グローマー拒否

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グローマー拒否(ぐろーまーきょひ、英:Glomar denial)とは、情報公開制度における概念。開示請求に対し文書の存否自体を明らかにすることなく当該開示請求を拒否することである。存否応答拒否とも言う。

意義[編集]

行政文書の存否自体を明らかにすることによって、不開示情報の規定によって保護しようとしているプライバシー等の利益が損なわれる場合に、当該文書の存否自体を明確にしないで拒否できるという制度である。日本では情報公開法8条に規定されている。

これが認められるのは、例えばある人物が国立病院に入院していたときのカルテの開示請求があった場合、当該行政文書はあるが情報公開法5条1号(個人情報に係る情報の不開示)により不開示と回答したのでは、当該人物に入院歴があることが明らかとなってしまいプライバシーが侵害されてしまうからである。

条文[編集]

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)

第8条 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

由来[編集]

アメリカ合衆国の情報自由法FOIA)の実務において、Glomar denialsと呼ばれているものを取り入れた制度である。「グローマー」はGlomar Explorerというサルベージ船の名前に由来する。この船は沈没したソ連の潜水艦を引き上げるCIAの計画「プロジェクト・ジェニファー」のために建造されたが、CIAはこれについて報道しようとしたロサンジェルス・タイムスに発行の中止を求めた。Harriet Ann Phillippiというジャーナリストが当該計画および検閲問題について情報公開請求をした際に、CIAは「(事実の)確認も否定もしない」ことにした。