ケルベロス (衛星)

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ケルベロス
Kerberos
Pluto P4.jpg
ハッブル宇宙望遠鏡の画像。
P4と書かれているのがケルベロス。
左は2011年6月28日、右は同年7月3日
視等級 (V) 26.1 ± 0.3[1]
分類 衛星
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 59,000 ± 2000 km[1]
離心率 (e) ≈ 0[1]
公転周期 (P) 32.1 ± 0.3 日[1]
軌道傾斜角 (i) ≈ 0[1]
冥王星の衛星
物理的性質
直径 13~34 km(推定)[1][2]
アルベド(反射能) 0.06~0.35(推定)[1]
大気圧 なし
発見
発見日 2011年7月20日(確認日)[2]
発見者 Mark Showalterらのチーム
別名称
別名称
S/2011 P 1
S/2011 (134340) 1
P4
Pluto IV[3]
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ケルベロス (Kerberos) は、冥王星衛星の1つ[4][5]

発見[編集]

ケルベロスは、冥王星の衛星としては4番目に発見されたものである[2]1978年カロン2005年ニクスヒドラに続き、2011年に発見された。

ケルベロスは、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された広域カメラ「WFC3」によって撮影された。最初の写真は2011年6月28日に撮影された[2]。その後7月3日7月20日にも観測され、最終的に冥王星の衛星として確認されたのは7月20日である[2]。実際には、2006年2月15日2010年6月25日にも撮影されていたが、微小なノイズのようにしか写っておらず、冥王星から乱反射した光に紛れ見逃されていた[2][6]。発見時の撮影は8分間の露出を行ったため、ニクスの10分の1の明るさしかないケルベロスの撮影に成功した[6]

ケルベロスは非常に暗い天体で、視等級は26.1等である。単純に露出を行うと、冥王星とカロンが明るすぎるためうまく行かない。撮影は両天体を隠して行われた[2]。実際、今までの観測は、露出時間が短かったため、うまく撮影する事が出来なかった[2]

概要[編集]

物理的性質[編集]

ケルベロスは非常に小さく、直径13kmから34kmであると推定されている[1][2]。これはケルベロスの視等級から推定したもので、アルベドの推定値が0.06~0.35と幅があるためである[1]

軌道の性質[編集]

冥王星の衛星の軌道。

ケルベロスは、軌道長半径が5万9000kmであると推定されており、ほぼ円形であると考えられている。これはニクスとヒドラの軌道の間にある[1][2]

公転周期は32.1日である[1]。これは、0.5%の不一致があるが、カロンと1:5の軌道共鳴に近い値である。ニクスとヒドラは、カロンとそれぞれ1:4、1:6の軌道共鳴をしていると推定されており、実際に軌道共鳴をしているのかどうかを知るには、正確な歳差運動の測定が必要となる。

起源[編集]

ケルベロスは、冥王星の他の衛星と同じく、カロンが生じるきっかけとなった、冥王星への大衝突で、宇宙空間に飛び出し、冥王星の軌道に乗った溶岩が起源であると言われている[2][6]

名前[編集]

正式命名される前、ケルベロスは主にS/2011 P 1S/2011 (134340) 1と呼ばれていた。これは衛星に付けられる仮符号である。S/2011は、2011年に発見されたSatellite(衛星)の意味である。前者のPはPluto(冥王星)の頭文字、後者は小惑星の衛星に付けられる、冥王星の小惑星番号を基準としている。最後の1は、2011年中に発見された1個目の衛星という意味である[1][2]

ケルベロスは、時々P4と呼ばれる。これは、冥王星で発見された4個目の衛星であることにちなんでいる[2]

2013年2月、S/2011 P 1の名称を、2012年に発見された衛星のS/2012 P 1と共に、SETI協会が一般公募と投票形式で受け付けた。公募は2013年2月26日2時 (JST) までとなっていた[7]。そして2013年7月に、S/2011 P 1は冥界の番犬であるケルベロス (Kerberos) と命名された。なおS/2012 P 1はステュクスと命名されている。一般公募ではケルベロスは2番目に得票の多い名称であった。1番得票数が多かったのは Vulcan であったが、かつて水星の内側に存在するとされた架空の惑星バルカンや想定される小惑星の族であるバルカン族などに使われていること、冥王星の他の衛星がギリシャ神話ローマ神話の冥界に因んで命名されてきた慣習とは相容れないことから採用されなかった[4][5]。なお、ケルベロスに由来する名称の天体としては既に小惑星の"Cerberus" [8]が存在するが、これに対してこちらは "Kerberos" と命名された。[4]

今後[編集]

冥王星には、2015年に初の冥王星探査機ニュー・ホライズンズが接近観測するが、ケルベロスの発見は、探査機の打ち上げ後である。そのため、この探査機の観測計画が多少変更される可能性がある [9] [10]。また、接近観測によって、さらに小さな衛星が発見できるかもしれない[6]2012年に、この衛星と同じような手法で新たな衛星であるステュクスが発見された。

関連項目[編集]

出典[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l New Satellite of (134340) Pluto: S/2011 (134340) 1”. IAU (2011年7月20日). 2013年8月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m NASA's Hubble Discovers Another Moon Around Pluto”. NASA (2011年7月20日). 2013年8月23日閲覧。
  3. ^ Planets Planet and Satellite Names and Discoverers”. IAU. 2013年8月23日閲覧。
  4. ^ a b c “Names for New Pluto Moons Accepted by the IAU After Public Vote” (プレスリリース), IAU, (2013年7月2日), http://www.iau.org/public_press/news/detail/iau1303/ 2013年7月3日閲覧。 
  5. ^ a b 冥王星の衛星に「ケルベロス」「ステュクス」命名”. AstroArts (2013年7月3日). 2013年7月3日閲覧。
  6. ^ a b c d Ker Than (2011年7月21日). “冥王星で第4の衛星を発見”. ナショナルジオグラフィック ニュース (National Geographic.). http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110721001&expand#title 2013年8月23日閲覧。 
  7. ^ 冥王星の衛星に名前を付けるのを手伝ってください!”. SETI協会. 2013年8月23日閲覧。
  8. ^ 1865 Cerberus (1971 UA)”. JPL Small-Body Database Browser. JPL (2003年8月29日). 2013年8月23日閲覧。
  9. ^ “NASA's Hubble Discovers Another Moon Around Pluto” (プレスリリース), NASA, (2011年7月20日), http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2011/23/text/ 2013年7月5日閲覧。 
  10. ^ 冥王星に4番目の衛星発見!”. AstroArts (2011年7月21日). 2013年7月5日閲覧。