ケンソル

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ケンソル (Cēnsor)は、古代ローマの高位の政務官職のひとつ[1]。日本語では「センソール」と表記されることもある。その任務は「ケンスス」と呼ぶ調査(Census センサス国勢調査)の実施とローマの風俗の引き締めであった。日本語では監察官と訳される。

他の政務官職が毎年選出されるのに対し、ケンソルは5年に1度、1年半の任期で選出される。定員は2名。

ケンソルはケンススを実施しローマ市民権保持者の数を確定し、同時に元老院議員エクィテス(騎士)の名簿を改訂する。この際不品行等を理由として既存の元老院議員やエクィテスからその地位を奪うこともできる。このような権限からローマの政務官の中でも高い地位を与えられており、最高位であるコンスル(執政官)より下位の政務官職ながらもケンソルには通常コンスル経験者が就任した。

帝政期に入るとケンススの実施や風俗の監視といった任務は元首の仕事となった。

幕末、万延元年遣米使節小栗忠順目付として赴いたが、「目付とはスパイのことだ。日本(徳川幕府)はスパイを使節として同行させているのか。」という嫌疑を受けた。その際に「目付とはCensorである」と主張して切り抜けたという。

古代ローマの人口統計[編集]

以下文献に残る古代ローマのケンススによる市民人口を表にまとめる。これらはローマ市民権を有する17歳以上の成人男性の人口とされており、出生率を超える人口増加は、ローマ市からイタリア、そしてイタリア外へのローマ市民権の拡大に対応すると解されている。

西暦 人口 出典
ca. 578–535/34 B.C. 84,700 Dion. Hal. iv. 22 (ハリカルナッソスのディオニュシオス 『ローマ古代誌』)
80,000 Liv. i.44 (リウィウス 『ローマ建国史』)
83,000 Eutr. i.7 (エウトロピウス 『ローマ史概略』)
508 B.C. 130,000 Dion. Hal. v.20; Plut. poplicola 12 (プルタルコスプブリコラ伝』)
503 B.C. 120,000 Hieron. Choron. sub Ol.69.1 (ヒエロニムス 『年代記』)
498 B.C. 150,700 Dion. Hal. v.75
493 B.C. 110,000 Dion. Hal. vi.96
474 B.C. 103,000 Dion. Hal. ix.36
465 B.C. 104,714 Liv. iii.3
459 B.C. 117,319 Liv. iii.24; Eutr. i.16
393/92 B.C. 152,573 Plin. H.N. xxxiii.1.16 (大プリニウス博物誌』)
340/39 B.C. 165,000 Euseb. Chron. Arm. sub Ol.110.1 (エウセビオス 『年代記』(アルメニア語訳))
160,000 Hieron. Chron. sub Ol.110.1
ca. 334/33–324/23 B.C. 250,000 Liv. ix.19
130,000 Plut. de Rom. fort. 13 (プルタルコス 『ローマ人の幸運について』); mor. 326c (『モラリア』)
150,000 Oros. v.22.2–3 (オロシウス 『対異教徒正史』)
294/93 B.C. 262,321 Liv. x.47 (Madvig)
272,320 Liv. Epit.X
270,000 Euseb. Chron. Arm. sub Ol.121.3
220,000 Hieron. Chron. sub Ol.121.4
260,000 Syncellus 525.5 (シュンケロス 『年代誌選集』)
ca. 290/89–288/87 B.C. 272,000 Liv. Epit.xi
280/79 B.C. 287,222 Liv. Epit.xiii
276/75 B.C. 271,224 Liv. Epit.xiv
271,234
265/64 B.C. 382,234 Liv. Epit.xvi
292,334 Eutr. ii.18
252/51 B.C. 297,797 Liv. Epit.xviii
247/46 B.C. 241,212 Liv. Epit.xix
241/40 B.C. 260,000 Euseb. Chron. Arm. sub Ol.134.3
250,000 Hieron. Chron. sub Ol.134.1
234/33 B.C. 270,712 Liv. Epit.xx
230/29 or 225/24 B.C. 273,000 Pol. ii.24.16 (ポリュビオス 『歴史』)
209/08 B.C. 137,108 Liv. xxvii.36
204/03 B.C. 214,000 Liv. xxix.37
194/93 B.C. 143,704 Liv. xxxv.9
189/88 B.C. 258,318 Liv. xxxviii.36
258,310 Liv. Epit.xxxviii
179/78 B.C. 258,294 Liv. Epit.xli
174/73 B.C. 269,015 Liv. xlii.10
267,231 Liv. Epit.xlii
169/68 B.C. 312,805 Liv. Epit.xlv 
164/63 B.C. 337,022 Liv. Epit.xlvi
337,452 Plut. Paullus 38 (プルタルコス 『パウルス伝』)
159/58 B.C. 328,316 Liv. Epit.xlvii
154/53 B.C. 324,000 Liv. Epit.xlviii
147/46 B.C. 322,000 Euseb. Chron. Arm. sub Ol.158.3; Hieron. Chron. sub Ol.158.2;
142/41 B.C. 328,442 Liv. Epit.liv
136/35 B.C. 317,933 Liv. Epit.lvi
131/30 B.C. 318,823 Liv. Epit.lix 
125/24 B.C. 394,736 Liv. Epit.lx
115/14 B.C. 394,336 Liv. Epit.lxiii
86/85 B.C. 463,000 Hieron. Chron. sub Ol.173.4
70/69 B.C. 900,000 Liv. Epit.xcviii
910,000 Phlegon sub Ol.177.3 (トラレスのプレゴン 『オリュンピア紀史』)
28 B.C. 4,063,000 Augustus Mon. Anc. ii.2 (アウグストゥス 『神君アウグストゥスの業績録』)
8 B.C. 4,233,000 Augustus Mon. Anc. ii.5
A.D. 14 4,937,000 Augustus Mon. Anc. ii.8
A.D. 47 5,984,072 Tac. Ann xi.25 (タキトゥス年代記』)
6,941,691 Euseb. Chron. Arm. sub Ol.206.2
6,944,000 Hieron. Chron. sub Ol.206.1

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ センサス(census)の語源”. 農林水産省. 2009年11月6日閲覧。

関連項目[編集]