クライスラー・ネオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ネオンNeon)はクライスラーが販売していた自動車。

当時北米市場で席捲していた日本製や韓国製小型車に対抗して企画されたコンパクトカーである。 安価なこれらの自動車に対抗するため、車体について徹底したコスト削減が図られているのが特徴的であった。

北米ではダッジもしくはプリムスブランドで販売されたが、欧州やアジア市場ではクライスラーブランドで発売された。通常販売チャネルが異なると同一車種でも名前が変わることが多いが、このネオンの場合には企画段階で各ブランド共通の車名が用いられることが予め決められた珍しい例であった。

歴史[編集]

初代 (1994年 - 1999年)[編集]

クライスラー・ネオン(初代)
4ドアセダン(北米仕様)
1st-gen Neon.jpg
2ドアクーペ(北米仕様)
'96-'99 Dodge Neon EX Coupe.jpg
販売期間 北米:1994年 - 1999年
日本:1996年6月 - 1998年
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン、2ドアクーペ
エンジン 2.0L L4
変速機 フロア5MT
フロア3AT
駆動方式 FF
サスペンション ストラット式
全長 4370mm
全幅 1720mm
全高 1370mm
ホイールベース 2640mm
車両重量 1190kg
-自動車のスペック表-

1994年1月、北米国際オートショー(NAIAS)で発表、横置き直4 2.0L エンジンを搭載する小型セダンとして、アメリカカナダで同月より販売が開始された。

スタイリング上の特徴は、当時同社が推し進めていた、長いホイールベースと、ボンネットを短く見せる前進させたAピラーとの組み合わせによる「キャビンフォワードパッケージ」[1]で、さらに、異形丸型2灯式ヘッドランプを採用した親しみのあるフロントマスクとし、広告展開では正面を向いて "Hi." と陽気にアピールしていた[2]

価格は本国でエアコン無しのベースモデルが9000ドルを切っていたため、当時日本のマスメディアでは盛んに「日本車キラー」と報道されたが、実際は足回りトランクルーム内側の塗装を省略し[3]、ドアをサッシュレスウインドウ化、後席のパワーウインドウも設定が無いなど、当時の日本車には見られない極端なコストダウンが行われており、品質や質感はトヨタ・カローラ日産・セントラホンダ・シビックに遠く及ばなかった。それだけ廉価車として割り切って企画され、生産段階でもそれを敢行した、と言う事である[4]

セダン(リア)

日本では、1996年6月に発売された。廉価版のSE(当初、本体価格が130万円以下だった)、中間グレードのLE、装備を充実させた最上級のLXが輸入された。大半がフロアの3速ATだったが、ごく少数5速フロアMTも販売された。右ハンドルモデルは、イギリスオーストラリアへも輸出された。

後に北米市場では根強い人気のある2ドアクーペが追加されたが、日本への正規輸入はされていない。

2代目(1999年 - 2005年)[編集]

クライスラー・ネオン(2代目)
プリムス・ネオン(北米仕様)
2nd Plymouth Neon -- 05-22-2010.jpg
ダッジ・SRT-4(北米仕様)
Dodge SRT-4.jpg
販売期間 北米:1999年 - 2005年
日本:1999年9月 - 2001年
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン、2ドアクーペ
エンジン 2.0L L4
最高出力 215ps/5400rpm
最大トルク 33.80kgfm/4200rpm
変速機 5速MT
4速AT / 3速AT
駆動方式 FF
サスペンション ストラット式
全長 4390mm
全幅 1715mm
全高 1420mm
ホイールベース 2655mm
車両重量 1220kg
-自動車のスペック表-

1999年9月には新型が登場、ダイムラーとの合併により、メルセデス・ベンツの評価基準が取り入れられた結果、ボディーやサスペンションの剛性が大幅に向上し、ハンドリングや操縦安定性が大きく改善された。

同時に質感やNVH(騒音・振動・ゴツゴツ感)評価も向上したが、まだ同クラスの日本車には及ばなかった。

セダン(リア)

翌年2000年には右ハンドルの日本仕様が発売されたが、本革シートなどの豪華装備を装着した「LX」セダンのみが輸入され、車両価格が215万円 (消費税抜き) と大幅に値上げされた。また、トランスミッションは3速ATのみとされたため、他車との競争力に乏しく、わずか数年間で輸入が終了した。しかし、基本性能が上がった2代目ネオンのプラットフォームを使った派生車種であるPTクルーザーは、日本でも1万台以上売り上げ、クライスラー日本のベストセラーモデルとなっている。

一方、米国では「ネオン」の名前を外したホットモデルの「ダッジ・SRT-4」を発売し、ベースモデルのヒットともあいまって日本車が独占しているスポコン市場に斬り込んだ。

ネオンは2006年モデルを最後に生産を終了し、後継車種は小型クロスオーバーSUVの「ダッジ・キャリバー」となった[5]

SRT-4[編集]

SRT-4 エンジン

北米のダッジブランドでのみ提供されていたネオンの高性能モデル。215馬力、33.8kgのトルクを発生するターボチャージャー付き2.4Lエンジンを搭載し、純正で17インチホイールを装着するホットモデルである。

日本のスポーツコンパクトに対抗するために企画された。2004年にはマイナーチェンジが行われ、エンジン出力が230馬力に向上している。2005年にはレーシングベースのホットバージョンであるACR(American Club Racer)がリリースされている。


脚注[編集]

  1. ^ 同程度の全長の車種に比べ、室内空間は拡大しているが、パワートレインや前軸のタイヤハウスとの兼ね合いで、ホイールベースに対する運転席の位置自体は外観の印象ほど前進していない。
  2. ^ ゼネラルモーターズ初の自社製コンパクトカーであるサターンも、従来の自動車臭さを否定するフロントマスクに挑戦している。
  3. ^ サスペンションアームは無塗装だが、トランク内部は電着塗装の下塗りのみ施されている。
  4. ^ 初代ネオンはカーグラフィック誌の長期レポート車の1台として加わっていたが、タイヤ交換のジャッキアップの際、純正の車載ジャッキを使ったにも関わらず、ジャッキアップポイントの「耳」がことごとく潰れたことが報告されている。
  5. ^ キャリバーは1代限りで生産を終了し、フィアットグループのプラットフォームを流用したその後継の「ダート (2013)では、再びセダンへと回帰している。

関連項目[編集]


外部リンク[編集]