クランバー・スパニエル

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クランバー・スパニエル

クランバー・スパニエル(英:Clumber Spaniel)とは、フランス及びイギリス原産のスパニエル犬種の一つである。

歴史[編集]

生い立ちと生い立った年代は未だ不明である。1770年のはじめにクランバーがフランスからイギリスへ送られたが、本格的な繁殖がその地で行われるようになったのはフランス革命の直後である。それ以前はフランスで主に繁殖が行われていたが、革命の影響により愛犬たちが虐殺されることを恐れた本種の一番の愛好家がイギリスのクランバー公園へ犬を避難させ、その地で保護と改良が行われるようになった。クランバー・スパニエルはエドワード7世ジョージ5世にも愛されたことにより、イギリスでの地位も上昇した。

主にフラッシング・ドッグとして使われ、を探して飛び立たせる役割を担った。その猟は数頭〜十数頭で行われる。歩く時にあまり音を立てないので、主人は首輪をつけて犬の位置を把握する。動きがゆったりとしているため、猟師徒歩で猟を行うためなどのコストがかからず、多くの人に採用されていた。クランバー・スパニエルは獲物を発見すると主人の指示によりフラッシング(追い出し)を行って鳥を飛び立たせるが、レトリーバーとしては働かない。尚、撃ち落された鳥の回収作業(レトリーヴ)については、それ用の犬をつれているため問題は無かった。

20世紀になるとショードッグとしての過度な改造が進み、健康的な被害を受けるようになり人気が低迷した。更に第二次世界大戦の戦禍により絶滅の危機にも追いやられてしまうが、何とか種として生き残ることが出来た。戦後は体格の改善も進み、以前よりも健康被害が出にくいようになりつつある。

現在はペットやショードッグとしてもあまり多くは飼われておらず、頭数自体も少なく希少な存在である。日本でもブリーディングが行われているが、素人にはブリーディングの際の犬質管理が難しいため、プロによってブリーディングが行われ、仔犬が販売されている。毎年国内登録が行われていて、2009年度の国内登録頭数順位は134位中90位と高かった。あまり話題には上らないが、日本国内でも愛好家は多いのである。

尚、近年の世界的なオールドタイプ犬種ブームにより、ショードッグとして改造される以前のクランバー・スパニエルの姿を復元する作業も行われている。それは現在オールド・クランバー・スパニエル(英:Olde Clumber Spaniel、仮称)と呼ばれており、まだ完成には至っていない。

特徴[編集]

ずんぐりむっくりの体格をしたスパニエルである。マズルの長さは短めで、頭部は大きく胴長短足である。首も短く太い。耳は垂れ耳で尾は飾り毛のある垂れ尾だが、断尾して短くすることもある。コートはウエーブがかったロングコートで、毛色はホワイト若しくはミルクで、耳やマズルの周辺などにレモンやブラウンの斑が入ることもある。体高は雄48〜51cm、雌43〜48cmで、体重は雄32〜39kg、雌25〜32kgの中型犬。性格はおっとりしていてマイペースで温和、攻撃的な面が一切無い。主人に依存した生活を好み、反抗を起こすこともよほどのことがない限りしない。子供や他の犬に対しても友好的であるが、見知らぬ人や犬とはあまり積極的に関わりたがらない。運動量は普通だが、肥満になりやすいので食事には配慮が必要である。かかりやすい病気は股関節形成不全眼瞼異常椎間板ヘルニア脂漏症外耳炎口蓋裂軟口蓋過長症などがある。胴が長めのため、抱き方には注意が必要である。胴長の犬種は片手で胸、もう片方の手で腰を抱えて持つのが良い。

参考文献[編集]

  • 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2010』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

関連項目[編集]