シャルル=アンリ・サンソン

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Eugène Lampsoniusによる肖像画

シャルル=アンリ・サンソンCharles-Henri Sanson1739年2月15日 - 1806年7月4日)は、フランス革命期の死刑執行人で、パリの死刑執行人を勤めたサンソン家の4代目当主。

ルイ16世マリー・アントワネットエベールデムーランダントンラヴォアジエロベスピエールサン=ジュストクートンといった著名人の処刑のほとんどに関わった。

人物[編集]

ルイ16世を処刑するサンソン(1798年の画)

信心深く、自らを厳しく律する人物だったと言われている。また、当時としては異例なほど身分の分け隔てなく、どの身分にも偏見を抱かない平等論者だったといわれるが、これは死刑執行人が社会の最底辺であり最も偏見を受けながら貴族並みの暮らしをしているという自身の立場によるところが大きいと言われている。

サンソンは死刑執行人という立場でありながら、熱心な死刑廃止論者だった。何度も死刑廃止の嘆願書を出しているが実現することはなく、逆に人類史上2番目に多くの死刑を執行する結果になっている。死刑制度が廃止になることが死刑執行人という職から自分が解放される唯一の方法であると考えていたと手記に書き残している。

シャルル=アンリ・サンソン によって処刑されるルイ16世

皮肉にも彼自身は王党派であった。ルイ16世を熱心に崇拝しており、自分が処刑するという結果になってしまったことを生涯悔いていた。フランス革命当時はルイ16世のためにミサを捧げることは死刑になるほどの重罪でありながら、神父を匿って秘密ミサを上げていたという。

また、デュ・バリー夫人とも知り合いらしく、夫人の処刑が決まった際に夫人から命乞いされ慚愧の念で自ら刑を下すことができず息子に処刑を行わせたという。

医師として[編集]

サンソン家は死刑執行人の本業を持つ一方で医師としての仕事も行っていた。収入は医師としての収入が大半を占めていたと言われている。医師としての技術は当時のヨーロッパの平均的な水準を上回っていたと言われており、貴族から庶民まで幅広く治療したと言われている。シャルル=アンリ・サンソンの時代に詳細な医学書が書き起こされ、のちのサンソン家の子孫はこれを元に医療を行っていた。

サンソン家の医学は当時の大学などで教えられていた医学とは異なる独自の体系を持っていた。そもそも、死刑執行人の一族は学校に通うことができず、医者に診て貰うこともできなかったため正規の教育を受けることができなかった。そんな中で独自に編み出された医術を用いていた。死刑執行人につきまとう不気味なイメージから、周りからは呪術的な医術と思われていたようである。しかし、その医療技術は徹底して現実主義的なものであり、当時の医学界で主流だったオカルト的な、現代医学からみて非科学的な治療は行わなかった。実際に、医師に見放された難病の治療に成功した事例が数多く伝えられている。

当時の死刑執行人は死体の保管も行っており、サンソン家では死体を解剖して研究を行っていた。また、死刑執行人は鞭打ちなどの刑罰も行っており、人間の身体をどこまで傷つけても死なないか、後遺症が残らないか詳細に知っていたという。身体に穴を開けると言った刑罰ではどこに穴を開ければ後遺症が少ないか徹底的に研究しており、サンソン家に刑罰を受けた人間はその後の存命率が高かったと言われている。サンソンは刑罰で自分が傷つけた相手の治療を熱心に行っていた。

経歴[編集]

彼が死刑執行人を務めた時期はフランス革命恐怖政治の真っ最中であったのと、ギロチンの導入が機械的連続斬首を可能にしたため、この恐怖政治の時期だけで二千七百数十名を処刑した。これはヨーロッパの公的な死刑執行人としては、ヴァイマル共和政からナチス・ドイツ敗北までのドイツで3,165人の死刑を執行したヨハン・ライヒハートに次ぐ人数である。旧来の刀剣による斬首では絶対に不可能な数であり、ギロチンの登場なくしてはあり得ないことであった。

関連作品[編集]

  • 安達正勝『死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男』
  • 坂本眞一イノサン』※上記著書を出典とする漫画作品
  • 長谷川哲也ナポレオン -獅子の時代-』 
  • 安武わたる『処刑人一族サンソン』  
  • モニク・ルバイイ『ギロチンの祭典 死刑執行人から見たフランス革命』
  • バーバラ・レヴィ(原著)/ 喜多迅鷹・喜多元子(翻訳)『パリの断頭台~七代にわたる死刑執行人サンソン家年代記』

サンソンがモデルとなった作品[編集]

外部リンク[編集]


先代:
シャルル=ジャン・バチスト・サンソン
ムシュウ・ド・パリ
1778年 - 1806年
次代:
アンリ・サンソン