グラスホッパー (カクテル)

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グラスホッパー

グラスホッパーとは、リキュールをベースとするカクテルである。新しい作り方によって作られたグラスホッパーは、ショートドリンク(ショートカクテル)に分類される。カクテル名のグラスホッパーとは、「バッタ」または「キリギリス」のこと。昔と今とでは、作り方が変わったカクテルとして知られる。(詳しくは、「作り方の変化」の節を参照のこと。)新しい作り方によるグラスポッパーは、不透明な淡い緑色に仕上げるが、この緑色はグリーン・ペパーミント・リキュールの緑色に由来し、生クリームと混ざることで淡い色彩となる。なお、カカオ・リキュールは、ホワイト使用しないと、淡い緑色が綺麗に出ない [1] [2] 。 このため、カカオ・リキュールは、アレクサンダーを作る時などにしばしば使用される茶色のものではなく、無色透明のホワイト・カカオ・リキュールが指定されている。なお、新旧どちらのグラスポッパーも、基本的には食後酒(アフター・デイナー・カクテル)に分類され、その中でもとりわけ代表的なカクテルとされる [2] 。 しかし、別に食後に飲まなければならないと決まっているわけではない。

標準的なレシピ[編集]

グリーン・ペパーミント・リキュール : ホワイト・カカオ・リキュール : 生クリーム = 1:1:1

作り方[編集]

グリーン・ペパーミント・リキュール、ホワイト・カカオ・リキュール、生クリームをシェークして、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。

備考[編集]

ブラウン・カカオ・リキュールを使用して作ったグラスホッパー
  • 材料をシェークしてカクテル・グラスに注いだ後、仕上げにナツメグを振りかけることもある。
  • グリーン・ペパーミント・リキュールとホワイト・カカオ・リキュールと生クリームが、等量ずつではないレシピも見られるが、こちらは標準ではない[3]
  • 生クリームを混合するため、シェークは強めに行う必要がある。
  • 生クリームの代わりに、エバ・ミルク(無糖練乳)を使用することもある[4]
  • 仕上がりの色が変わるだけで味は変わらないので、ホワイト・カカオ・リキュールが無い場合、通常の褐色のカカオ・リキュールで代用することもある。この場合、仕上がりは暗いモスグリーンとなる[5]

作り方の変化[編集]

グラスホッパーは、誕生当時、3層のプース・カフェ・スタイルのカクテルとして作られていた。それが、いつの頃からかは不明だが、シェークが行われ、完全に3種の材料が混合された形で作られるようになり、今に至る。

旧来のグラスホッパーの作り方[編集]

リキュール・グラス(容量30ml程度)に、まずホワイト・カカオ・リキュールを、次にグリーン・ペパーミント・リキュールを、最後に生クリームの順番でフロートさせてゆけば完成である。それぞれの比重の違いと色の違いにより、3層に別れ、中央のみが鮮やかな緑色となる。なお、グリーン・ペパーミント・リキュールとホワイト・カカオ・リキュールと生クリームは、それぞれ等量ずつである。

性質の変化[編集]

シェーカーを使ってシェークすることには、材料を混合する以外に、材料を急速に冷却するという意味もある。冷却が行えるのは、シェーカーの中にを入れるからであるが、冷却を行うことで口当たりを良くするなどの効果も得られる。シェークが行われた後、室温などで温度が上がってしまうと、材料の冷却を行ったことで得られた効果は、当然ながら失われ、しかも、シェークの際にシェーカーの中の氷が融けて薄まってしまうという、シェークを行ったことによる欠点のみが目立つ結果となる。したがって、シェークを行った以上は、その後、温度が上がってしまう前に飲み切ってしまう必要が出てくるのである。つまり、ショートドリンクとなるのだ。

ところで、プース・カフェ・スタイルのカクテルは、作る際、特に冷却を行ったりはしないので、一般的にはロングドリンク(ロングカクテル)に分類される。それは、この旧来のグラスホッパーも例外ではなく、やはりロングドリンクであった。

すなわち、グラスホッパーは、ロングドリンクからショートドリンクに変化したカクテルなのだ。シェークが行われたことによって、カクテルが作られてから、比較的早い時間で飲み切る必要が出てきたのである。

その他の変化[編集]

量の変化
カクテルの完成時の量が、旧来のグラスホッパーに比べ、新しいグラスホッパーの方が多くなった。
具体的には、旧来の作り方ではリキュール・グラス(容量30ml程度)のような小さなグラスに作られていたものが、新しい作り方ではカクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に作られるようになったのである。
好みに応じやすくなった比率
旧来のグラスホッパーは、プース・カフェ・スタイルであったため、見た目が命と言っても良いカクテルであった。無論、新しいグラスホッパーでも、淡い緑色を出すことに心を砕いている面があることからも判るように、見た目が気にされなくなったわけではない。
ここで注目すべきは、旧来のプース・カフェ・スタイルのグラスホッパーでは綺麗な3層に仕上げるために、グリーン・ペパーミント・リキュール、ホワイト・カカオ・リキュール、生クリームは、それぞれが、必ずほぼ等量ずつである必要があったことだ。対して、新しいシェークを行うグラスホッパーでは、3つの材料が等量である必要が薄れ、飲む人の好みに応じて、材料の比率を変えることによる味やアルコール度数の調整が行いやすくなったのである。したがって、シェークを行うグラスホッパーには、3つの材料の比率が1:1:1を標準としながらも、3つの材料の比率が1:1:1ではないグラスホッパーのレシピも出てきた[3]

この節の主な参考文献[編集]

  • 後藤 新一 監修 『カクテル123』 日本文芸社 1998年12月15日発行 ISBN 4-537-07610-0
  • 岡 純一郎 監修 『カクテルベスト100』 西東社 1991年7月30日発行 ISBN 4-7916-0927-1
  • 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  • 花崎 一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3

類似のカクテル[編集]

旧来の作り方、すなわち、プース・カフェ・スタイルのグラスホッパーには、似たカクテルとしてキューカンバー(Cucumber)というものがある。具体的には、旧来の作り方のグラスホッパーからホワイト・カカオ・リキュールを抜いたものであり、2層になっているカクテルをキューカンバーと呼ぶ。なお、カクテル名のキューカンバーとは、「キュウリ」のこと。フロート・スタイルのカクテルであり、キュウリの断面のように緑と白に分かれている。

レシピ[編集]

  • グリーン・ペパーミント・リキュール : 生クリーム = 2:1

作り方[編集]

リキュール・グラス(容量30ml程度)に、適量のグリーン・ペパーミント・リキュールを注ぎ、そこにグリーン・ペパーミント・リキュールの半量程度の生クリームをフロートさせれば完成である

この節の主な参考文献[編集]

  • 上田 和男 監修 『カクテル・ハンドブック』 p.67 池田書店 1997年7月31日発行 ISBN 4-262-12007-4
  • 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
  • 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  • 岡 純一郎 監修 『カクテルベスト100』 西東社 1991年7月30日発行 ISBN 4-7916-0927-1

バリエーション[編集]

新しい作り方のグラスホッパーには、次のようなバリエーションがある。ただし、新しい作り方のグラスホッパーのバリエーションには、それぞれの材料の混合比率として、1:1:1を標準としないカクテルが多数含まれる。しかし、カクテルを作る際、それぞれの材料の混合比率を、飲む人の好みに応じて変えることは、しばしば行われることなので、ここでは、多少混合比率が異なるカクテルもバリエーションとして挙げてある。

  • グリーン・ペパーミント・リキュールを、ブランデーに変えると、「アレクサンダー」となる。
  • グリーン・ペパーミント・リキュールを、ラムに変えると、「パナマ」となる。
  • グリーン・ペパーミント・リキュールを、ウォッカに変えると、「バーバラ」となる。
  • グリーン・ペパーミント・リキュールを、ドライ・ジンに変えると、「プリンセス・メアリー」となる。
  • グリーン・ペパーミント・リキュールを、メロン・リキュールに変えると、「メロン・ホッパー」となる。
  • グリーン・ペパーミント・リキュールを、ガリアーノに変えると、「ゴールデン・キャデラック」となる。
  • ホワイト・カカオ・リキュールを、コーヒー・リキュールに変えると、「コーヒー・グラスホッパー」となる。
    • なお、コーヒー・グラスホッパーは、「メキシカン・グラスホッパー」という別名も持つ。
  • ホワイト・カカオ・リキュールを、ドライ・ジンに変えると、「アレキサンダーズ・シスター」となる。

古い作り方のグラスホッパーには、次のようなバリエーションがある。

  • ホワイト・カカオ・リキュールを抜いて、生クリームをシェークせずにフロートさせると、「キューカンバー」となる。(詳しくは、「類似のカクテル」の節を参照のこと。)

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 p.156 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  2. ^ a b 稲 保幸 『カクテルガイド』 p.128 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  3. ^ a b アンテナハウス 編集 『カクテル物語』 p.30 同文書院 1991年12月18日発行 ISBN 4-8103-7043-7
  4. ^ 今井 清 監修 『カクテルブック』 p.91 ナツメ社 1988年4月20日発行 ISBN 4-8163-0667-6
  5. ^ 岡 純一郎 監修 『カクテルベスト100』 p.150 西東社 1991年7月30日発行 ISBN 4-7916-0927-1

参考文献[編集]

  • 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  • 稲 保幸 『カクテルガイド』 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  • 稲 保幸 『洋酒とカクテル入門』 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9
  • 後藤 新一 監修 『カクテル・ベストセレクション100』 日本文芸社 1996年5月20日発行 ISBN 4-537-01747-3
  • 後藤 新一 監修 『カクテル123』 日本文芸社 1998年12月15日発行 ISBN 4-537-07610-0
  • 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  • 岡 純一郎 監修 『カクテルベスト100』 西東社 1991年7月30日発行 ISBN 4-7916-0927-1
  • 花崎 一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
  • オキ・シロー 『カクテル・コレクション』 ナツメ社 1990年3月24日発行 ISBN 4-8163-0857-1
  • 上田 和男 監修 『カクテル・ハンドブック』 池田書店 1997年7月31日発行 ISBN 4-262-12007-4
  • 上田 和男 監修 『カクテル・ブック』 西東社 1988年12月30日発行 ISBN 4-7916-0926-3
  • 上田 和男 『カクテル』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0994-8
  • 浜田 晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
  • 今井 清 監修 『カクテルブック』 ナツメ社 1988年4月20日発行 ISBN 4-8163-0667-6
  • 杉田 米三 『最新カクテルブック』 柴田書店 1969年12月20日発行
  • 吉田 芳二郎 『カラーブックス 828 洋酒入門 (第2版)』 保育社 1992年4月30日発行 ISBN 4-586-50828-0
  • 福西 英三 『カラーブックス 563 カクテル入門』 保育社 1982年3月5日発行 ISBN 4-586-50563-X
  • 山本 祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』 成美堂出版 1994年12月10日発行 ISBN 4-415-07873-7
  • 高井 久 監修 『絵でわかるカクテル入門』 日東書院 1989年7月20日発行 ISBN 4-528-00362-7