グリスフィヨルド

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グリスフィヨルドの港

グリスフィヨルドグリーズフィヨルドとも 英:Grise Fiord)は、カナダエルズミーア島南部、ヌナブト準州クィキクタアルク地域に所属する小集落である。ここより北にあるアラートユーリカはいずれも観測所や軍事基地等によるものなので、実質的にカナダ、及び北アメリカで最も北にある民間人のコミュニティーである。人口は141人(2006年)で、住民の殆どはイヌイットである。イヌイット語名はアウユイトゥック(Aujuittuq)で、「決して溶けない場所」を意味する。英語名のグリスフィヨルドはノルウェー語で「ブタフィヨルド」の意だが、これは19世紀の末から20世紀の初頭にかけてエルズミーア島の南部と東海岸を探検し地図を作製したノルウェーの探検家であるO・スヴェルドルップ(Otto Neumann Sverdrup)が、この地に数多く生息していたセイウチによってたてられる音をブタの鳴き声になぞらえて名付けたという。

歴史[編集]

グリスフィヨルドの街としての歴史は浅く、1953年にカナダ連邦政府が北極圏支配の強化のために ケベック州のイヌクジュアク(Inukjuak)からイヌイット8家族を入植させたのが始まりである(ただし、このときの集落は現在の位置から少し離れた場所にあった)。1956年になると、それまでクレーグハーバー(グリスフィヨルドより約55km西方)に置かれていた王立カナダ騎馬警察(RCMP)の駐在所が移転してきた。そして1960年代初頭に現在地に学校や住宅が建設されると、住民も以前の居住地から移ってきて、今日のコミュニティーが形成された。その後、1970年にはベル・カナダが世界最北の電話局を設置した(運営は1992年に傘下のノースウェステルに移管)。

地理[編集]

グリスフィヨルドは北緯76度25分03秒西経82度53分38秒に位置している。北極線より約1160km北、北極点まで約1500kmの地点である。気温が摂氏0度以下の日が1年のうちで8か月以上あり、年間降雨量も250mmに満たない。過去に記録された最低気温はマイナス62.2℃。ケッペンの気候区分ではETツンドラ気候)に属する。樹木は育たず、露天での農耕は不可能である。 グリスフィヨルドの総面積は332.70km²、人口密度は0.4人/km²である。なお、市街地は海岸線に沿って東西に細長く広がっている。また、住民の従事する職業は公務員(連邦・準州・集落)やcoopの職員などが殆どを占めている。

主な公共施設[編集]

交通[編集]

グリスフィヨルドはカナダでも最も北に位置する離島のエルズミーア島に位置するため、アクセス方法はほぼ航空機に限られる。ヌナブト準州の運営する、小さな旅客ターミナルと延長が594mで未舗装の滑走路を持つグリスフィヨルド空港(Grise Fiord Airport、IATA空港コード:YGZ・ICAO空港コードCYGZ)が玄関口となっており、ケン・ボーレックエアーレゾリュートとの間をツイン・オッターで週に2便運航しているが、乗客よりも物資輸送の比重が高い。

外部リンク[編集]