サーモクライン

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サーモクライン(英語:thermocline)は、海洋湖沼内部で、水温が鉛直に急激に変化する層のこと。水温躍層とも訳される。

太平洋日本方(東経160度北緯30度)に見られるサーモクライン。夏(7月から9月,赤線)と冬(1月から3月、青線)の平均的な海水温と深さの関係を示す。夏に季節サーモクラインが 50 メートル付近に見られる。これとは別に 500 メートルから 1000 メートル付近で温度が急激に変化している定常サーモクラインが見られる。

海や湖は表面から日光によって暖められる。さらに表面近くはの影響によって混合されるため、深さが変化しても温度があまり変化しない。一方、日光の直接届かない深さには弱い流れがあり、低温が維持されるため、上層の暖かい層との境界に温度の急激に変化する層ができる。

海洋では、表面を暖める効果と下層の低温を保つ効果はおおきくわけて三つの時間スケールで働く。短いものは、昼間暖まり夜間冷えるという日変化がある。次に、夏に暖まり冬に冷えるという季節変化がある。以上に加え、ほぼ定常に保たれるサーモクラインが存在する。海域や気象状況などによって大きく異なるが、日変化水温躍層はおよそ数メートル以浅、季節水温躍層は数百メートル、定常水温躍層は千メートル程度の深さに発達することが多い。定常水温躍層より深い部分の水温はほとんど変化しない。

温度の急激な変化は、密度の急激な変化を意味する。そのためサーモクライン付近の流体が鉛直に動くとその変動は密度変化による浮力の差を復元力としてとなってサーモクライン上を伝播する。これは内部波と呼ばれる。内部波の発生要因は潮汐と海底地形の相互作用や、海上の風であり、波長は数十メートルから数百キロメートル、波高は数センチメートルから最大百メートル程度のものまである。特に赤道付近ではコリオリ力が非常に小さくなる効果のため、大規模な波が伝わりやすい。太平洋赤道付近をつたわる内部波はエルニーニョ現象の発生発達に重要な役割を果たす。

水中の音速は温度によって大きく変化するため、サーモクラインの変動は潜水艦ソナーの性能を大きく左右する。たとえば、正午頃に海面温度が急上昇することにより顕著な温度境界が生じ、浅深度で発信するアクティブソナーの探知能力が極端に低下してしまう。この現象は「アフタヌーンエフェクト」(午後の効果)とよばれていて、アクティブソナー独特の特性である。潜水艦はサーモクライン下 200 フィートで艦艇襲撃の機会を窺っている。また、上記の内部波も音波伝播路を不規則に歪ませる作用を持つ。

シュノーケルスキューバダイビング中に、浅いサーモクラインが蜃気楼のように見えることがある。これは水温によって海水の光の屈折率が変化するためである。