グリュエンフェルド・ディフェンス

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グリュエンフェルド・ディフェンス
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8  black rook  black knight  black bishop  black queen  black king  black bishop  black king  black rook 8
7  black pawn  black pawn  black pawn  black king  black pawn  black pawn  black king  black pawn 7
6  black king  black king  black king  black king  black king  black knight  black pawn  black king 6
5  black king  black king  black king  black pawn  black king  black king  black king  black king 5
4  black king  black king  white pawn  white pawn  black king  black king  black king  black king 4
3  black king  black king  white knight  black king  black king  black king  black king  black king 3
2  white pawn  white pawn  black king  black king  white pawn  white pawn  white pawn  white pawn 2
1  white rook  black king  white bishop  white queen  white king  white bishop  white knight  white rook 1
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グリュエンフェルド・ディフェンス(Grünfeld Defence)は、チェスオープニングの1つ。右図がグリュエンフェルド・ディフェンスの基本形で[1]、基本形までの手順は1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5である[1]キングズ・インディアン・ディフェンスに似ているが、キングズ・インディアン・ディフェンスより変化は少ない[2]

  • 書籍等によっては、「グリュンフェルド・ディフェンス」と表記されている場合もある。
  • このオープニング名は、オーストリアチェスプレーヤーだったエルンスト・グリュエンフェルドに由来している[2]


エクスチェンジ・ヴァリエーション[編集]

4. cd Nxd5 5. e4 Nxc3 6. bc Bg7 7. Bc4 c5 8. Ne2 Nc6 9. Be3 0-0 10. 0-0 Qc7 11. Rc1 Rd8 12. h3 b6[3]

本局は1970年西ドイツジーゲンで開催されたチェスオリンピックでのボリス・スパスキー(白)対ボビー・フィッシャー(黒)のゲームのものである[3]。この手順はグリュエンフェルド・ディフェンスで最も多く指されている。

黒の4手目で4. … Bg7と指すと白に5. e4と指されてd5のポーンを守られてしまう[2]

白の5手目では5. Bd2[4]や5. g3[5]と指す手もある。5. Bd2と指すと5. … Bg7 6. e4 Nxc3 7. Bxc3と進行し[4]、5. g3と指すと5. … Bg7 6. Bg2 Nb6 7. Nf3 0-0 8. 0-0 Nc6 9. d5と進行する[5]

黒の5手目で5. … Nf6と指すのはセンターを制圧されたままで黒が良くない[5]

同じく黒の5手目で5. … Nb6と指すのも6. Be3[5]或いは6. h3[4]と指されてともに白が指しやすくなる[4][5]。6. Be3はポルティシュ対サボ戦で白のポルティシュが指した手で[5]、以下6. … Bg7 7. h3 0-0 8. Nf3 c6 9. Be2 Be6 10. 0-0 Bc4 11. Qd2と進行した[5]。6. h3の場合は6. … Bg7 7. Nf3 0-0 8. Be2と進行する[4]。なおこの変化中白が6.Nf3と指せば6. … Bg4 7. Be2 Bg7 8. Be3 0-0 9. 0-0 Nc6と進行し黒が十分な展開となる[4]

黒の6手目と7手目は手順前後することがある。以前は6. … c5を先に指すのがよいと言われたが[4]、今日では6. … Bg7を先に指しそれから7. … c5と指すことが多い[4]。なお6. … c5を先に指した場合は7. Bc4 Bg7と手順前後して本局の進行になる手ではなく7. Nf3と指す手もある[5]。その後7. … Bg7 8. Bb5+ Bd7 9. Bxd7+ Qxd7と進行する[5]

白の7手目で7. Bb5+と指すと黒は7. … c6、7. … Bd7或いは7. … Nd7と指し[6]、その後8. Bc4 0-0 9. Ne2 b5 10. Bb3 Bb7 11. 0-0 c5と進行し黒が大変指しやすい局面となる[6]

黒の7手目では7. … 0-0[5][6]や7. … Nc6[6]と指す手もある。7. … 0-0と指すと8. Ne2 Nc6と進行する[5]

白の8手目で8. dc?と指すと黒に8. … Bxc3+と指され白のa1のルークと黒のc3のビショップを交換することになり白の駒損[6]。また8.Nf3と指すのは8. … Nc6 9. Be3 0-0 10. h3 Qa5 11. Qd2 cd 12. cd Qxd2+ 13. Kxd2 Rd8 14. Bd5 e6!と進行し黒が有利になる[6]

黒の8手目では8. … cd[5]や8. … 0-0と指す手もある。8. … cdと指すと9. cd Nc6 10. Be3 0-0 11. 0-0 Nd5 12. Bd3と進行する[5]。この手順の途中11. … Bg4と指すと12. f3 Na5 13. Rc1 Nxc4 14. Rxc4 Bd7 15. Qb3 Qa5 16. Nc3で白が指しやすくなる[5]。なお8. … 0-0と指すのは9. 0-0 Nc6 10. Be3となり手順前後するだけで本局と同じ進行になる。

白の9手目で9. d5と指すと9. … Ne5 10. Bb5+ Bd7 11. Bxd7+ Qxd7 12. 0-0 Nc4 13. Bf4 0-0 14. Qc1 Rfc8 15. Rd1 b5と進行し黒が有利になる[7]

黒の9手目では9. … cdと指す手もある[7]。その後は10. cd Qa5+或いは10. cd b6と進行する[7]

白の10手目で10. h4とキングの頭を狙うのは白が良くない。1970年に行われたナランハ対ポルティシュ戦では10. h4 cd 11. cd Qd6 12. Rc1 Rd8 13. d5 Ne5 14. Qb3 Bd7 15. f3? b5! 16. Bd3 Qb4+で白のナランハが投了している[7]

黒の10手目では10. … cd[8]や10. … Bg4と指す手もある。10. … cdと指すと11. cd Na5或いは11. cd Bg4と進行する[8]

白の11手目では他に11. Qc1[3][8]や11. Bb3[8]と指す手もある。11. dc?と指すと11. … Ne5 12. Bb3 Ng4 13. Bf4 Qxc5と進行し黒が有利になる[8]

白の12手目では12. f4[8]、12. Qe1[8]、12. Qd2[3][8]、12. Qa4、12. Kh1といった手も指される。このうち12. f4は比較的古くから指された手である[8]。12. Qe1は1966年サンタモニカで行われたスパスキー対フィッシャー戦で黒のフィッシャーが指した手で[8]、本局同様途中では黒がよい局面になったもののフィッシャーがドローを嫌い無理な攻撃を行ったため白のスパスキーが50手で勝った[8]。12. Qd2は比較的新しい定跡手で[8]1975年ヴィリニュスで行われたユーリ・バラショフウラジーミル・トゥクマコフ戦及び同年にミラノで行われたグリゴリッチ対スメイカル戦で指された手である[8][9]。バラショフ対トゥクマコフ戦は19手で[9]、グリゴリッチ対スメイカル戦は25手でともに白が勝った[9]

黒の12手目で12. … a6と指すのは13. Bb3 Na5 14. Bf4 Qd7 15. dc Nxb3 16. ab a5で形勢互角。

1970年のスパスキー対フィッシャー戦では13手目以降13. f4 e6 14. Qe1 Na5と進み[3]、途中では黒が有利な局面になったが[8]、フィッシャーがドローを嫌い無理な攻撃を行ったため白のスパスキーが39手で勝った[8]

スミスロフ・ヴァリエーション[編集]

4. Nf3 Bg7 5. Qb3 dc 6. Qxc4 0-0 7. e4 Bg4 8. Be3 Nfd7 9. Qb3 Nb6[10]

白の5手目では5. Qa4+や5. e3と指す手もある[10]。その後は5. … Bd7 6. Qb3 Bc6と進行する[10]。5. e3と指す手はクローズド・システムと呼ばれ[10]、その後5. … 0-0と進行する[10]

黒の5手目で5. … c6と指すのは6. cd cd 7. Bg5 e6 8. e3 0-0 9. Bd3 Nc6 10. h3 b6 11. Ne5と進行し白が指しやすい[10]

黒の7手目では7. … Nc6や7. … c6、7. … a6と指す手もある[10]。7. … Na6は1960年レフ・ポルガエフスキーヴィクトール・コルチノイ戦で指され[10]、8. Be2 c5 9. d5 e6 10. 0-0 ed 11. ed Bf5 12. a3 Re8 13. Rd1 Nh4 14. Be3 Nd6と進行し形勢不明[10]

その他の変化[編集]

グリュエンフェルド・ディフェンスの白の4手目において4. cdと4. Nf3以外でよく指される手としては4. Qa4+[2][5]や4. Qb3[2][5]、4. Bg5[2][5]、4. Bf4[2][5]或いは4. e3[2]がある。

  • 4. Qa4+ Bd7 5. Qb3 Nc6 6. cd Nxd4[5]
  • 4. Qb3 dc 5. Qxc4 Be6 6. Qb5+ Bd7 7. Qxb7 Bc6 8. Qb3 Qxd4[5]
  • 4. Bg5 Ne4 5. cd Nxg5 6. h4 Ne4 7. Nxe4 Qxd5 8. Nc3 Qa5[5]
  • 4. Bf4 Bg7 5. Nf3 0-0 6. Rc1 c6 7. e3 Be6 8. Nd2 Nbd7[5]

参考文献[編集]

脚注・出典[編集]

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  1. ^ a b 『定跡と戦い方』、173頁。
  2. ^ a b c d e f g h 『やさしい実戦集』、150頁。
  3. ^ a b c d e 『定跡と戦い方』、177頁。
  4. ^ a b c d e f g h 『やさしい実戦集』、151頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『定跡と戦い方』、175頁。
  6. ^ a b c d e f 『やさしい実戦集』、152頁。
  7. ^ a b c d 『やさしい実戦集』、153頁。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『やさしい実戦集』、154頁。
  9. ^ a b c 『やさしい実戦集』、158頁。
  10. ^ a b c d e f g h i 『定跡と戦い方』、176頁。
  11. ^ ISBNコードは新装版のもの。