グランプリエンゼル

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グランプリエンゼル
欧字表記 Grand Prix Angel[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 栃栗毛[1]
生誕 2006年3月16日(18歳)[1]
登録日 2008年7月9日
抹消日 2012年12月12日[2]
アグネスデジタル[1]
アンダンテ[1]
母の父 サンデーサイレンス[1]
生国 日本の旗 日本北海道三石町[1]
生産者 上村清志[1]
馬主 北側雅司[1]
調教師 矢作芳人栗東[1]
厩務員 柿崎慎[3]
競走成績
生涯成績 41戦5勝[1]
獲得賞金 2億1646万1000円[1]
勝ち鞍
GIII 函館スプリントS 2009年
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グランプリエンゼル(欧字名:Grand Prix Angel2006年3月16日 - )は、日本競走馬繁殖牝馬[1]。主な勝ち鞍に2009年函館スプリントステークス

馬名の由来は、冠名+「天使(エンゼル)」。

戦績[編集]

2008年(2歳)[編集]

7月27日函館芝1200mの新馬戦に安藤勝己騎乗でデビューし2番人気で2着に敗れた。2戦目の函館ダート1000mの未勝利戦に引き続き安藤勝己騎乗で出走し1番人気で5着に終わったが、3戦目の札幌芝1200mの未勝利戦を柴田善臣騎乗で勝利し初勝利をあげた。しかし、昇級初戦のサフラン賞では12着に終わり休養に入った。

2009年(3歳)[編集]

4ヶ月ぶりのレースとなった寒桜賞では3番人気に支持されるも9着に敗れたが、次の500万下条件のダート戦を熊沢重文騎乗で10番人気ながら勝利し2勝目をあげた。続く橘ステークスも11番人気と人気は低かったが、道中を3番手につけると直線で先頭に立ち、2着のエイシンタイガーに半馬身差をつけオープン特別初勝利となった。この勝利により2週間後のNHKマイルカップに出走することになった。

NHKマイルカップでは熊沢が先に京都競馬場で騎乗依頼があったため、代わりに内田博幸を鞍上に迎えての出走となった。連勝中でここまでに3勝してはいたものの、勝ったレースが全て1200mのレースであったことや、1400mのレースで惨敗していたこともあり13番人気であった。しかし、ハイペースで逃げたゲットフルマークスから10馬身ほど離れた3番手でレースを進めると、前が残る展開も味方し猛追するマイネルエルフをクビ差抑えジョーカプチーノレッドスパーダに次ぐ3着に入り、3連単238万円という高配当の要因を作った。

その後2か月の休養をはさみサマースプリントシリーズ第1戦函館スプリントステークスに熊沢重文騎乗で復帰した。NHKマイルカップ3着や51kgという斤量等により未勝利戦以来の1番人気に支持され、レースではスタートしてすぐに先団につけると、残り100m辺りで先頭に立ち2着のタニノマティーニに1馬身半差をつけ重賞初勝利を飾った。この勝利は2006年産駒の古馬混合重賞初勝利であり、鞍上の熊沢にとってはテイエムプリキュア阪神ジュベナイルフィリーズ以来の重賞勝利であった。

サマースプリントシリーズ第4戦キーンランドカップも1番人気に支持されたが、直線で伸びを欠き4位入線(モルトグランデの降着によって3着繰り上げ)に終わった。この段階でサマースプリントシリーズをカノヤザクラと並んで首位に立っており、第5戦のセントウルステークスの結果次第ではシリーズチャンピオンの可能性もあったが、スプリンターズステークスに直行することとなりシリーズチャンピオンを逃した。スプリンターズステークスでは唯一の3歳馬ながら5番人気に支持されたが、道中で脚に外傷を負うアクシデントもあり13着に敗れた。

2010年(4歳)[編集]

2010年の緒戦は2月7日シルクロードステークスに出走。3番手でレースを進めたが、直線で失速し、11着であった。続くオーシャンステークスでは先手を奪うも15着だった。本番の高松宮記念でも17着に終わった。中1週で挑んだ阪神牝馬ステークスでは好位追走も直線で失速し18着と殿負けを喫した。3ヶ月間隔をおき、連覇をかけて挑んだ7月4日函館スプリントステークスでは2番手追走も直線で失速し13着と大敗した。8月1日のUHB杯では近走の大敗続きから9番人気と人気を落としていたが、中団追走から直線で馬場のインから追い上げて3着に入った。8月28日の朱鷺ステークスでは2番人気で出走、好位中団からの追走も直線で伸び切れず4着に敗れた。10月9日のオパールステークスでは9番人気と人気はなかったが、後方待機から直線で逃げるエーシンダックマンをかわし3馬身半差をつけ1年3ヶ月ぶりの勝利を収めた。10月30日のスワンステークスでは中団から追走も直線で伸び切れず5着に敗れた。続く11月27日京阪杯では3番人気に支持され、中団追走も失速し18着と殿負けを喫した。12月11日のラピスラズリステークスでは後方のインに位置し直線で外から追い込んでくるも届かず5着に終わった。

2011年(5歳)[編集]

緒戦のシルクロードステークスでは10着、続くオーシャンステークスでも13着、六甲ステークスでは折り合いに専念したが10着、阪神牝馬ステークスでは出負けして後方で追走したが7着と惨敗が続いた。ヴィクトリアマイルでは14番人気と低評価だったが、好位から脚を伸ばしてアパパネの4着と好走した。CBC賞では中団から追い上げるが4着だった。キーンランドカップでは後方追走も直線で伸び切れず8着に敗れた。信越ステークスでは好位中団から追走も4着に敗れた。京阪杯では中団から追い込んで2着と好走した。ラピスラズリステークスでは中団馬群の外めで折り合いをつけ、直線で脚を伸ばして追い込んできたがクビ差の2着。

2012年(6歳)[編集]

緒戦のシルクロードステークスでは好位中団から追い上げるが5着だった。オーシャンステークスでは中団待機から直線で大外から鋭く伸びて2着となった。本番の高松宮記念では中団から追い上げたが6着に敗れる。ヴィクトリアマイルでは中団追走も直線で失速し17着と大敗した。CBC賞では先団につけるも直線で伸びを欠き9着、キーンランドカップでも9着に終わった。その後も3走したがいずれも着外に終わり、12月12日付けで競走馬登録を抹消された。引退後は生まれ故郷の上村清志牧場で繁殖牝馬となる[4]

競走成績[編集]

年月日 競馬場 競走名 頭数 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量 距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
2008 7. 27 函館 2歳新馬 9 3.4 0(2人) 02着 安藤勝己 54 芝1200m(良) 1:11.1 (36.9) 0.1 アローベアタキオン
8. 9 函館 2歳未勝利 11 1.4 0(1人) 05着 安藤勝己 54 ダ1000m(良) 1:01.5 (36.8) 0.9 メイショウコウセイ
10. 4 札幌 2歳未勝利 16 10.0 0(5人) 01着 柴田善臣 54 芝1200m(稍) 1:10.6 (35.1) -0.4 (アドバンスヘイロー)
10. 19 東京 サフラン賞 500万下 17 10.7 0(4人) 12着 松岡正海 54 芝1400m(良) 1:22.9 (36.8) 1.0 カツヨトワイニング
2009 2. 14 京都 寒桜賞 500万下 16 8.6 0(3人) 09着 藤岡佑介 54 芝1200m(重) 1:11.7 (37.0) 0.6 スパラート
3. 21 阪神 3歳500万下 16 31.3 (10人) 01着 熊沢重文 57 ダ1200m(良) 1:12.2 (36.8) -0.1 (メリュジーヌ)
4. 26 京都 橘S OP 16 38.8 (11人) 01着 熊沢重文 54 芝1200m(重) 1:10.6 (35.9) -0.1 (エイシンタイガー)
5. 10 東京 NHKマイルC GI 18 68.9 (13人) 03着 内田博幸 55 芝1600m(良) 1:33.0 (34.1) 0.6 ジョーカプチーノ
7. 5 札幌 函館スプリントS GIII 16 4.1 0(1人) 01着 熊沢重文 51 芝1200m(良) 1:08.5 (34.4) -0.2 (タニノマティーニ)
8. 30 札幌 キーンランドC GIII 16 2.4 0(1人) 03着 熊沢重文 51 芝1200m(良) 1:08.9 (34.5) 0.5 ビービーガルダン
10. 4 中山 スプリンターズS GI 16 10.1 0(5人) 13着 熊沢重文 53 芝1200m(良) 1:08.0 (34.5) 0.5 ローレルゲレイロ
2010 2. 7 京都 シルクロードS GIII 16 18.6 0(8人) 11着 岩田康誠 55 芝1200m(良) 1:09.0 (34.3) 0.9 アルティマトゥーレ
3. 6 中山 オーシャンS GIII 16 15.6 0(6人) 15着 熊沢重文 55 芝1200m(重) 1:10.6 (37.1) 0.8 キンシャサノキセキ
3. 28 中京 高松宮記念 GI 18 140.9 (18人) 17着 熊沢重文 55 芝1200m(良) 1:09.6 (35.7) 1.0 キンシャサノキセキ
4. 10 阪神 阪神牝馬S GII 18 78.9 (13人) 18着 熊沢重文 55 芝1400m(良) 1:22.2 (36.4) 2.0 アイアムカミノマゴ
7. 4 函館 函館スプリントS GIII 15 28.8 0(9人) 13着 四位洋文 54 芝1200m(良) 1:10.2 (37.0) 2.0 ワンカラット
8. 1 函館 UHB杯 OP 12 20.8 0(9人) 03着 藤岡佑介 54 芝1200m(良) 1:10.0 (35.2) 0.2 ウエスタンビーナス
8. 28 新潟 朱鷺S OP 14 6.4 0(2人) 04着 松岡正海 53 芝1400m(良) 1:21.4 (34.9) 0.2 コパノオーシャンズ
10. 9 京都 オパールS OP 18 16.8 0(9人) 01着 藤岡佑介 53 芝1200m(不) 1:09.6 (34.4) -0.6 (エーシンダックマン)
10. 30 京都 スワンS GII 14 5.6 0(2人) 05着 藤岡佑介 55 芝1400m(良) 1:21.5 (34.3) 0.5 マルカフェニックス
11. 27 京都 京阪杯 GIII 18 9.1 0(3人) 18着 M.デムーロ 54 芝1200m(良) 1:09.6 (35.1) 1.6 スプリングソング
12. 11 中山 ラピスラズリS OP 14 14.4 0(5人) 05着 吉田稔 54 芝1200m(良) 1:07.7 (33.3) 0.4 ジョーカプチーノ
2011 1. 29 京都 シルクロードS GIII 16 36.2 (11人) 10着 藤岡佑介 54 芝1200m(良) 1:08.8 (32.7) 0.6 ジョーカプチーノ
3. 5 中山 オーシャンS GIII 16 57.0 (11人) 13着 松岡正海 54 芝1200m(良) 1:09.0 (34.6) 1.2 ダッシャーゴーゴー
3. 26 阪神 六甲S OP 18 21.4 0(8人) 10着 三浦皇成 54 芝1600m(良) 1:34.7 (34.4) 0.7 ロードバリオス
4. 9 阪神 阪神牝馬S GII 18 24.2 (10人) 07着 武豊 55 芝1400m(良) 1:21.3 (34.5) 0.9 カレンチャン
5. 15 東京 ヴィクトリアマイル GI 17 126.2 (14人) 04着 C.ウィリアムズ 55 芝1600m(良) 1:32.2 (35.0) 0.3 アパパネ
6. 12 阪神 CBC賞 GIII 16 9.1 0(5人) 04着 C.ウィリアムズ 54 芝1200m(良) 1:08.4 (34.0) 0.3 ダッシャーゴーゴー
8. 28 札幌 キーンランドC GIII 16 19.5 0(5人) 08着 藤岡佑介 54 芝1200m(良) 1:09.4 (35.3) 0.8 カレンチャン
10. 23 新潟 信越S OP 16 5.9 0(3人) 04着 丸田恭介 54 芝1200m(良) 1:09.4 (34.6) 0.1 ブルーミンバー
11. 26 京都 京阪杯 GIII 15 15.5 0(3人) 02着 C.ウィリアムズ 54 芝1200m(良) 1:08.3 (33.2) 0.2 ロードカナロア
12. 10 中山 ラピスラズリS OP 14 4.3 0(1人) 02着 吉田豊 55 芝1200m(稍) 1:07.9 (33.8) 0.0 ブルーミンバー
2012 1. 28 京都 シルクロードS GIII 16 19.5 0(5人) 05着 藤岡佑介 54 芝1200m(良) 1:08.7 (34.1) 0.4 ロードカナロア
3. 3 中山 オーシャンS GIII 16 54.0 0(5人) 02着 三浦皇成 54 芝1200m(重) 1:09.3 (35.3) 0.1 ワンカラット
3. 25 中京 高松宮記念 GI 18 28.5 0(9人) 06着 藤岡佑介 55 芝1200m(良) 1:10.6 (35.1) 0.3 カレンチャン
5. 13 東京 ヴィクトリアマイル GI 18 53.4 (12人) 17着 三浦皇成 55 芝1600m(良) 1:33.9 (34.9) 1.5 ホエールキャプチャ
7. 1 中京 CBC賞 GIII 17 5.4 0(3人) 09着 幸英明 54 芝1200m(重) 1:09.6 (35.5) 0.9 マジンプロスパー
8. 26 札幌 キーンランドC GIII 14 30.1 0(8人) 09着 藤岡佑介 54 芝1200m(良) 1:08.3 (34.1) 0.7 パドトロワ
10. 14 新潟 信越S OP 16 22.6 0(9人) 11着 川須栄彦 54 芝1400m(良) 1:20.8 (34.6) 0.8 ファイアーフロート
11. 24 京都 京阪杯 GIII 18 57.7 (15人) 08着 川須栄彦 54 芝1200m(良) 1:08.8 (34.1) 0.3 ハクサンムーン
12. 9 中山 カペラS GIII 16 30.9 0(9人) 12着 田辺裕信 54 ダ1200m(良) 1:11.7 (36.4) 0.9 シルクフォーチュン

繁殖成績[編集]

馬名 生年 毛色 馬主 管理調教師 戦績
初仔 ジュウニンノナカマ 2014年 栗毛 キングズベスト キャピタル・システム 栗東・矢作芳人 7戦0勝(引退・繁殖)
第2仔 モズレジーナ 2016年 鹿毛 ロードカナロア 29戦3勝(引退・繁殖)
第3仔 モズピンポン 2017年 栗毛 グランプリボス キャピタル・システム
→鈴木昌樹
栗東・矢作芳人
小林・福田真広
浦和・小澤宏次
38戦3勝(現役)
第4仔 モズエヴォルエ 2019年 鹿毛 ハービンジャー キャピタル・システム 栗東・矢作芳人 (未出走)
第5仔 モズミヤビ 2020年 栗毛 マクフィ キャピタル・システム
→北側雅司
栗東・矢作芳人
園田・新子雅司
10戦1勝(現役)
第6仔 モズセブンキー 2021年 黒鹿毛 ジャングルポケット キャピタル・システム 栗東・矢作芳人 (デビュー前)
第7仔 モズナナスター 2022年 栃栗毛 モズアスコット (デビュー前)
第8仔 グランプリエンゼルの2023 2023年 栗毛 (デビュー前)
  • 2024年2月22日現在

血統表[編集]

グランプリエンゼル血統 (血統表の出典)
父系 Mr. Prospector系

アグネスデジタル
1997 栗毛
父の父
Crafty Prospector
1979
Mr. Prospector
1970
Raise a Native
Gold Digger
Real Crafty Lady
1975
In Reality
Princess Roycraft
父の母
Chancey Squaw
1991
Chief's Crown
1982
Danzig
Six Crowns
Allicance
1980
Alleged
Runaway Bride

アンダンテ
1994 栗毛
サンデーサイレンス
1986 青鹿毛 米国
Halo
1969
Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well
1975
Understanding
Mountain Flower
母の母
ダイナプレリュード
1983 栗毛
ノーザンテースト
1971 栗毛
Northern Dancer
Lady Victoria
ダイナリーズン
1979 鹿毛
パーソロン
シャダイリーズン
母系(F-No.) (FN:22-b)
5代内の近親交配 Northern Dancer 5 x 4 = 9.38%


脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o グランプリエンゼル”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年12月20日閲覧。
  2. ^ グランプリエンゼル引退、繁殖生活へ”. ラジオNIKKEI (2012年12月12日). 2022年5月28日閲覧。
  3. ^ 【矢作芳人調教師 信は力なり】リアルと頂点へ!”. サンケイスポーツ (2015年5月27日). 2022年5月28日閲覧。
  4. ^ グランプリエンゼル号が競走馬登録抹消”. 日本中央競馬会 (2012年12月12日). 2012年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月12日閲覧。

外部リンク[編集]