クライスラー・LHS

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クライスラー・LHS(Chrysler LHS)は、クライスラー・LHプラットフォームを使用したフルサイズ前輪駆動の大型4ドアセダンである。LHSは1994年から2001年までクライスラー社のフラッグシップであった。

最高級の豪華さと堅実な性能を併せ持つことでその生産期間中に高い評価を得ていたLHSは市場で数千USドル高価な他社の車と競合することとなった。第1世代のLHSはヨーロッパの高級車を強く想起させる高い完成度(豪華さと性能の両面で)を実現していた。多くの自動車ジャーナリストは、クライスラーのフラッグシップはドイツ車の何かと見紛うばかりであると述べた。これはクライスラー社がダイムラー・ベンツ社と提携する僅か数年前のことであった。

世代[編集]

第1世代:1994年 - 1997年[編集]

クライスラー・LHS
第1世代のクライスラー・LHS
LHS 1995-97.JPG
1997年モデルのLHS
1997 Chrysler LHS, rear left side.jpg
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 3.5 L EGJ V6
変速機 4速 AT 42LE
駆動方式 FF
全長 5268 mm
全幅 1890 mm
全高 1994年:1415 mm
1995年 - 1997年:1420 mm
ホイールベース 2870 mm
製造工場 ブランプトン工場ブランプトンカナダ
-自動車のスペック表-

初代のLHSは1994年に、クライスラー・コンコードダッジ・イントレピッドイーグル・ビジョンが発売された1年後に発売された。LH 207(クライスラー・LHSとクライスラー・ニューヨーカー)はクライスラー・LHプラットフォームを127 mm(5インチ)延長したボディを使用しており、インペリアル(Imperial)に取って代わるクライスラー車のモデルの中で最も大型で豪華な"フラッグシップ"車と見られていた。ホイールベースは全てのLHカーで共通であったが127 mm(5インチ)長いボディのお陰で後部座席の位置を更に後ろにずらすことができた。これによりLHSは、BMWメルセデス・ベンツのロングホイールベース版の "L" モデルと似たリムジンの様な後席の空間を確保していた。姉妹車のニューヨーカー(New Yorker)もニューヨーカー フィフス・アヴェニュー(New Yorker Fifth Avenue)とニューヨーカー サロン(New Yorker Salon)の後継として生産された。1994年からのこれら3種のクライスラー・LHカーは中庸の"ツーリング"・サスペンションを備えていた。ダッジ・イントレピッドとイーグル・ビジョンにはオプションでさらに硬い"パフォーマンス"・セッティングも選択することが出来た。

コンコードはクライスラー・ブランド内でフルサイズ車のベースモデルと見なされていた。5人乗りのLHSは、その対極に位置するクロームで飾られた姉妹車のクライスラー・ニューヨーカーとは前席のフロアコンソール、床からはえるシフトレバー、上等な内装とスポーティなイメージで棲み分けが図られていた。ニューヨーカーは1997年モデルのLHSにオプションで6人乗りが設定されたために廃止された。LHSは1995年に些細なフェイスリフトを施され、ペンタスター(Pentastar)形のバッジが現在のメダリオン形に変更された。

クライスラー車のモデルラインの頂点に位置するためLHSでは姉妹車ではオプションでしか取り付けられない多くの装備が標準で付いていた。これらの装備には3.5 L EGJ型 24バルブ V6エンジン、ボディと同色のグリル、ドアミラー、加飾品やトラクションコントロールシステムアルミホイール、内蔵フォグランプと8ウェイ電動調整フロントシートが含まれていた。ニューヨーカーと同様にベロア調の織物シートが標準で革製シートはオプションであった。LHSの革はギャザード・スタイルの織物シートを模しており、ニューヨーカーのトラッドスタイルの革よりも高級に見えるように企画されていた。

第1世代のLHSで特筆されるのは、米国車には手厳しいことで知られる自動車ジャーナリストのジェレミー・クラークソンがLHSのことを「国際基準で最優秀車と並べられる。」と評したことである。[1]

第2世代:1999年 - 2001年[編集]

クライスラー・LHS
第2世代のクライスラー・LHS
2nd Chrysler LHS.jpg
Chrysler LHS II rear China 2012-04-28.jpg
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 3.5 L EGJ V6
変速機 4速 AT 42LE
駆動方式 FF
全長 5276 mm
全幅 1890 mm
全高 1422 mm
ホイールベース 2870 mm
製造工場 ブランプトン工場ブランプトンカナダ
-自動車のスペック表-

LHSは、1999年にモデルチェンジされた新しいモデルが発売されるのを見越して1997年モデルで一旦ラインアップから落とされた。前のモデルと同様に第2世代のLHSはクライスラー・ブランド内の最高級車の座に着いたが、その室内スペースは多少鼻先が長いコンコードのものと代わり映えはしなかった。第2世代のLHSとコンコードの違いは極僅かで、そのほとんどは顔付きと装備の違いに限られていた。新しいLHSと同時にイーグル・ビジョンの後継車であるクライスラー・300Mが発売された。300Mの登場でクライスラー・ブランドにはLHプラットフォームを使用した3種のフルサイズ車が揃った。奇妙なことに僅かに小さい300Mが最終的にはLHSよりもコスト高になったが、あらゆる面でコンコードと似ている中で廉価であることからLHSよりも人気があった。スタイリングが変更されたことによりLHSの室内は前のモデルよりも多少窮屈に感じられた。サイドウインドの曲率が強く屋根側に傾斜していることでウインド上部と頭部の横の空間を圧迫していた。全ての室内寸法は初代のLHSと同等か勝っているにもかかわらず新しいモデルは初代が持っていたリムジン感覚を失っていた。このことが原因でLHSはニューヨーカーと同様の運命を辿ることとなった。皮肉なことに初代のLHSの人気が高かったことが2代目の廃止という結果を招いた。クライスラー社は2002-2004年モデルのコンコード LXiにLHSの前後の顔付きと内装を与えることで2002年限りで静かにLHSを自社のラインアップから外した。2002-2004年モデルの低グレードのコンコード LXは従来のコンコード路線を維持した。

LHS 基本価格[編集]

第1世代[編集]

  • 1994 • $30,283 USドル
  • 1995 • $29,595
  • 1996 • $30,225
  • 1997 • $30,225

第2世代[編集]

  • 1999 • $28,950
  • 2000 • $28,340
  • 2001 • $28,680

出典[編集]

  1. ^ Clarkson, J. (2004). Motorworld. Penguin. ISBN 978-1-856-13098-1. 

外部リンク[編集]