クーガー・エース

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クーガー・エース
基本情報
船種 自動車運搬船
船籍 シンガポールの旗 シンガポール
所有者 商船三井
建造所 新来島豊橋造船
信号符字 9VKE
IMO番号 9051375
MMSI番号 563329000
経歴
竣工 1993年10月22日
要目
総トン数 55,328トン
全長 199.53メートル
32.26メートル
深さ 33.46メートル
満載喫水 9.72メートル
出力 11,695KW
最大速力 21.3kt
車両搭載数 5542台
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転覆したクーガー・エース

クーガー・エース(COUGAR ACE)は、日本商船三井が所有する自動車運搬船2006年7月24日アメリカ合衆国アリューシャン列島付近で海難事故を発生させ、60度以上に傾斜した姿が報道されたことから、世界的に名が知れ渡るようになった。

概要[編集]

海難事故[編集]

転覆したクーガー・エース

救助と復旧作業[編集]

2006年7月24日17時頃(日本時間)、日本から北米西海岸へ完成車を輸送中、アリューシャン列島南方約370キロメートルの海上(北緯48度14分、西経174度26分付近)で、船体が左に大きく60度以上に傾き航行不能となった。アメリカ沿岸警備隊へ救助要請がおこなわれ、商船三井本社には対策本部が設置された。[1][2] 乗組員23名(シンガポール人2名、ミャンマー人8名、フィリピン人13名)は1名が脚を負傷した以外は無事で、船内で待機、24日15時(日本時間)までにアメリカ沿岸警備隊およびアメリカ空軍のヘリコプターで救助され、アダック島へ移送された。[3]

船体の復旧と曳航のため、7月28日、アメリカ沿岸警備隊、アラスカ州環境保護局、商船三井の三者による合同対策本部が設置された。無人となった船体は安定して浮揚しており、風に流されて7月28日にはアリューシャン列島から約210キロメートルの距離まで接近した。アメリカ沿岸警備隊の巡視船が継続して監視をおこなったほか、29日午前からはアダック島から緊急派遣されたタグボートが待機した。復旧作業のためシアトルから派遣された曳船ダッチハーバーから派遣されたサルベージ技術者を乗せたタグボートも7月30日朝に現場に到着した。[4]

7月31日に沿岸警備隊のヘリコプターで技術者4名が乗船して状況の確認を行ったが、作業忠の転落事故により1名が死亡した。[5]その後、現場海域の天候が悪化したため、8月5日により海況の穏やかなベーリング海へ曳航され[6][7]、8月8日からダッチハーバー港で船体の立て直しを開始、8月15日に姿勢をほぼ回復、浸水の恐れがなくなった。[8][9] その後の点検および応急修理の結果、発電機の不調により自力航行は断念、曳航による移動となった。9月2日7時(日本時間)にダッチハーバーを出港、9月12日オレゴン州ポートランド港に到着、荷役後、本格的な復旧・修理が行われた。[10][11]

原因[編集]

事故発生時、本船はバラスト水の調整作業中だった[2]。作業の過程で誤ってバラストタンク内の海水を排出し過ぎたため、復原力が不足した状態となり、折からの強いうねりにあおられ一気に横転したものとされた。[12]

積荷[編集]

船には日本の工場で製造されアメリカ合衆国に向けて輸出されるはずであった多数の新車が搭載されていた。内訳は、マツダ社製の4703台(MAZDA3(日本名アクセラ)、マツダ・CX-7)、いすゞ自動車製の110台(いすゞ・エルフ相当)。損傷が少ないものも相当数あったが、イメージダウンを恐れたマツダ・ノース・アメリカン・オペレーションズおよびいすゞコマーシャルトラック・オブ・アメリカは、中古車扱いとしても流通させずに全車廃棄処分とする決定を下した。

脚注[編集]

  1. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件” (プレスリリース), 商船三井, (2006年7月25日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/648.html 2015年3月26日閲覧。 
  2. ^ a b “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 3)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年7月26日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/649.html 2015年3月26日閲覧。 
  3. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 2)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年7月25日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/647.html 2015年3月26日閲覧。 
  4. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 5)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年7月31日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/653.html 2015年3月26日閲覧。 
  5. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 6)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年8月1日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/654.html 2015年3月30日閲覧。 
  6. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 7)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年8月2日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/655.html 2015年3月30日閲覧。 
  7. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 8)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年8月7日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/656.html 2015年3月30日閲覧。 
  8. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 9)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年8月14日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/658.html 2015年3月30日閲覧。 
  9. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 10)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年8月16日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/656.html 2015年3月30日閲覧。 
  10. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 11)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年9月4日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/668.html 2015年3月30日閲覧。 
  11. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 12)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年9月13日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/673.html 2015年3月30日閲覧。 
  12. ^ “自動車運搬船"COUGAR ACE"海難事故の件(No. 4)” (プレスリリース), 商船三井, (2006年7月27日), http://www.mol.co.jp/pr/2006/650.html 2015年3月26日閲覧。 

関連項目[編集]