サザエさん方式

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サザエさん方式(サザエさんほうしき)とは、物語において話が進行しても登場人物が歳をとらないことを指す。

漫画アニメサザエさん』の登場人物がこの方式をとっていることからそう呼ばれる。ただし季節の変化はあり、社会情勢の変化や技術の進歩にも対応する。この方式で変化しないのは人物の年齢のみである

目次

[編集] 概要

『サザエさん』は漫画が28年間に渡って連載され、アニメに至っては約40年も続いている長寿作品である。作品の中でも季節の移り変わりがあり、正月など節目の行事は幾度も行われる。つまり、月日は流れているということである。しかしこの作品の登場人物が年をとることはない。アニメのサザエは何年経っても24歳であり、カツオはいつまでも小学校5年生のままである。

このような現象は『サザエさん』以外にも多くのフィクションで見受けられ、『ドラえもん』など連載が長く続く漫画(特にギャグ漫画新聞連載の漫画)やアニメで使われることが多い。これは一定の年齢層を対象としているため、登場人物の年齢設定を対象読者・視聴者に近く設定しているが、物語の進行に合わせて人物が年を取っていくとやがて対象年齢からはずれてしまうためである。また生徒たちを中心とする学園物の場合、卒業してしまうと話が立ち行かなくなるのでサザエさん方式をとることが多い。

何年経っても年を取らないこと自体をネタにしている作品もある(例:『× ―ペケ―』、『かってに改蔵』、前述の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』など。当の『サザエさん』でも1964年12月31日掲載分で年を取らないことに言及しており、アニメでも「アニメだから年を取らなくてよかった」と発言したことがあった)。

[編集] 物語内の矛盾

一般にこうした長期連載や長寿番組化した作品の多くは時制的な矛盾が生じる。いつまでたっても登場人物が年を取らないことの不自然さに関しては、サザエさんのように社会での活動が中心の場合は同じ年の同じ時期の同じような頃を何度も見ているのだと考えれば、何とか説明がつかないでもない。しかし、体育祭文化祭などの学校行事をストーリーに取り入れることが多い学園物の場合、中学校や高校はそれぞれ3年しかないため大きな問題が生じる。例えば、学年の差による取り組みのあり方にも差が大きく、何学年時の祭りであるかは明記されなければならない傾向がある。すると、これにサザエさん方式を適用すれば中学(あるいは高校)X年生の文化祭を何回も行わなければならない。これは明らかに矛盾してしまう。そんなことは一切関係なしに何度でも行事をこなす場合もあれば、涙をのんで学年を進める例(『ここはグリーン・ウッド』では、同学年を二回繰り返した後、作中で作者が「進級」を宣言した)もある。(なかには作者が計算を尽くして構成を続け、全体を通しても矛盾のない流れになっているものも存在する(『名探偵コナン』の「作中における時間軸」の節を参照))。

[編集] 長期連載とサザエさん方式

ある時期までは物語の進行に合わせて人物が年を取っていたが、シリーズが長期に亘るに至ってサザエさん方式を取るようになった作品(漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、小説『十津川警部シリーズ』(十津川省三の年齢は「黙示録殺人事件」以後基本的に40歳で固定される)など)もある。もともと『サザエさん』も、連載初期は年を取っていたが途中から年齢の変化がなくなった。これは、ある程度の年数で完結を予定してるうちは年数を進めていたが、連載が非常に長期に亘った結果年数を進めると主人公を世代交代させなければならないほどの実年数が経過してしまい、それを避けようとしたものと思われる。逆に言えば、作者や版元の思惑を超えて連載が非常に長期化して初めて起こる現象であり、長寿作品の証と言える。

さらにこれを応用して途中まで現実時間に沿っていたもののある時期に一時的にサザエさん方式になり、その後また現実時間通りに進む作品もわずかながらある(『幕張サボテンキャンパス』『ももいろシスターズ』など)。逆に、基本的には登場人物は年をとらないものの、きわめて長い連載や番組となっていく過程で設定を変更した方がよいと判断されるなどの理由で何度か年齢が引き上げられるなどの作品も見られる。

[編集] サザエさん方式の亜種

『ドラえもん』など、学年誌(『ドラえもん』は小学館の学習雑誌)連載作品はまた事情が変わる。『ドラえもん』は最盛期は全ての学年(幼稚園および小学校1 - 6年)で連載されていたため、作中では読者の学年に合わせて年齢が設定されるという変則的な方式を取っていた。学年誌の読者に取っては、自分の年齢に合わせて登場人物も年を取っている。(『大長編ドラえもん』は小学4年。テレビアニメ版(2作第1期)は小学5年で固定)しかし、全体としてみれば、ある上限(『ドラえもん』の場合は小学6年)より先に年代は進まない。年度が進めば、新しい読者を前に再び1年前の年齢に戻るというわけである。学年誌の連載は「その学年」の読者を対象にしており、一人の読者が同一学年の漫画を読むのは1学校年度限りという前提があるため、単行本化されない限り、「サザエさん方式」の矛盾は意識されにくい。

[編集] サザエさん方式を避けた作品

ハイスクール!奇面組』では、作者はサザエさん方式を嫌い、矛盾なく登場人物に年をとらせながら進めて終わらせる予定だった。そのため中学校時代から高校2年生までは、完全に実時間通りに年代が進んでいた。しかし、連載を続けたい編集者の意向のために高校3年生が終わった時点で「タイムマシンで1年前に戻り、まだ描いていないエピソードを探し出した」ことにして連載を続行し、矛盾を避けた。

あずまんが大王』は最後まで実時間通りに連載を完結された作品の一つである。作品内の時間は実際の季節に伴って進行しており(夏に衣替え、10月に体育祭、4月に新学期・・・等)、また構成についても1年生の新学期から始まり、3年生の卒業で終了するが、あずまんが大王の連載期間は作中と同じ3年間である。
こういったケースについては好評が多く、人気作品であるにも関わらず、前学年に戻ったり、季節を引き延ばしたりせずにきっちりと3年間で完結させたことに関しては、他の作品には真似できないとして今でも高く評価されている。

その他、似たようなパターンとしては作品内の時間の流れを意図的にゆっくりにするケースがある(『魔法先生ネギま!』や『ハヤテのごとく!』など。奇面組の続編『フラッシュ!奇面組』でも、連載誌が月刊誌であったため、途中からこの方式を採用している)。時間は確かに進んでいるし、学園物なら進級もする。しかし実際の季節の移り変わりに合わせていないため、結果としての、夏に冬のエピソードが掲載されることにもなる。欠点としては連載途中からの読者には事態の把握に時間が掛かることだが、矛盾を起こさず連載を長く続けるためには効果的な手法である。

さよなら絶望先生』は「年は取っているが主要キャラは毎年留年している」という手法をとる珍しい作品である。

[編集] サザエさん方式をとっている主な作品

作品を並べるにあたって、5年以上連載か放送が続いた作品または特筆事項のある作品のみに絞った。また、連載途中からサザエさん方式に移行した作品も含む。

[編集] 植田まさしの作品

[編集] 作中で参考にしたことが明言されている作品

[編集] 物語内でサザエさん方式をネタとして扱っている作品

  • アニマル横町(原作で主人公の誕生日の度に「また5歳かい!」のお約束ギャグが出る。将来の夢を聞かれた時は「6歳(おおきく)ならないとな」と言われた事もある)
  • 伊賀ずきん(孤児である主人公の誕生日を決めるエピソードにてサザエさん方式について語られる)
  • 学園革命伝ミツルギ(一旦、卒業した3年生が次の回で再び生徒会役員として登場する経緯の説明に1話を費やしたエピソードがある)
  • かってに改蔵(毎年4月に「どうして進級しないの?」の発言に「空気読め」とツッコむ。また、この方式のことを「ぐるぐるまんが」と呼ぶ。一人だけ4月を迎えるたびに進級するキャラがいて、後輩だったのが同級生になり先輩になってしまう。作者が同じ『さよなら絶望先生』でも似たことを扱っており、キャラクターが留年扱いになっていたりする)
  • 金田一少年の事件簿金田一一七瀬美雪は高2である設定だが、劇中で何度も学園祭がある)
  • 銀魂(「私達はサザエさん方式で年を取らない」と登場人物が話しているエピソードがある)
  • ケロロ軍曹(原作で「地球とケロン星では日付のカウント法が違う」という発言がある)
  • こちら葛飾区亀有公園前派出所(長い連載の間に画風や微妙な設定が変化したことをネタにする話がある)
  • ザ・キング・オブ・ファイターズシリーズ(ゲーム作品。『'94』→『'95』のみ登場人物の年齢が加齢されたが、以後の作品では年齢が変わらない。そのため、初期シリーズの主人公草薙京はいつまでも高校を留年している事になる。また、小説版で「いつまでも高校3年生をしている」と登場人物が発言した)
  • 私立T女子学園(毎年4月に「今年も2年生」のツッコミが入る)
  • じゃりン子チエ(マサルが「来年は6年生になる」とノイローゼになり、新学期に「今年も5年生でいいんですか」と狂喜するエピソードが連載終盤に存在する。それ以外にも小ネタ的に登場人物が言及している)
  • Dr.スランプ(主人公が進級したときに2年前に卒業したはずの登場人物と同じクラスだった。しばらく学校を登場させなかった為に作者が無意識に描いてしまったらしい)
  • ど根性ガエル(大晦日に町田先生が「来年も教師生活25年、再来年も教師生活25年」と言った)
  • To LOVEる -とらぶる-(季節設定が突如として秋から夏に逆戻りし、リトが「この前まで秋だったのでは」と言ったのに対し、ララとペケから「細かい事は気にしてはいけない」とのツッコミが入る)
  • V-K☆カンパニー (「近所に『イソノさん家』があるのだ」と登場人物が話しているエピソードがある。しかしその後まもなく進級した)
  • まんがサイエンス(学年誌『5年の科学』連載。4月号に1月の取材が掲載され、1月現在の登場人物が4月号だと何年生になるのかと首をかしげるが「そういう細かいことを考えてはいけない」と専門家のツッコミが入る)
  • らんま1/2あかねが「乱馬が来てから2年」と言っているが、2人は高1のままである)

[編集] 脚注

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  1. ^ やなせたかし、鈴木一義『アンパンマン大研究』フレーベル館、1998年、36頁。ISBN 4577018985

[編集] 関連項目

  • サザエさん効果
  • 嘉門達夫 - 『NIPPONのサザエさん』において、登場人物が歳をとらないことを歌った。
  • おかげ様ブラザーズ - 『すもうとりゃ裸で風邪ひかん!』において、「サザエさん」や「ゲゲゲの鬼太郎」の登場人物・妖怪が歳をとらないことを歌った。
  • 手塚治虫は鉄腕アトム(月刊連載)に関して、連載の何年かの周期でアトムの身長が伸びたり縮んだりしたと語った。
  • 不老長寿