グネツム属

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グネツム属新エングラー体系
Gnetum africanum
分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Gymnospermae
: グネツム綱 Gnetopsida
: グネツム目 Gnetales
: グネツム科 Gnetaceae
: グネツム属 Gnetum
学名
Gnetum L. (1767)[1]
本文参照

グネツム属学名: Gnetum)はグネツム科の唯一の属。被子植物がひしめく熱帯で、まるで被子植物のような姿でひっそりと生育しており、西アフリカに2種、中央、南アメリカ大陸に7種、東南アジアに28種の合計37種ほどが分布する。

形態[編集]

常緑低木または高木になる2種を除き、全て木本性の蔓(つる)植物で、全縁、無毛の葉が対生している様子は一見すると被子植物であるアカネ科の蔓植物を思わせる。グネツム属は通常、雌雄異株で、雄花(小胞子嚢が小苞に包まれたもの)が穂状に集まって環状に配列し、さらに幾段にも積み上がる。雌花(大胞子嚢)では胚珠は内外2対の小苞に包まれる。珠孔からは受粉滴が分泌され、花粉を受取る。外側の小苞は肉質に、内側の小苞は硬くなり、種子は核果状になる。

生態[編集]

人間との関わり[編集]

グネモン(G. gnemon)を初めとして多くの種で種子や葉を食用とすることができる。2000年代に入り、グネモンからレスベラトロールが発見されグネチンCと名付けられた。グネチンCの薬学的な効能についても研究が進んでいる[2]

下位分類[編集]

Gnetum節 sect. Gnetum[編集]

Gnetum亜節 subsect. Gnetum[編集]

東南アジアに分布する木本2種である。

中国南部からマレー半島インドネシアミクロネシアに至る区域に分布。垂直分布は海岸沿いから標高1500m付近までである。樹高は最大25m程度に達し、雌雄異株。多数の現地名を持ちジャワ語でmelinjoやbelinjo、スンダ語ではtangki、マレー語やタガログ語ではbagoと呼ばれ親しまれている。種子や葉が食用とされるほか、木材が建材などとして利用される。和名は学名の種小名をそのまま読んだもの。インドネシアの現地名melinjoから「メリンジョ」と呼ばれることも多い。
  • Gnetum costatum
和名未定の種。太平洋のソロモン諸島に分布する。

Micrognemones亜節 subsect. Micrognemones[編集]

2種が熱帯アフリカに分布する。

  • Gnetum africanum
和名未定の種。アフリカ中央部カメルーンからアンゴラにかけて分布する。樹高10m程度に達するつる植物。現地名は多彩であり、カメルーンではeruやokokと呼ばれるほかアンゴラやコンゴ、ナイジェリアなどではkokoと呼ばれる。葉などが食用として利用される。
  • Gnetum buchholzianum
和名未定の種。アフリカ中央部ナイジェリアからザイールにかけて分布する。

Araeognemones亜節 subsect. Araeognemones[編集]

中南米に分布する9種が含まれる。いずれもつる植物である。

  • Gnetum camporum
和名未定の種。ベネズエラに分布する
  • Gnetum leyboldii
和名未定の種。コスタリカからアマゾン熱帯雨林にかけて分布する。
  • Gnetum nodiflorum
和名未定の種。ガイアナからブラジル北西部にかけて分布する。
  • Gnetum paniculatum
和名未定の種。ガイアナからブラジル北西部にかけて分布する。
  • Gnetum schwackeanum
アマゾン熱帯雨林に分布する。
  • Gnetum urens
ガイアナからペルー、ブラジルにかけて分布する。
  • Gnetum venosum
ボリビアからベネズエラにかけて分布する。

Scandentia節 sect. Scandentia[編集]

20種程度を含む。いずれもアジア地域に産し、つる植物である。

Stipotati亜節 subsect. Stipitati[編集]

  • Gnetum arboreum
和名未定の種。フィリピンのルソン島に分布する。
  • Gnetum contractum
和名未定の種。インド南部に分布する
  • Gnetum edule
和名未定の種。インド南部に分布する。
  • Gnetum gracilipes
和名未定の種。中国南部に分布する。
インド北東部のアッサムから太平洋のビスマルク諸島に至る一帯に分布する。
  • Gnetum montanum
和名未定の種。ヒマラヤ地域からマレー半島北部に至る地域に分布する。
  • Gnetum oblongum
和名未定の種。バングラデシュからミャンマーにかけて分布する。
  • Gnetum pendulum
和名未定の種。中国に分布する。
マレー半島からスマトラ島にかけて分布する。

Sessiles亜節 subsect. Sessiles[編集]

  • Gnetum acutum
和名未定の種。ボルネオ島北部に分布する。
  • Gnetum bosavicum
和名未定の種。パプアニューギニアに分布する。
  • Gnetum catasphaericum
和名未定の種。中国南部に分布する。
  • Gnetum cleistostachyum
和名未定の種。中国に分布する。
  • Gnetum cuspidatum
和名未定の種。インドシナ半島からフィリピンにかけて分布する。
  • Gnetum diminutum
和名未定の種。ボルネオ島に分布する。
  • Gnetum formosum
和名未定の種 。ベトナムに分布する。
  • Gnetum giganteum
和名未定の種。中国に分布する。
  • Gnetum globosum
和名未定の種。マレーシアに分布する。
  • Gnetum gnemonoides
フィリピンからパプアニューギニアにかけて分布する。
  • Gnetum hainanense
中国南部に分布する。
  • Gnetum klossii
  • Gnetum leptostachyum
インドシナ半島からボルネオ島にかけて分布する。
  • Gnetum loerzingii
  • Gnetum luofuense
和名未定の種。中国に分布する。
  • Gnetum macrostachyum
  • Gnetum microcarpum
  • Gnetum neglectum
  • Gnetum oxycarpum
和名未定の種。スマトラ島に分布する。
  • Gnetum parvifolium
中国南部からインドシナ半島北部にかけて分布する。
  • Gnetum raya
ボルネオ島に分布する。
  • Gnetum ridleyi
マレー半島に分布する。

Cylindrostachys亜節 sect. Cylindrostachys[編集]

  • Gnetum arboreum
和名未定の種。
  • Gnetum catasphaericum
和名未定の種。
  • Gnetum contractum
和名未定の種。
  • Gnetum costatum
和名未定の種。
  • Gnetum cuspidatum
和名未定の種。
  • Gnetum diminutum
  • Gnetum giganteum
  • Gnetum gnemonoides
  • Gnetum gracilipes
  • Gnetum hainanense
  • Gnetum klossii
  • Gnetum latifolium
  • Gnetum leptostachyum
  • Gnetum loerzingii
  • Gnetum luofuense
  • Gnetum macrostachyum
  • Gnetum microcarpum
  • Gnetum montanum
  • Gnetum neglectum
  • Gnetum oxycarpum
  • Gnetum parvifolium
  • Gnetum pendulum
  • Gnetum ridleyi
  • Gnetum tenuifolium
  • Gnetum ula
和名未定の種。インドなどに分布する。

脚注[編集]

  1. ^ Tropicos Gnetum
  2. ^ 鈴木信孝. 2020. 総説メリンジョ種子エキス. 日本補完代替医療学会誌17(1), pp1-6. doi:10.1625/jcam.17.1

関連項目[編集]

外部リンク[編集]