コルグ・TRITONシリーズ

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TRITON Le
TRITON Extreme

TRITON(トライトン)とはコルグシンセサイザーの型番・商品名。このシリーズはシーケンサーやサンプリング機能(LeとTRはオプションで拡張可能)を備えたミュージックワークステーションであり、コルグ・TRINITYシリーズの後継機種として開発・販売されている。本項目ではTRシリーズも含めて紹介する。


主な特徴[編集]

  • TRINITY同様、液晶部分にタッチパネルを採用(taktile、Le、RackとTRを除く)。
  • 筐体色はシリーズごとに違っている。
  • PCM音源はHI(Hyper Integrated)シンセシス・システムと呼ばれる。また、TRINITY同様、物理モデル音源の従来のMOSS音源を拡張可能としている(LeとTR、taktileを除く)。TRINITYシリーズのPCM容量24MB(TR-RACK 32MB)から32MBに容量が増えた一方で、TRITONはコルグ・TRINITYシリーズよりPCM音源のサンプルの質が下がったという指摘がされており、それは鍵盤を押し続けた場合のループ部分に顕著に現れると言われる。
  • TRINITY同様、61、76、88の鍵盤バリエーションがあるが、2014年春発売のTRITON taktileのみ25、49鍵盤となる。

TRITONの製品群[編集]

TRITONには初代TRITONのほかに廉価版、改良型の機種が発売されている。

商品名 発売年と特徴
TRITON 1999年発売の初代TRITON。シリーズの世代を判別しやすくするために、海外のKORGのホームページ上では初代TRITONの事をTRITON CLASSICと表記されている。61鍵以外は、鍵盤数ごとに名前の語尾が変わる。76鍵がTRITON pro、88鍵がTRITON proXとなる。筐体は薄い灰色。
TRITON Le 2001年9月発売。翌年の2002年には88鍵盤モデルが発売され、このモデルのみピアノ音が16MB追加された。タッチパネルや、オプションポートなどを省略した初心者向けの廉価版であり、軽量となっている。筐体色はシルバー。2005年には61鍵盤のみ、生産数限定の黒色モデルが発売された。
TRITON STUDIO  2002年3月発売。OSがアップグレードされたV2は2003年に発売。TRITON-RACKの機能をアップグレードしたモデルで機能的な仕様はほとんど似ているが、オプションの拡張ボードEXB-PCMシリーズの一部の音色が標準で入っている為か、唯一オプションの拡張ボードの搭載枚数が7枚となりグレードダウンしている。ハードディスクを内蔵しており、一台でMIDI伴奏データ作成だけでなく、録音、CD-Rへの書き込みが可能。筐体色はシャンパン・ゴールド。ハードディスクが5ギガバイトと20ギガバイトのヴァージョンがある。PCMの容量は、48Mbyte。
TRITON Extreme 2004年4月発売。後継機種であるM3登場までのフラッグシップ機。真空管を使用した「Valve Force」と呼ばれる機能を装備し、アナログ的な音色を作成可能。また、オプション拡張音色ボード(EXB-PCMシリーズ)の音色の殆どを内蔵しているためか、拡張音色ボードを搭載できない構造になっている(MOSSは搭載可能)。筐体色はネイビー。2005年には61鍵盤のみ、生産数限定の黒色モデルが発売された。黒色モデルは、真空管が標準の青に対し、赤色に光る。PCMの容量は、160Mbyte。
TRITON-Rack 2000年9月発売。初代TRITONをベースにした音源モジュール。オプションのプラグインボードの搭載枚数の増加や、サンプルで使用するメモリの搭載枚数及び、最大搭載可能容量も増加し8枚搭載可能で、mLAN対応など初代TRITONよりバージョンアップされた。
TR 2005年11月発売(88鍵は2006年)。TRITON Leの後継機種で、Leとの違いは筐体は黒、記憶メディアはSDカード、USB端子を装備、64MBのPCM波形ROMがある。512プログラム、GMレベル1に準拠した128プログラム+9ドラム・プログラム、384コンビネーション、200,000音記憶可能で16トラックのシーケンサーを搭載している。
TRITON taktile 2014年春発売。USBキーボードのtaktileをベースにし、定評のあったTRITONの音源を搭載したモデル。この本体のディスプレイは、歴代のどのTRITONよりも小さく、KINGKorgのように小さいディスプレイが一つあるだけである。その代わりに、Kaossilator譲りの大きなタッチ・パッドや、LEDで光るトリガー・パッドが搭載されている。

オプションボード[編集]

本体のシリーズにより搭載できるものが異なり、廉価版のシリーズにいたっては専用のオプションボードしか搭載できない。 また、TRITONシリーズの派生品であるコルグ・KARMAでも音源拡張ボードのみ搭載できる。


商品名 発売年と特徴
EXB-MOSS Z1で定評のあったMOSS音源で、この拡張ボードでは同時発音数最大6音。音源方式は使っているメーカーによって呼び方は異なるが、VA音源という物理モデル音源である。

アナログシンセのような音をシミュレーションによって音を発するためPCM音源では表現できない音色も作成可能である。

EXB-PCM01 Piano/Classic Keyboard ステレオピアノ、ビンテージ・キーボード等を中心に構成された音源。
EXB-PCM02 Studio Essential ステレオストリングス、ステレオブラス、クワイアなどを中心に構成された音源。
EXB-PCM03 Future Loop Construction リズム・ループを作るのに特化した音源。
EXB-PCM04 DANCE EXTREME ダンスミュージック向けの音色で構成された音源。
EXB-PCM05 Vintage Archives miniKORG700S、800DV、MS20、POLYSIX、Mono/Poly、Deltaなどコルグの名機から、内外の名機サウンド、ストリングスマシン、ボコーダー、レアなテープ式サンプルプレイバックキーボードの波形などの音色で構成された音源。


主なユーザー[編集]

国内アーティスト
国外アーティスト

他、多数のアーティストが使用している。

関連項目[編集]

  • けいおん! - 登場人物で作中バンド「放課後ティータイム」のキーボード担当の琴吹紬が「TRITON Extreme」(76鍵)を使用している設定であり、作中にも登場する。
    「けいおん! ライブイベント 〜レッツゴー!〜」 と「けいおん!! ライブイベント 〜Come with Me!!〜」では、琴吹紬役の声優、歌手の寿美菜子が実際に「TRITON Extreme」と「TRITON STUDIO」の実機で数曲演奏した。