シェイク・ユア・マネーメイカー

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シェイク・ユア・マネーメイカー
エルモア・ジェームスシングル
A面 "Look on Yonder Wall"
リリース 1961年12月
規格 7" single
録音 ルイジアナ州ニューオーリンズ、J&Mスタジオ、1961年9月
ジャンル ブルース
時間 2:30
レーベル Fire (Cat. no. 504)
作詞・作曲 エルモア・ジェームス
プロデュース ボビー・ロビンソン (Bobby Robinson)
エルモア・ジェームス シングル 年表
"Done Somebody Wrong"/ "Fine Little Mama"
(1960)
"Shake Your Moneymaker"
(1961)
"Stranger Blues"/ "Anna Lee"
(1962)
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シェイク・ユア・マネーメイカー (Shake Your Moneymaker)」ないし「シェイク・ユア・マネー・メイカー (Shake Your Money Maker)」は、エルモア・ジェームス1961年に吹き込み、ブルーススタンダード曲となった楽曲[1]。先行した様々な曲を踏まえて作られたこの曲は、ブルースや多分野のアーティストたちによって様々に解釈され、録音されてきた。「シェイク・ユア・マネーメイカー」は、ロックの殿堂が選んだ「ロックン・ロールの歴史500曲 (500 Songs that Shaped Rock and Roll)」にも選ばれている[2]

先行した楽曲[編集]

1958年、シカゴのブルース歌手でハーモニカ奏者のシェイキー・ジェイク・ハリス (Shakey Jake Harris) が、マジック・サムのギター、ウィリー・ディクスンのベースを含むバンドのとともに、「ロール・ユア・マネーメイカー (Roll Your Moneymaker)」という曲を吹き込んだ (Artistic 1502)。この曲は、12小節構造のブルースで、ブレイクが数カ所入り、「ロール・ユア・マネーメイカー」というコーラス(繰り返し歌われる部分)が入っていた。エルモア・ジェームスの伝記のひとつによると、「シカゴのブルース界に伝えられた話では、ドラマーで歌も歌ったジェイムズ・バニスター (James Bannister)がこの「ロール・ユア・マネーメイカー」という曲の作者だといわれているが、バニスターはこの曲を吹き込むことはなかった(バニスターは、J・T・ブラウン (J. T. Brown))やマジック・サムと共演経験があった)[3]。また、ジェームス盤の「シェイク・ユア・マネーメイカー」のリズム・ギターの演奏は、ミシシッピ・ジョン・ハート1928年に吹き込んだ「Got the Blues Can't Be Satisfied」 (OKeh 8724) からヒントを得たものだとする指摘もある[3]

一部には、「シェイク・ユア・マネーメイカー」は、チャーリー・パットン1929年に吹き込んだ「Shake It and Break It」(Paramount 12869) や、ブッカ・ホワイト (Bukka White) が1937年に吹き込んだ「シェイク・エム・オン・ダウン (Shake 'Em On Down)」(Vocalion 03711) のバリエーション(変奏)だとする見方もある[1]。いずれにせよ、この曲は長くエルモア・ジェームスの「オリジナル」と見なされてきている[4]

エルモア・ジェームスの録音[編集]

「シェイク・ユア・マネーメイカー」は、テンポが早い、12小節のブルース形式の曲で、スライドギターが特徴となっている。ジェームスはこの曲を、1961年の夏に、ルイジアナ州ニューオーリンズコズィモ・マタッサのスタジオ(J&Mスタジオ)で、「キャンドルライト (candlelight)」と称される労働組合員以外のミュージシャンを使ったセッションによって、吹き込みを行なった[3]。ドラマーでブルースハープ奏者のサム・マイヤーズ (Sam Myers) によれば、ジェームスは労働組合と問題を引き起こしており、録音セッションは夜になってから、光を落として、近所の住民の注意を引かないように行なわれたという[3]。この録音のためにジェームスは、ミシシッピ版のバックバンドとして、ジョニー・"ビッグ・ムース"・ウォーカー (Johnny "Big Moose" Walker)(ピアノ)、サミー・リー・ブリー (Sammy Lee Bully) (ベース)、キング・モーズ・テイラー (King Mose Taylor)(ドラム)を集め、ザ・ブルームダスターズ (The Broomdusters) と称した。吹き込みは、1回目は失敗したものの、2回目のテイクがシングル盤のマスターとして使用された。このセッションでは、数曲の録音が行なわれたが、当時は「シェイク・ユア・マネーメイカー」と「Look on Yonder Wall」だけがレコード化された。

「シェイク・ユア・マネーメイカー」はジェームスにとった、最も広く知られた曲となり、ダンス曲としても人気が出た。活動家で作家のジェームズ・メレディスは、エルモア・ジェームスがミシシッピ州の「Mr. P's という粗末なジューク・ジョイントjuke joint:安酒場)で」、この曲を演奏し、「群衆を熱狂させる」様子を実見したことを書き記している[5]。また、「30分かそれ以上、休むことなくバンドがこの曲を演奏することもよくあり、演奏が終わると集まっていた群衆が、もっとやってくれと懇願することもしばしばだった」という[3]

他のバージョン[編集]

ポール・バターフィールド (Paul Butterfield) は、「シェイク・ユア・マネー=メイカー (Shake Your Money-Maker)」を1965年のアルバム『The Paul Butterfield Blues Band』に収録している。このバターフィールド盤の演奏は、ドアーズのギタリストだったロビー・クリーガーに,バンドの曲「ブレイク・オン・スルー」のリフのアイデアを与えた[6]

1968年、「シェイク・ユア・マネーメイカー」は、フリートウッド・マックのデビュー・アルバム『フリートウッド・マック』に収録された。

ジョージ・ソログッド (George Thorogood) は、1988年のアルバム『Born to Be Bad』に、この曲を収録した。

1999年には、ブラック・クロウズが、ジミー・ペイジと共演したライブ演奏を録音し、2000年に『Live at the Greek』としてリリースした。なお、ブラック・クロウズは、1990年のデビュー・アルバムの名が『シェイク・ユア・マネー・メイカー (Shake Your Money Maker)』であったが、このアルバムにはこの曲は収録されていない。

2010年6月、エリック・クラプトンジェフ・ベックは、クラプトンが主催したクロスローズ・ギター・フェスティバル (Crossroads Guitar Festival) で、この曲を一緒に演奏した。

この曲はまた、2010年フォガットのアルバム『Last Train Home』にも収録されている。さらに、ロッド・スチュワート2013年のアルバム『タイム~時の旅人~ (Time)』にも、ボーナス・トラックとして収録されている。

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b Herzhaft, Gerard (1992). “Shake Your Moneymaker”. Encyclopedia of the Blues. University of Arkansas Press. p. 470. ISBN 1-55728-252-8. 
  2. ^ 500 Songs That Shaped Rock and Roll”. Exhibit Highlights. Rock and Roll Hall of Fame (1995年). 1995年時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年3月4日閲覧。
  3. ^ a b c d e Franz, Steve (2003). The Amazing Secret History of Elmore James. Walsworth Publishing. pp. 115–17. ISBN 0-9718038-1-1. 
  4. ^ (1992年) Elmore James『Elmore James — King of the Slide Guitar』のアルバム・ノーツ, p. 13. Capricorn Records.
  5. ^ Gioia, Ted (2008). Delta Blues. W. W. Norton. p. 314. ISBN 978-0-393-33750-1. 
  6. ^ The Story of "Break on Through" by The Doors