グランドフィナーレ (映画)

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グランドフィナーレ
Youth – La giovinezza
監督 パオロ・ソレンティーノ
脚本 パオロ・ソレンティーノ
製作 ニコラ・ジュリアーノ
フランチェスカ・シーマ
カルロッタ・クローリ
製作総指揮 ヴィオラ・プレスティエリ
出演者 マイケル・ケイン
ハーヴェイ・カイテル
レイチェル・ワイズ
ポール・ダノ
ジェーン・フォンダ
音楽 デヴィッド・ラング英語版
撮影 ルカ・ビガッツィ
編集 クリスティアーノ・トラヴァリョーリ
製作会社 バーバリー・フィルムズ
Canal+
フィルム4英語版
フランス・テレビジョン
インディゴ・フィルム
メディアセット・プレミアム英語版
配給 イタリアの旗 メデューサ・フィルム
アメリカ合衆国の旗 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
日本の旗 ギャガ
公開 フランスの旗 2015年5月20日 (カンヌ映画祭)
イタリアの旗 2015年5月20日
日本の旗 2016年4月16日
上映時間 119分[1]
製作国 イタリアの旗 イタリア
フランスの旗 フランス
イギリスの旗 イギリス
スイスの旗 スイス
言語 英語
興行収入 世界の旗$24,035,045[2]
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グランドフィナーレ』(原題: Youth – La giovinezza)は、2015年イタリアフランスイギリススイス合作のドラマ映画。監督・脚本はパオロ・ソレンティーノ、主演はマイケル・ケインが務める。

物語[編集]

楽曲「シンプル・ソング」で名声を得た音楽家のフレッドは娘のレナ、親友の映画監督ミックとともにスイスのアルプスで休暇を過ごしていた。ミックは自身が監督する最後の作品となるであろう映画の脚本の執筆に取り組んでいたが、一方のフレッドは指揮者として復帰する意欲はなく、英国王子の誕生日に演奏会を開いてほしい、との女王の依頼を拒み続けていた。そしてふたりは、スイスのホテルに滞在するセレブたちをタネに無責任な噂話に興じていた。だが、ミックの息子を夫にもつレナは、父親に主人の裏切りを訴える。軽く慰めの言葉でお茶を濁したフレッドは、レナに不倫の真相を暴かれて自らの父親失格ぶりを意識させられた。一方、ミックのもとには最愛の女優、ブレンダが現われる。ミックの才能の枯渇を理由に、ブレンダは次作出演の辞退を宣言し、衝撃に耐えきれないミックは自らの人生に幕を引く。音楽にしか自分の生きる道はないことを思い知らされたフレッドは、「シンプル・ソング」の指揮を断ってきた理由を明かして自作演奏に応じる。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替

製作[編集]

本作はソレンティーノにとって『きっと ここが帰る場所』に次いで2本目の英語作品である[3]

本作の主要撮影は2014年5月にスイスで始まった[4]。ホテルのシーンには、現地の5つ星ホテルが使用され、キャストとスタッフは撮影期間中そのホテルに宿泊していた[5]。また、ローマヴェネツィアでも撮影は行われた[6]

最後のオーケストラのシーンはBBC交響楽団、ソプラノ歌手のスミ・ジョー、バイオリニストのヴィクトリア・ムローヴァによって演奏された[7]

公開[編集]

本作は2015年5月に開催された第68回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、パルムドールを争ったが、受賞は逃した[8]。また、本作は9月に開催された第40回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーションでも上映された[9]。その直後、フォックス・サーチライトが本作の北米配給権を獲得した[10]

評価[編集]

本作は批評家から高く評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには25件のレビューがあり、批評家支持率は71%、平均点は10点満点で7.8点となっている。サイト側による批評家の意見の要約は「美しい画面と見事な演技がある。『グランドフィナーレ』は魅力ある名優たちのアンサンブルを見せてくれる。ただし、欠点がないわけではない」となっている[11]。また、Metacriticには9件のレビューがあり、加重平均値は78/100となっている[12]

バラエティ』のジェイ・ワイスバーグは「ソレンティーノ監督の作品の中で、最も繊細な作品だ。人生の叡智というものは年齢とともに失われたたり、新たに獲得されたりする。また、人生の途中で思い出すこともある。そんな叡智を温かいまなざしで考察している」と述べている[13]。『ハリウッド・リポーター』のトッド・マッカーシーは「『グランドフィナーレ』は快楽の饗宴というべき作品だ。作品全体が映画の与える快感に浸っているようだ」と述べている[14]

批判的な評価を下している批評家もいる。『デイリー・テレグラフ』のロビー・コリンは本作に関して「ゴージャスではあるがある種の不気味さを感じる。中心となっている主題が明瞭ではない」と評している[15]。『ガーディアン』のピーター・ブラッドショーは本作に5つ星評価で3つ星を与え「『グランドフィナーレ』は優雅で能弁ではあるが、どうも気迫に欠ける。失われてしまった時間に対する老人の後悔はマッチョイズム的であり、面白みもなく実りあるものでもない。しかも感傷的になっている」と述べている[16]

受賞[編集]

映画賞 対象 結果
2015 第28回ヨーロッパ映画賞[17] 作品賞 受賞
監督賞 パオロ・ソレンティーノ 受賞
男優賞 マイケル・ケイン 受賞
2016 第88回アカデミー賞[18] 歌曲賞 Simple Song #3 ノミネート

参考文献[編集]

  1. ^ Youth – La giovinezza”. 2015年10月27日閲覧。
  2. ^ Youth (2015)”. The Numbers. 2016年1月3日閲覧。
  3. ^ Sorrentino's The Early Years stars Michael Caine as conductor compelled to perform for the Queen”. 2015年10月27日閲覧。
  4. ^ Paulo Sorrentino's 'The Early Years' Begins Shooting, Storyline Revealed”. 2015年10月27日閲覧。
  5. ^ "The Yin and Yang of it All".”. 2015年10月27日閲覧。
  6. ^ "Paolo Sorrentino and Rome"”. 2015年10月27日閲覧。
  7. ^ "Candy-wrapper music" hits sweet spot in Cannes "Youth" movie”. 2015年10月27日閲覧。
  8. ^ Screenings Guide”. 2015年10月27日閲覧。
  9. ^ Toronto to open with 'Demolition'; world premieres for 'Trumbo', 'The Program'”. 2015年10月27日閲覧。
  10. ^ Fox Searchlight Closes Deal For Paolo Sorrentino’s ‘Youth’ – Cannes Update”. 2015年10月27日閲覧。
  11. ^ Youth”. 2015年10月27日閲覧。
  12. ^ Youth”. 2015年10月27日閲覧。
  13. ^ Cannes Film Review: ‘Youth’”. 2015年10月27日閲覧。
  14. ^ 'Youth': Cannes Review”. 2015年10月27日閲覧。
  15. ^ Youth, Cannes review: 'elegant fun'”. 2015年10月27日閲覧。
  16. ^ Youth review - age cannot wither Michael Caine, but Sorrentino could try harder”. 2015年10月27日閲覧。
  17. ^ ヨーロッパ映画賞はソレンティーノ監督「ユース」3冠 マイケル・ケインに男優賞”. 映画.com (2016年1月29日). 2016年1月29日閲覧。
  18. ^ アカデミー賞ノミネーション発表、「レヴェナント」12部門、「マッドマックス」10部門”. 映画ナタリー (2016年1月15日). 2016年1月29日閲覧。

外部リンク[編集]