlström, Catherine (1984) Be Good Sweet Maid: Charlotte Yonge's Domestic Fiction. Stockholm, Sweden: Almquist and Wiksell International ISBN 9122006583.
  • Sturrock, June (1995) "Heaven and Home": Charlotte M. Yonge's Domestic Fiction and the Victorian Debate Over Women. Carlton, Vict.: University of Victoria ISBN 0920604846.
  • Walton, Susan (2010) Imagining Soldiers and Fathers in the Mid-Victorian Era: Charlotte Yonge's Models of Manliness. Farnham: Ashgate Publishing. ISBN 978-0-7546-6959-3
  • Wells-Cole, Catherine (2000) "Angry Yonge Men: Anger and Masculinity in the Novels of Charlotte M. Yonge." In Masculinity and Spirituality in Victorian Culture. Ed. by Andrew Bradstock, Sean Gill, Anne Hogan, and Sue Morgan. New York: St. Martin’s Press

引用[編集]

  1. ^ Hayter (1996), vii.
  2. ^ Coleridge (1903), 107-108.
  3. ^ Coleridge (1903), p. 108
  4. ^ Sturrock (1995), pp. 17-18
  5. ^ Quoted in Sturrock (1995), p. 17
  6. ^ Lambert, Tim. “A Brief History of Eastleigh, Hampshire”. 2008年9月7日閲覧。
  7. ^ Cross, F. L. (ed.) (1957) The Oxford Dictionary of the Christian Church. London: Oxford U. P.; p. 1484
  8. ^ Cross, F. L. (ed.) (1957); p. 1484
  9. ^ a b Hayter (1996), 1.
  10. ^ a b Hayter (1996), 2.
  11. ^ Quoted in Sandbach-Dahlström (1984), 2.
  12. ^ Sandbach-Dahlström (1984), 3.
  13. ^ Sandbach-Dahlström (1984), 8.

外部リンク[編集]