ザ・ムーンドッグス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ザ・ムーンドッグスThe Moondogs)は、アメリカ合衆国プロレスラーによるタッグチームユニット1980年代から2000年代にかけて、歴代のメンバーによってWWFUSWAなどで活躍した。

このギミックの先達である "ムーンドッグ" ロニー・メイン[1]と同様、伸ばし放題のブロンドの髪と髭、荒縄をベルト代わりに通したボロボロのジーンズ凶器としても使用する動物の骨をトレードマークに、ラフファイト主体のヒールとして活動を続けた[2]

メンバー[編集]

  • キングKing) (1980年 - 1981年)
    • 前身は国際プロレスの常連外国人選手でもあったカナダ出身のセーラー・ホワイトWWFでのオリジナル・ムーンドッグスのリーダー格だったが、カナダでの犯罪歴のためアメリカで活動できなくなり、短期間で離脱。
  • レックスRex) (1980年 - 1986年)
  • スポットSpot) (1981年 - 1997年、2003年)
    • 前身はウェイン・ファリスとのブロンド・ボンバーズで活動していたラリー・レイザム。キングの後任として加入。ムーンドッグ名義での活動は歴代メンバーで最長であり、ユニットの総帥的な存在だった。
  • スパイクSpike) (1987年 - 1993年)
    • 前身はトージョー・ヤマモトの弟子のディジー・ゴールデンことビル・スミスソン[3]サンアントニオのテキサス・オールスター・レスリングで活動後、レックスとのコンビを解消したスポットの新パートナーとなった。
  • クジョーCujo) (1992年 - 1993年)
  • スプラットSplat) (1993年)
    • 前身は1980年代後半にCWAにて活動していたゴライアスことビル "ババ" ホワイト[6]。身長203cm・体重182kgとクジョーを上回る巨体の持ち主で、「スーパー・ムーンドッグ」の異名を持つ[7]

彼らはそれぞれ、英語圏におけるポピュラーなの呼び名(日本での「ポチ」や「シロ」など)を自身のリングネームにしていた。このほか、USWA末期の1996年には「ローバーRover)」、スポット現役復帰後の2003年には「パピー・ラブPuppy Love)」などのムーンドッグが登場し、スポットのパートナーとなった。USWAでは1990年代後半、女子レスラーのダイアン・フォン・ホフマンが「フィフィFifi)」[8]、黒人選手のアキーム・モハメッドが「ブラック・ムーンドッグBlack Moondog)」を名乗って一時的に加入していたこともある[2]

来歴[編集]

WWF[編集]

1980年末、カナダを代表する流血ファイターだったセーラー・ホワイトが「キング」、アメリカ南部を主戦場としていたランディ・コリーが「レックス」に扮し、キャプテン・ルー・アルバーノマネージャーWWFで結成された。コリーは当初リッパー・ホーキンスのリングネームでWWFにデビューする予定だったが、1978年に死去した "ムーンドッグ" ロニー・メインに風貌が似ていたこともあり、ビンス・マクマホン・シニアによってこのギミックが与えられたという[9]

以降、プロモーション用のインタビューでもまともな言葉を発することなく、犬のような唸り声をあげながらカメラの前を徘徊するなどのキャラクター設定のもと、野獣派の巨漢タッグチームとして活動。1981年3月17日、ペンシルベニア州アレンタウンにてトニー・ガレア&リック・マーテルを破り、WWFタッグ王座を獲得した[10]

しかし、カナダでの過去の犯罪歴が発覚したキングがアメリカに入国できなくなったため[2][11]テネシー地区のタッグプレイヤーだったラリー・レイザムが「スポット」を名乗り、キングに代わるレックスの新パートナーとしてWWFに参戦[12] 、WWFタッグ王座を継承することとなった[13]。同年6月8日にはニューヨークマディソン・スクエア・ガーデンにて、新日本プロレス藤波辰巳&谷津嘉章を相手に防衛戦を行っており[14]、この試合は日本でもテレビ朝日の『ワールドプロレスリング』において放送された。

7月21日にガレア&マーテルに王座を奪還されてからもチームを継続させ、1982年からはジョージア・チャンピオンシップ・レスリングジム・クロケット・プロモーションズなどNWAの主要テリトリーにも参戦。プエルトリコWWCでは世界タッグ王座をはじめ各タッグタイトルを総なめにした[15][16]1983年4月4日にはメンフィスCWAにて、スティーブ・カーンスタン・レーンファビュラス・ワンズからAWA南部タッグ王座を奪取している[17]

1984年より、全米侵攻を開始したWWFにジョバーのポジションで復帰。USエクスプレス(バリー・ウインダム&マイク・ロトンド)やブリティッシュ・ブルドッグスダイナマイト・キッド&デイビーボーイ・スミス)など、ベビーフェイスの新王者チームの引き立て役を担った[9]1986年6月24日にはハルク・ホーガン&ポール・オーンドーフと対戦。オーンドーフがホーガンにタッチすることなく1人でムーンドッグスを倒したこの試合は、ホーガンとオーンドーフの仲間割れアングルにおいて重要な伏線となった[18]

USWA[編集]

その後、レックスのギミック・チェンジによりムーンドッグスは一旦解散。1987年に揃ってWWFを退団したものの、以降両者は袂を分かち、スポットはテネシー時代以来の盟友ビル・スミスソンを「スパイク」に変身させてムーンドッグスを再編する。10月にはスポット&スパイクのコンビで全日本プロレスに初来日、ブルーザー・ブロディと組んで6人タッグマッチにも出場した。

ニューイングランドのICWやアラバマのCCWなどを転戦後、1991年よりCWAの後継団体USWAを主戦場に、ジェリー・ローラー&ジェフ・ジャレットと抗争を展開[2]1992年からはWWFでヒルビリー・ギミックのカズン・ジュニアを演じていたラニー・キーンが「クジョー」に扮して加入し[19]、一時はトリオのユニットとしても活動した。彼らとローラー&ジャレットとのUSWA世界タッグ王座を巡る抗争劇は、1992年のPWI "Feud of the Year" にも選定されている[20]

以降もブルーズ・ブラザーズ(ロン&ドン・ハリス)、ハーレム・ナイツ(ネルソン&ボビー・ナイト)、ロックンロール・エクスプレスリッキー・モートン&ロバート・ギブソン)などのチームを抗争相手に、近年のハードコア・レスリングに通じる狂乱ファイトを繰り広げ[2]、USWA世界タッグ王座を再三に渡って獲得した[21]

1993年は身長203cm・体重182kgの超巨漢ビル・ホワイトが「スプラット」としてメンバーに参入[7]。2月から4月にかけて、スポットと組んでUSWA世界タッグ王座に4度戴冠している[21]。同年11月には、スパイク&スプラットのチームでW★INGプロモーションへの来日も実現した。なお、スプラットはCWAにてゴライアス(Goliath)と名乗り、1987年2月にビッグ・ババとのコンビでAWA南部タッグ王座を獲得したことがある[17]

スパイク、クジョー、スプラットが離脱後の1994年からは、ネイサン・ランドルフがオリジナル版のランディ・コリーと同じ「レックス」のリングネームで新加入[22][23]ジム・コルネット主宰のスモーキー・マウンテン・レスリングにも参戦した[24]1996年にはクレージー・ポール・マックナイトが「ローバー」を名乗ってスポットの新パートナーとなったが[25]、USWAが活動を停止した1997年、スポットのセミリタイアに伴いムーンドッグスも解散した。

解散後[編集]

2003年、現役復帰したスポットが「パピー・ラブ」こと新人のマイク・フラワーズを従えてムーンドッグスを再結成[22]。同年5月に旗揚げされたインディー団体メンフィス・レスリングへの参戦を開始したが、11月29日にミッドサウス・コロシアムで行われたジェリー・ローラーのバースデイ・イベント "Jerry Lawler's Birthday Bash" での試合中に心臓発作を起こして衰弱状態となり[26]、病院に搬送されたが死去[2][12]

2007年4月27日にはラニー・キーンがムーンドッグ・クジョーの名義で同団体主催の "PMG Clash of Legends" に出場(メインイベントはハルク・ホーガンポール "ザ・ジャイアント" ワイト)。ザ・バーバリアンから勝利を収めたが、彼も2009年1月に故人となった[19]。オリジナル・メンバーのセーラー・ホワイトも2005年8月に鬼籍に入っており[11]、以降ムーンドッグスが再結成されたことはない。

得意技[編集]

合体攻撃
凶器攻撃
  • ボーンショット(Boneshot ) - 動物の骨での殴打

獲得タイトル[編集]

WWF
CWA
  • AWA南部タッグ王座:5回(w / レックス&スポット)[17]
WWC
  • WWC世界タッグ王座:1回(w / レックス&スポット)
  • WWC北米タッグ王座:1回(w / レックス&スポット)
  • WWCカリビアン・タッグ王座:1回(w / レックス&スポット)
USWA
  • USWA世界タッグ王座:16回(w / スポット&スパイク×3、スポット&クジョー×3、スパイク&クジョー×2、スポット&スプラット×4、スポット&レックス×3、スポット&ローバー×1)[21] ※レックスは2代目のネイサン・ランドルフ[22][23]

脚注[編集]

  1. ^ Wrestler Profiles: Lonnie "Moondog" Mayne”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Legends: The Moondogs”. Lethal Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  3. ^ Wrestler Profiles: Moondog Spike”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  4. ^ Wrestler Profiles: "Luscious" Lanny Keane”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  5. ^ Wrestling Database: Cousin Junior”. Cagematch. 2011年5月26日閲覧。
  6. ^ Print page: Moondogs”. Infinite Core Technologies. 2011年5月29日閲覧。
  7. ^ a b Wrestling Database: Moondog Splat”. Cagematch. 2011年5月29日閲覧。
  8. ^ Moondog Fifi”. Diane Von Hoffman Official Website. 2011年5月26日閲覧。
  9. ^ a b Moondog Rex still howling at the moon”. SLAM! Wrestling: December 7, 2009. 2010年5月26日閲覧。
  10. ^ History of the WWE World Tag Team Championship”. WWE.com. 2011年5月25日閲覧。
  11. ^ a b Canadian Hall of Fame: Sailor White”. SLAM! Wrestling. 2011年5月25日閲覧。
  12. ^ a b Moondog Spot dies during match”. SLAM! Wrestling: November 30, 2003. 2010年5月26日閲覧。
  13. ^ a b WWWF-WWF-WWE World Tag Team Title History”. Wrestling-Titles.com. 2011年5月25日閲覧。
  14. ^ WWE Specific Arena Results: MSG 1980-1989”. The History of WWE. 2011年5月25日閲覧。
  15. ^ Wrestler Profiles: Randy Colley”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  16. ^ Wrestler Profiles: Moondog Spot”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  17. ^ a b c AWA Southern Tag Team Title History”. Wrestling-Titles.com. 2011年5月26日閲覧。
  18. ^ WWE Yearly Results 1986”. The History of WWE. 2011年5月26日閲覧。
  19. ^ a b Lanny Kean, a.k.a. Cousin Junior, dies”. SLAM! Wrestling: January 13, 2009. 2010年5月26日閲覧。
  20. ^ PWI Feud of the Year Award”. The Accelerator's Wrestling Rollercoaster. 2010年5月26日閲覧。
  21. ^ a b c USWA World Tag Team Title History”. Wrestling-Titles.com. 2011年5月26日閲覧。
  22. ^ a b c Moondog Story Chapter 2”. Rasslin Riot Online. 2010年5月26日閲覧。
  23. ^ a b Wrestler Profiles: Moondog Nathan”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  24. ^ Smoky Mountain Wrestling January-March 1994”. ProWrestling History. 2010年5月29日閲覧。
  25. ^ Wrestler Profiles: Moondog Rover”. Online World of Wrestling. 2011年5月26日閲覧。
  26. ^ Moondog Story Chapter 1”. Rasslin Riot Online. 2010年5月26日閲覧。

外部リンク[編集]