シケイン

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シケインの例(合成図)

シケイン(chicane)とは、モータースポーツにおいて競技車両の速度を減速するためにコース上に設置される半径の小さい小カーブ、または小カーブ群。現代のモータースポーツでは先行車両に追いつき追い越しができる最良の地点の一つである。日本語の古い文献ではシケーンと記述されることもある。

モータースポーツにおいて競技車両は主催者の定めたコース内を走ることを義務付けられているが、シケインにおいてはその目的と形状から極めて少ないリスクでショートカットしタイムを短縮することができる場合がある。シケインのショートカットは悪質な反則として大きなペナルティが課され、失格となる場合もある。しかし1990年以降はシケインをショートカットした場合でも競技者が利益を受けなかった場合は処罰しないという風潮が各競技団体で広まっており、多くの場合はペナルティは課されない。

また、道路交通上でも交通事故防止の観点からシケインを設置する場合がある。本項では主にモータースポーツにおけるシケインについて記述している。

目次

[編集] 形状

通常クランク状をなしており、充分な減速をしなくては曲がれないような小さな半径のコーナーの組み合わせで構成されている。中には、S字状に近いものもあり、充分な減速をしなくても曲がれるものもあり、「高速シケイン」と呼ばれることがある。

[編集] 目的

シケインが設置される主な目的は、以下の通りである。

  1. 長い直線の後で急激な減速を強いることで、2台の車の間にブレーキング競争が誘発し、追い抜きを助長する。
  2. 長い直線の中間に減速区間を設けることで、危険な速度域に達することを抑制する。

モータースポーツにおいて、車両の減速にはその性能と運転者の技量により減速度に差が出るため、シケインを設置することで追い抜きを誘発することができる。一般的にシケインは、通常のコーナーよりも大きな減速が要求される。 また、現代のモータースポーツにおいては車両の性能向上により、あまりに長い直線などでは、速度が危険域に達することがあるため、それを抑止するために設置されることがある。長大な直線の途中に設置して最大速度を落としたり、直線の終わりに設けることで高速でコーナーに進入することを防ぐことができる。

[編集] 設置方法

設置されるシケインには、常設のものと仮設のもの、そして選択式のものが存在する。

常設
サーキットにおいて、シケイン状にコースが設定されており動かせないもの。サーキットの設計がシケインを取り込んでいるものといえる。この場合、通常はシケイン進入前のコース延長線上にサンドトラップやグリーンなどの退避エリアが設けられている。
仮設
サーキットにおいて幅員の広い直線状、あるいは仮設サーキットに設置されるシケイン。路上に仮設の縁石・パイロン・フェンスなどで区切られシケインとされている。モンテカルロ市街地コースのヌーベルシケインのように、直線の終点に設けられているものは退避路が置かれているものもある。
選択式
サーキットにおいて、シケインを使用することも使用しないこともできるように両方の路面を設置しているものがある。鈴鹿サーキットのシケインも従来このタイプであったが、シケインの常態化により減ってきている。使用しないほうの路面をパイロンや縁石で塞いで使用する。代表的な例は富士スピードウェイの第10コーナー。

[編集] 設置箇所

主に長い直線の中間、あるいは直線の終点に設置される。近年では、コーナーの中間や出口など、その本来の目的にそぐわない箇所に設置されるケースも少なくない。目的に応じて、そのコースの設計者や管理者が決定する。前述の目的2のために直線に置かれているか、目的1と目的2の両方を充たすために、直線後に設置されることが多い。

[編集] 著名なシケイン

カシオトライアングル
日本鈴鹿サーキットの最終コーナー手前にあるシケイン。80年代までは選択式のシケインだった。選択式のシケインは中央に三角州状のグリーンゾーンが形成され、その地点にスポンサーとして広告を置いていたカシオにちなみカシオトライアングルと呼ばれた時期があった。現在はシケイン利用の常態化により常設のシケインとなっており、単にシケインと呼ばれている。
バスストップシケイン
ベルギースパ・フランコルシャンの最終コーナーを兼ねているシケイン。付近にバス停があるためこう呼ばれている[1]。長いアクセル全開区間の終わりにあるため、多くのオーバーテイクが見られる。接触事故も多い。

[編集] 語源

英単語のchicaneには、「合法的な詭弁・ごまかし」といった意味がある。