サッカー専用スタジアム

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サッカー専用スタジアム(サッカーせんようスタジアム、英語: Football-specific Stadium)はアメリカ合衆国サッカー選手であり、アメリカ合衆国のサッカークラブやアメリカンフットボールクラブチームのオーナーを務めたラマー・ハント英語版により提唱された用語である。フットボールといえばアメリカンフットボールないしはカナディアンフットボールのことを指す北米においてサッカー専用スタジアムとは、多目的スタジアム英語版の内、サッカーの試合を開催するために特化したスポーツ用のスタジアムを指す。よく似た用語に球技専用スタジアムというものもあるが、こちらはサッカーやラグビーなど球技全般の使用を想定して建設されたスタジアムを指す。敷地や日程の関係上ラクロスアメリカンフットボールラグビーの試合やコンサートに使用されることもあるが、サッカー専用スタジアムは基本的にサッカーの試合専用に建設されたスタジアムである。また、アメリカ合衆国のいくつかの施設(例: トヨタパークFCダラス・スタジアムコロンバス・クルー・スタジアム)ではスタジアム端の部分にステージが常設されているようなサッカー専用スタジアムも存在する。

サッカー専用スタジアムは設備や規模の面においてサッカーの試合に適した規格に整備してあることが一般的であり、スコアボード、ビデオスクリーン、VIPルーム、観客席用の屋根などが設けられている。サッカーのピッチはFIFAが規定する大きさ、具体的にはゴールライン間100-110m、サイドライン間64-75m[1]の大きさに整備されている[2]。これはアメリカンフットボールの国際試合を行う際のフィールドの大きさよりもゴールライン間で約10m、サイドライン間では15から20m大きく、カナディアンフットボールのスタジアムと比較するとゴールライン間はほぼ同等、サイドライン間は10mほど大きい。また、収容人数は一般的に試合を間近で見ることができるように少なく設定していることが多く、アメリカ合衆国国内最上位リーグのメジャーリーグサッカー(MLS)では18,000~30,000人、北米サッカーリーグ(2部)もしくはUSLプロフェッショナルリーグ(3部)では5,000人から15,000人の間に収容人数を設定している。MLS開始当初に各チームが使用を余儀なくされていたアメリカンフットボール専用スタジアムの収容人数は一般的に6~8万人であり、USLプレミアデベロップメントリーグ(4部)のチームが使用する競技場の収容人数は1,000~5,000人である。アメリカ合衆国初のサッカー専用スタジアムはオハイオ州コロンバスに本拠地を置くコロンバス・クルーコロンバス・クルー・スタジアムであり、カナダ初のサッカー専用スタジアムはトロントFCが本拠地を置くオンタリオ州トロントBMOフィールドであった。

北米においてサッカー専用スタジアムは1990年代に初めて使用が開始された。これ以前、アメリカ合衆国のプロサッカーでは主にアメリカンフットボール専用スタジアムを使用してサッカーの試合をしていたが、多くの場合スタジアムは観客数の面では規模が大きすぎ、かつサッカーのピッチの大きさという面では規模が小さいという問題を抱えていた。また、アメリカンフットボールのスタジアムは人工芝を用いていることが多かった。(当時、FIFAの規定ではサッカーの国際試合に人工芝のスタジアムを使用することは禁止されていた)新たに建設された野球場の多くは、収容人数が少なく競技を行うピッチが広いという面においてアメリカンフットボール専用スタジアムよりもサッカーの試合に使用するには都合が良かったものの、これらの野球場はアメリカ合衆国のプロサッカーリーグが活動している時期には一般的に野球チームが使用しており、使用許可が出ることは期待できなかった。従って、アメリカ合衆国のプロサッカーリーグではサッカー専用スタジアムの建設を始めることとなった。

「サッカー専用スタジアム」という用語は時に、サッカーが「フットボール」として知られる国で使用されることがあるが、「フットボール」という用語が一般的な国においては「サッカーのためのスタジアム」という概念がありふれたものであるため、「専用 (Specific)」という用語を用いて区別化をすることは一般的ではない。従って、アメリカ合衆国のアメリカンフットボールやオーストラリアのオージーフットボールなどのように、国内でサッカーよりも一般的な「フットボール」が存在する国、もしくは野球が盛んな国(日本韓国中国台湾などの極東地域、メキシコパナマなどの中央アメリカドミニカ共和国プエルトリコなどのカリブ海地域)で使用される用語となっている。また、これらサッカー専用スタジアムという用語を用いる国においても定義は地域によって少しずつ異なるが、一般的にピッチの周辺にオールウエザートラック英語版[3](全天候型陸上トラック)が配置されていないスタジアムであるという特徴を有する。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Laws of the Game 2010/2011 (PDF)”. FIFA. p. 7. 2013年5月14日閲覧。
  2. ^ 公式のサッカー競技規則では、成人が行う試合においてはゴールライン間90-120m、サイドライン間45-90mの大きさのピッチの使用を認めているものの、国際試合ではより厳しい規定が適用されるためプロサッカーの試合を開催するようなスタジアムでは国際試合を開催できる規模のスタジアムにすることが多い。
  3. ^ オールウエザートラック - デジタル大辞泉の解説 コトバンク