ゴールドバッハの予想

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偶数を二つの素数で表す方法が何通りあるか表したグラフ。

数学において、ゴールドバッハの予想は、加法整数論未解決問題の一つ。 ウェアリングの問題などと共に古くから知られている。

目次

概要[編集]

予想には、ほとんど同値ないくつかの述べ方があり、次のように述べることが多い:

4以上の全ての偶数は、二つの素数の和で表すことができる。
6以上の全ての偶数は、二つの奇素数の和で表すことができる。(4=2+2:偶素数同士の和)

このとき、同じ素数を2度使っても良いものとする。

例えば、20までの偶数を奇素数の和で表す場合は、

 6 = 3 + 3
 8 = 3 + 5
10 = 7 + 3 = 5 + 5
12 = 5 + 7
14 = 3 + 11 = 7 + 7
16 = 3 + 13 = 5 + 11
18 = 5 + 13 = 7 + 11
20 = 3 + 17 = 7 + 13

のように、二つの奇素数の和で表せている。この予想は、2007年2月現在、5×1017 までの全ての偶数について成り立つことが、コンピュータによって確かめられている。

ゴールドバッハの名を冠する由来は、上と同値な次のような予想を、クリスティアン・ゴールドバッハ(Christian Goldbach, 1690年 - 1764年)がレオンハルト・オイラーへの書簡(1742年)で述べたことによる[1]

5より大きな任意の自然数は、三つの素数の和で表せる。

これから上が導けるのは、偶数を三つの素数の和で表すと素数の一つは 2 になっているからである(奇数+奇数+奇数=奇数になる。和が偶数になるには、奇数+奇数+偶数か、偶数+偶数+偶数しかない)。

多くの数学者は、素数分布の確率に関する統計学的な観察から、この予想は正しいと考えている(偶数が大きければ大きいほど、二つの素数の和で表されるというのはより"ありそうな"ことなのである)。

類似の予想として、「弱いゴールドバッハ予想」(Goldbach's weak conjecture)というものがある。これは7より大きい奇数は三つの奇素数の和で表せるという予想である。4より大きい偶数が二つの奇素数の和で表せるという「強いゴールドバッハ予想」が正しいならば、弱いゴールドバッハ予想も真である。これは

2n = p_1+p_2 \quad n>2

ならば

2(n+1)+1 = p_1+p_2+3 \quad n>2 \,

であることから明らかである。ここでp1およびp2は奇素数である。

また、一般化されたリーマン予想が正しいならば、弱いゴールドバッハ予想が導かれることが知られている[2]

現在までの主な進歩[編集]

  • ノルウェーの数学者ヴィッゴ・ブルンは1920年頃(いくつかの論文に分かれているため曖昧)、エラトステネスの篩を発展させた新しい篩法(sieve method)を用いて、十分大きなすべての偶数は、高々9つの素数の積であるような数の二つの和であることを証明した。
  • ハーディリトルウッドは1923年に、L関数に対する一般化されたリーマン予想(の若干弱い形を)を仮定して、全ての奇数 n ≧ n0 が3個の素数の和となるような下限 n0 が存在することを証明し、またその表現の個数の漸近公式を得た。また同様の仮定のもとにほとんどすべての偶数が二つの奇素数で表されること、すなわち例外的な数全体は零集合であることを証明。しかし偶数を二つの奇素数で表す仕方の数の漸近公式については予想するにとどまった。
  • 1930年ソビエトの数学者シュニレルマンは、2個の素数の和で表される数と0, 1からなる集合は正のシュニレルマン密度を持つことをブルンの篩を用いて初等的に示し、シュニレルマンの定理から、すべての自然数が高々 k 個の素数の和であるような、k が存在することを示した。
  • 1937年ソビエトの数学者イヴァン・ヴィノグラードフは三素数の問題に関して、三角和の方法を用いてなんらの仮定なしに、上記のような定数 n0 (現在、具体的にわかっている。n_0=3^{3^{15}}(Borozdin,1939)さらに良い評価としてn_0\approx 2 \times 10^{1346}(Liu Ming-Chit and Wang Tian-Ze,2002))の存在を証明した。
  • 1938年頃、イギリスのエスターマン、ソビエトの数学者チュダコフ、オランダの数学者ヴァン・デア・コルプトらは、それぞれ独立に、なんらの仮定もせずにほとんどすべての偶数は二つの奇素数の和であることを証明した。
  • 1947年ハンガリーの数学者アルフレード・レーニは大きな篩い(large sieve)という新しい方法を用いて、すべての自然数を、素数と高々 k 個の素数の積である数との和で表すことのできるような、k が存在することを証明した。
  • 中国の数学者陳景潤(Jing-Run Chen)は1978年までに、十分大きなすべての偶数は、素数と高々二つの素数の積であるような数との和で表されることを証明した。このときの下界は具体的にわかっていない。
  • 1995年、フランスの数学者オリヴィエ・ラマレはすべての偶数が高々6個の素数の和として表せることを証明した。
  • 2002年、Heath-BrownとPuchtaは十分大きなすべての偶数は2個の素数と13個の2の冪の和で表され、一般化されたリーマン予想が正しいならば、十分大きなすべての偶数は2個の素数と7個の2の冪の和で表されることを示した。
  • 2009年、ゴールドバッハの予想に関する分散コンピューティングプロジェクト(BOINC)でGoldbach's Conjecture Projectが開始された。

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]