シチリアの晩鐘 (ヴェルディ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

シチリア島の夕べの祈り』または『シチリアの晩鐘』(:Les vêpres siciliennes)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した5幕から構成されるオペラ。『シチリア島の夕べの祈り』や『シチリアの晩祷』とも訳され、前者が多く使用されるが一定しない。序曲は演奏会などで単独でも演奏される有名な楽曲である。

元になった題材は、1282年パレルモで島民によってフランス人が虐殺された、「シチリアの晩祷」と呼ばれる事件及び暴動である。

概要[編集]

1854年パリ・オペラ座の支配人ロクブランから第1回パリ万国博覧会のためにフランス風グランド・オペラの作曲を委嘱[1]され、その年の大半を作曲に費やしたが、その間に台本作家のウジェーヌ・スクリーブとの意見の対立(主に愚痴をこぼしていた)など作曲は難航していたほどであった。紆余曲折の末、9月の終わり頃に全曲を完成させる。

完成後の10月に初演に向けての準備と練習が行われたが、プリマドンナのソフィー・クルヴェリが愛人と共に突然失踪して騒動となり、この失踪によって支配人が交代するという騒ぎ(スキャンダル)となったが、5週間後にクルヴェリが戻って準備と練習が再開したものの、当初予定していた初演は大幅に遅れる結果となった[2]

初演は1855年6月13日にオペラ座で行われ、スペクタクルな素材が好評を受けて大きな成功を収める。この成功に鑑みて、12月26日にパロマのテアトロ・レッジョで行われているが、このイタリア初演は検閲当局が難色を示したため、『ジョヴァンナ・デ・グズマン』(A. フシナートのイタリア語訳による)とタイトルを変更され、1856年2月4日ミラノ・スカラ座でエウジェーニオ・カイミの翻訳と改作によって上演されている。

なお、オペラ座で行われた初演は、10年間で62回上演された記録が残っているが、標準的なレパートリーには入れなかったという。

リブレット[編集]

台本(リブレット)ウジェーヌ・スクリーブとシャルル・デュヴェイリエによる[3]が、使用した台本の原作は『アルバ公爵』で、当初アレヴィのために書いたものだが、アレヴィはこれを使わなかったため、1839年ドニゼッティに作曲を依頼をする。しかしドニゼッティは作曲の途中に没したため、『アルバ公爵』は未完に終わってしまう。

後にスクリーブが既存の台本を改訂し、そのままヴェルディのオペラに改訂版を使用した。

登場人物[編集]

人物名 声域 初演時のキャスト
(1855年6月13日)
ギー・ド・モンフォール(モンフォルテ) バリトン シチリアの総督 マルク・ボヌエ
アンリ(アッリーゴ) テノール 若いシチリア人 ルイ・ゲマール
エレーヌ(エレナ) ソプラノ 公女、フレデリック侯爵の妹 ソフィー・グルヴェリ
ニネッタ コントラルト その侍女
ヴォードモン伯爵 バス フランスの将校
ペテューヌ卿 バス フランスの将校
ディボー(デバルト) テノール フランス人兵士
ロベール(ロベルト) バリトン フランス人兵士
ジャン・プロシダ(ジョヴァンニ・プロチダ) バス シチリア人の医師
ダニエリ テノール シチリア人
マンフロワ(マンフレード) テノール シチリア人

その他(合唱):シチリアの男女、フランス兵たち、僧侶たち、バレエ団

楽器編成[編集]

演奏時間[編集]

全曲約3時間10分。第1幕(約27分)、第2幕(約25分)、第3幕(約28分)、第4幕(約30分)、第5幕(約15分)。なお、第3幕のバレエ音楽は約12分。

あらすじ[編集]

時と場所:13世紀の1282年。シチリア島の首都パレルモとその近郊。

序曲(シンフォニア)[編集]

シチリア舞曲風の序奏で始まり、戦いをあらわす激しい第1主題と、穏やかで抒情的な第2主題が奏される主部に入るのち、コーダは激情的に結ばれる。演奏時間は約9分。

第1幕 パレルモの中央広場[編集]

第2幕 パレルモ近郊の谷間[編集]

第3幕(各2場)[編集]

第1場 モンフォールの邸宅の書斎[編集]

第2場 壮大な広間(舞踏会場)[編集]

第4幕 城内の中庭[編集]

第5幕 モンフォールの宮殿の大広間[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 既にヴェルディは1852年の春にオペラ座と契約を結んでいる。
  2. ^ 『最新名曲解説全集 歌劇2』
  3. ^ スクリーブの原作をデュヴェイリエが脚色したもの。(『最新名曲解説全集 歌劇2』)

参考文献[編集]