ザ・リバー (アルバム)

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ザ・リバー
ブルース・スプリングスティーンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1979年4月 - 1980年8月、ニューヨーク・パワーステーション
ジャンル ロック
時間
レーベル コロムビア
プロデュース ジョン・ランドー、ブルース・スプリングスティーン、スティーヴ・ヴァン・ザント
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(アメリカ[1]、ノルウェー[2]
  • 2位(イギリス[3]、オランダ・1985年[4]、スウェーデン[5]、ニュージーランド[6]
  • 28位(日本[7]
  • ブルース・スプリングスティーン アルバム 年表
    闇に吠える街
    (1978)
    ザ・リバー
    (1980)
    ネブラスカ
    (1982)
    ブルース・スプリングスティーン アンド Eストリートバンド 年表
    闇に吠える街
    (1978)
    ザ・リバー
    (1980)
    ボーン・イン・ザ・U.S.A.
    (1984)
    テンプレートを表示

    ザ・リバー』 (The River) は、ブルース・スプリングスティーンが1980年に発表した2枚組アルバムである。

    来歴[編集]

    アルバムの原点はスプリングスティーンの過去の作品に遡る。「独立の日」、「ポイント・ブランク」、「タイズ・ザット・バインド」、「恋のラムロッド・ロック」、それに「愛しのシェリー」は前作『闇に吠える街』の名残であり、「裏通り」の挿入として使われた「ドライブ・オール・ナイト」同様、1978年のツアーで演奏していた。「愛しのシェリー」と「ザ・リバー」は1979年9月の「安全なエネルギーを求めるミュージシャン連合」のコンサートで披露され、この様子は1980年7月のドキュメンタリー映画『ノー・ニュークス』に収録されている。

    当初は『タイズ・ザット・バインド』のタイトルで1979年に1枚組アルバムとして発売される予定であった。しかしスプリングスティーンはこれを「軽すぎる」と判断し、「ザ・リバー」を書いた後に暗い曲を追加した。確かに、『ザ・リバー』は軽薄な曲と厳粛な曲との混合で有名になった。これは意図的ものであり、暗闇との対比を示したものである。スプリングスティーンのはインタビューで以下のように語った。「ロックンロールはいつも楽しく、確かにハッピーだ。人生においては最も素晴らしいものだな。だけど、ロックには厳しさ、無情さ、そして孤独もあるんだ… 俺は人生にはこんな矛盾があるという理解にたどり着いた。君らも同じことだぜ」

    ハングリー・ハート」はスプリングスティーン初の全米トップ10に入った曲で、最高順位は5位。当初はスプリングスティーン自身ではなくラモーンズのために作った曲だったが、マネージャー兼プロデューサーのジョン・ランドーが自分で使うよう説得したものである。アルバムは全米アルバムチャートで初の1位となり、発売からクリスマスの期間でアメリカ国内160万枚の売り上げを記録した。後続のシングル「消え行く男」は最高20位とつまずき、この曲をシングルにしたことを疑問視されている。

    アルバム発売後の1980年から1981年に北米、西欧での長期ツアーが行われた。「キャディラック・ランチ」、「恋のラムロッド・ロック」、「表通りにとびだして」、「二つの鼓動」といったアップテンポのロックナンバーは、その後数十年にわたりコンサートの中核をなすことになる。

    LP時のサイド3、サイド4それぞれの最終トラック「盗んだ車」と「雨のハイウェイ」での異質に静かで不安なアレンジは、将来のスプリングスティーンの音楽傾向の兆しとなっている。

    その後の売り上げでRIAAによりクインタプル・プラチナ(500万枚)を認定され、スプリングスティーンの最も売れたアルバムの1つとなった。

    『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、253位にランクイン[8]。また同誌読者投票で『史上最高の二枚組アルバム』(2014年)の4位に選ばれている[9]

    「ドライブ・オール・ナイト」と「盗んだ車」は、1997年の映画『コップランド』で作風を傾向づける重要な役割を演じた。

    「ドライブ・オール・ナイト」と「表通りにとびだして」は、2007年の映画『再会の街で』で使用され、アルバムについても作中で何度か言及されている。

    2009年11月8日に、マディソン・スクエア・ガーデンにてアルバムの全曲演奏ライブを行った。

    収録曲[編集]

    Side 1
    1. タイズ・ザット・バインド (The Ties That Bind) - 3分34秒
    2. 愛しのシェリー (Sherry Darling) - 4分3秒
    3. ジャクソン刑務所 (Jackson Cage) - 3分4秒
    4. 二つの鼓動 (Two Hearts) - 2分45秒
    5. 独立の日 (Independence Day) - 4分50秒
    Side 2
    1. ハングリー・ハート (Hungry Heart) - 3分19秒
    2. 表通りにとびだして (Out in the Street) - 4分17秒
    3. クラッシュ・オン・ユー (Crush on You) - 3分10秒
    4. ユー・キャン・ルック (You Can Look (But You Better Not Touch)) - 2分37秒
    5. アイ・ウォナ・マリー・ユー (I Wanna Marry You) - 3分30秒
    6. ザ・リバー (The River) - 5分1秒
    Side 3
    1. ポイント・ブランク (Point Blank) - 6分6秒
    2. キャディラック・ランチ (Cadillac Ranch) - 3分3秒。同名のモニュメント英語版が存在する。
    3. アイム・ア・ロッカー (I'm a Rocker) - 3分36秒
    4. 消え行く男 (Fade Away) - 4分46秒
    5. 盗んだ車 (Stolen Car) - 3分54秒
    Side 4
    1. 恋のラムロッド・ロック (Ramrod) - 4分5秒
    2. ザ・プライス・ユー・ペイ (The Price You Pay) - 5分29秒
    3. ドライブ・オール・ナイト (Drive All Night) - 8分33秒
    4. 雨のハイウェイ (Wreck on the Highway) - 3分54秒

    メンバー[編集]

    Eストリートバンド[編集]

    追加ミュージシャン[編集]

    • ハワード・ケイラン、マーク・ヴォルマン - バック・ボーカル(「ハングリー・ハート」)

    制作[編集]

    • ブルース・スプリングスティーン、ジョン・ランドー、スティーヴ・ヴァン・ザント - プロデューサー
    • ニール・ドーフスマン - エンジニア
    • ボブ・クリアマウンテン - ミキサー
    • チャック・プロトキン - ミキサー
    • トビー・スコット - ミキサー
    • フランク・ステファンコ - カヴァー・アート

    脚注[編集]

    外部リンク[編集]