カリス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
グラチアから転送)
移動: 案内, 検索

カリスΧάρις, Charis)は、ギリシア神話に登場する、と優雅を司る女神。複数形はカリテスΧάριτες, Charites)。通常はゼウスオーケアノスの娘エウリュノメーの娘たちとされるが[1]、母親はヘーラーとする説も多い。また、ヘーリオスヘスペリスたちの一柱アイグレーの娘たち[2]、あるいはディオニューソスアプロディーテーの娘たちとする説もある。ローマ神話にも取り入れられ、グラティアGratia、複数形グラティアエ, Gratiae)と呼ばれた。英語読みグレイスGrace、複数形グレイシーズ, Graces)でも知られる。

元々人数は不定であったらしい。ヘーシオドスの『神統記』によれば、エウリュノメーの娘たちとしてアグライアーエウプロシュネータレイアの3柱の名があげられており、一般的にはこの「三美神」がよく知られているが、他の叙事詩ではパーシテアー[3]カレー[4]アウクソーヘーゲモネー[5]クレーターパエンナ[6]、カリス[7]などの名が挙げられている。

パーシテアーはホメーロスの『イーリアス』に登場することでよく知られており、エウプロシュネー、カレー、パーシテアーの3柱をカリスたちとする説もある。また、アテーナイではアウクソーとヘーゲモネーの2柱を、ラコーニア地方ではクレーターとパエンナの2柱をカリスたちとしていた。後にラコーニア地方のスパルタではアグライアー、エウプロシュネー、クレーターの3柱を指すようになった。またヘーパイストスの妻をカリスの1柱とする説があり、一般的にはこれはアグライアーであるとされるが[8]、ホメーロスによれば単にカリスという名であるとされている[9]

カリスたちは美しい若い娘の姿であるとされる。オリュムポス山の山頂に住み、神々の宴ではアポローンの竪琴やムーサたちの歌声と共に演舞した。神々や人々に肉体的な美しさを表して喜ばせるだけでなく、精神的な部分においても優美を与えたといわれるため、美術だけでなく技術を志す人々にも信仰された。本来はの芽生えの活力を表した神であったと考えられている。当然ながら、美の女神となってからはアプロディーテーの従者とされるようになり、またその娘とする説も生まれた。

[編集] 脚注

  1. ^ ヘーシオドス、907~909。アポロドーロス、1巻3・1。ヒュギーヌス、序文。
  2. ^ アンティマコス(パウサニアス、9巻35・5の引用)。
  3. ^ 『イーリアス』14巻。
  4. ^ 高津『辞典』p.100b。ロバート・グレーヴス
  5. ^ パウサニアス、9巻35・2。
  6. ^ パウサニアス、3巻18・6、9巻35・1。
  7. ^ 『イーリアス』18巻。
  8. ^ ヘーシオドス、945~946。
  9. ^ 『イーリアス』18巻。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語