クリステン・ラウンケル

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クリステン・ラウンケル

クリステン・ラウンケル(Christen Christiansen Raunkiær、1860年3月29日 - 1938年3月11日)はデンマークの植物生態学者である。冬芽の地表面からの高さで植物の生活形を分類し(ラウンケルの生活形、もしくは生活型とも)、群落内の種の分布を示す頻度の測定法を考案し、自然群落では頻度の両極端の種が多く、中間が少ないという「ラウンケルの法則」を唱えた[1]

姓の「Raunkiær」の日本での音訳は1960年初版の岩波の「岩波生物学辞典」でラウンケル表記が採用され、長くラウンケル表記が用いられてきたが、近年の生態学分野の論文では「ラウンケア」、「ラウンキエ」などの表記が用いられるほうが多くなっている。

略歴[編集]

西ユトランド、Lyne SognのRavnkærgårdという名の農園に生まれた。生まれた時の姓はハンセンで、生まれた農園の名前からラウンケルと名乗るようになり1912年に公式に改名した。コペンハーゲン大学で植物学を学び、1885年に修士の学位を得た。人文科学にも興味を持ち、1888年に作家のインゲボルグ(Ingeborg Marie Raunkiær、旧姓:Andersen:1863-1921)結婚した(1915年に離婚)。1900年から師範学校で教えた。国外での多くの調査旅行を行い、西インド諸島サントドミンゴ(1905-1906)、イタリア、北アフリカ、スペイン、南フランス(1909-1910)を調査した。妻も同行し、論文のための図を描いた。

1908年にコペンハーゲン大学の植物学教授に就任し、1911年に生態学者、オイゲン・ワルミング(Eugen Warming)の後を継いで、植物学教授、コペンハーゲン大学植物園の園長となった。1923年までその職を続けた。

インゲボルクと離婚した後、同僚の植物学者、セデリン(Agnete Seidelin :1874-1956)と結婚するが離婚し、1925年にニールセン(Christine Farvine Nelly Nielsen)と結婚した。

ラウンケルの生活形[編集]

ラウンケルの生活形分類

ラウンケルは植物の環境に対する生活形を、冬期の休眠中の休眠芽の位置などで次のように分類した。

  • 地上植物(高位芽植物) - phanerophyte
  • 地表植物(地上芽植物)- chamaephyte
  • 半地中植物(地表芽植物)- hemicryptophyte
  • 地中植物(隱芽植物ドイツ語版)- cryptophyte (球根・球茎英語版などの地中に芽を隠す状態で冬をやり過ごす)
    • 地下芽植物 - geophyte
    • 沼生植物 - helophyte
    • 水生植物 - hydrophyte
  • 一年生植物 - therophyte (冬を種の状態でやり過ごす植物)
  • 着生植物 - Epiphytes
  • 気生植物 - Aerophytes

参考文献[編集]

  • Mogens Køie: "Planternes Levevilkår. Økologi" (Arne Nørrevang og Torben J. Meyer (red.): Danmarks Natur, bind 2: Klima og Levevilkår; Politikens Forlag 1968)
  • A. Fox Maule: Biografi i Dansk Biografisk Leksikon, 3. udg.
  1. ^ 『岩波生物学辞典 第2版』「ラウンケル」