グレムリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

グレムリン (Gremlin) は伝承上の生物。

機械に悪戯をする妖精とされ、ノームゴブリンの遠い親戚にあたる。かつては、人間に発明の手がかりを与えたり、職人達の手引きをしたりしていたが、人間が彼らに敬意や感謝をせずにないがしろにしたため、次第に人間を嫌って悪さをするようになった。どの家庭にもグレムリンが一匹は住み着いているという。好物はチューイングガムらしい。

20世紀初頭にイギリス空軍パイロットの間でその存在が噂されたのが始まりと言われている。また第二次大戦中は東京に空襲をかけたアメリカ軍爆撃機の乗組員を悩ませた。機械コンピュータが原因不明で異常な動作をする事をグレムリン効果と言ったりする。またインドの北西戦線に駐留していた英国空軍の兵士たちの想像力の産物とも言われる。名の由来は士官食堂にあった本「グリムの妖精物語」、唯一飲めたビール「フレムリン」の合作とされる。志願部隊のジョフリー・レナード・チェシャー大佐はその名をヨークシャー空港の航空機トラブルのさいに挙げている。またその名はチャールズ・グレイヴズ著『薄い青色の線』(The Thin Blue Line)(1941年)で描かれ、「パンチ」、「スペクテイター」、「ニューヨークタイムス」紙(1942~1943年)でも記事として取り入れられた。

グレムリンの正体、起源には諸説ある。そのひとつは、元々高い山の頂に暮らしていたグレムリンが、人類が高空飛行をするようになり、その飛行機械に興味を持ち、乗り移ったとされる。計器に指を突っ込んで指示を狂わせる、ガソリンを勝手に飲んでしまうといった悪戯をなす(米映画『トワイライト・ゾーン』にこの話が元となっている一編がある)。

さまざまな描写で描かれ、身長50センチメートル、体重8キログラム、毛のまばらなジャックウサギに似て渋面を浮かべている。または赤い上着、緑のズボン、頭から角を生やし皮の飛行ジャケットとブーツを着ているという説もある。また水かきのある足にひれのついた種類もあるという。上空3000メートルで活動する種類はスパンデュールと呼ばれる。

いずれにせよ羽を持たぬグレムリンは空を飛ぶためには飛行機に乗らねばならない。技術的に優れた力量を誇り目標の座標を狂わせる、滑走路を上下させる、燃料を使い尽くさせる、機体に穴を開ける、ケーブルを齧る、等の悪戯をする。一般にそれほど悪意のある妖精に見えずパイロットが無事に基地に集結できるように集団で手助けすることでも知られる。

グレムリンに関する諸説・噂[編集]

またグレムリンはその成り立ちの段階から日本および黄色人種を起源とする説、20世紀初頭から出てきた新しい妖精である点、などから戦前の欧米から見た黄禍論(テクノロジーをもって発展する黄色人種に対する脅威論)の象徴とする説も根強くある。

1984年の映画『グレムリン』に登場する妖精グレムリンは、当時経済躍進目覚ましい日本、および日本人の象徴であり(テクノロジーの怪物、工業の怪物とも揶揄される日本人の)、本作を反日映画でもあるとする噂が存在した。なお、こうした説や噂が存在したのは日本においてのみであった。

水木しげるの作画によるものは、背中から翼を生やした人間大のサイズの妖怪として描かれ、戦闘機に匹敵する飛行速度を持ち軍用機を集団で襲うとされた。

今日なお北米では航空機部品の納入時に、飴玉をひとつ同梱する習慣があるが、これは「どうかこの飴で満足して、大事な部品に悪戯をしないで欲しい」というグレムリンへのお供えであると考えられる。この話は、映画『グレムリン』、およびその続編の『グレムリン2 新・種・誕・生』でも紹介されている。グレムリンの人形などのグッズも販売されている。

参考文献[編集]

  • キャロル・ローズ著『世界の妖精・妖怪事典』(原書房
  • 『SFポピュラー映画』