クジラ目
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ザトウクジラ |
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Cetacea Brisson, 1762 |
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| 亜目 | |||||||||||||||||||||||||||
クジラ目(鯨目、Cetacea)は、哺乳綱ローラシア獣上目鯨偶蹄目の一グループ。「鯨目」は「くじらもく」とも「げいもく」とも読まれる。
クジラとイルカが含まれる。ただし、それぞれは系統学的グループでも分類学的グループでもなく、ハクジラの一部の小型の種がイルカとされることが一般的である。
かつては哺乳綱を構成する目の一つであったが、ウシ目(偶蹄目)と統合された結果、鯨偶蹄目の下位分類となった。ただし、クジラ亜目などと言われることは希で、依然としてクジラ目と呼ばれることが多い。
目次 |
[編集] 呼称
「クジラ#鯨と言葉」も参照
[編集] 和名
日本語の「クジラ」の語源については、大きな口を持つことから古来「口広(クチビロ)」と呼んでいたのが転訛して「クヂラ」となったとする説、体色が黒と白に色分けされていることから来る「黒白(クロシロ)」に由来するという説など、諸説がある。「イサナ」とも呼び、漢字で「勇魚(勇<イサ>魚<ナ>)」「不知魚」「伊佐魚」などと書き表してもいた。漢字表記の「鯨」は、巨大な魚と見なされたことに由来し、大きい桁・数字を表す「京」を当てたものであるとされている。漢字「鯨」についてはWiktionary:漢字:鯨による解説もあり。
[編集] 学名・外国語名
クジラの学名や星座名の Cetus はギリシア語の κῆτος (kētos。ケートス。「海の巨大な怪魚、鯨」の意)のラテン語形である cētus (ケートゥス)に由来する。学名を仮名に転写するなら「ケトゥス」。英語では「スィータス」と発音される。「ケタス」「セタス」はいずれも日本語による慣習読みである。
また、本来のラテン語でクジラを意味する balaena はホッキョククジラ属の属名ともなっている。イタリア語 balena、スペイン語 ballena、フランス語 baleine などいずれもこの語に由来する。また、英語で「クジラのひげ」を意味する baleen も同語源である。ちなみに、「ヒゲクジラ」のことを英語では baleen whale という。
英語whaleは、オランダ語のwalvis、ドイツ語のWal、スウェーデン語のvalなどとともに、「海の大魚」を原義とするゲルマン祖語 *khwalaz を語源としている。
[編集] クジラとイルカ
日本では、クジラの中でも成体で体長4m程度以下の比較的小型のハクジラの一部をイルカと呼ぶが、生物分類上はクジラとイルカの間に明確な境界は無い。この曖昧さは日本語だけのものではなく、例えば英語では、ヒゲクジラの全てと大型ハクジラ類をWhale(クジラ)、小型のハクジラ類(概して日本語での「イルカ」)をさらにDolphin(イルカ一般)とPorpoise(ネズミイルカ)の2つに分け、計3種類に区別して呼ばれるが、生物分類上はWhaleとDolphinの境界は明確ではない。
[編集] 生物的特徴
[編集] 祖先
古生物学の世界では長い間、新生代暁新世から始新世にかけて生息した肉食性有蹄動物のメソニクス類(Mesonychia)がクジラ類の祖先にあたるとの見方が、伝統的かつ支配的であった。しかし、これに替わって2000年頃からは新たな知見に基づき、原始的な肉食性偶蹄類がそれであるとの見方が有力となっている。 始新世初期[1]に、水中生活への依存度を高めていた陸生偶蹄類の一群が、その環境への適応を一段と進めて分化(分岐して進化)していったものであるとの説である。この新たな知見とは、塩基配列の解析など進歩著しい分子系統学からのアプローチや、偶蹄類に近い特徴とクジラ類に固有の特徴を併せ持った距骨を具える四つ足の始原的クジラ類の化石発見からもたらされた形態学由来のものであった[2]。また、分子系統学からは、クジラ類はカバ科と姉妹群であるとの指摘がなされている。これを既知の知見と照合すれば、クジラとカバの系統的分化は少なくとも暁新世の後期以前に起こっていたことになる。しかし、その時代からの化石がまだもたらされていない今日では、約5,300万年前(始新世初頭)が実証可能な最古の時代であり、パキケトゥス科をもって最古としている。彼らの段階ではクジラ類はまだ、水に潜って餌を獲ることの多いオオカミ大の四つ足動物でしかなかった。系統分類についてさらに詳しくは鯨偶蹄目を、進化経緯については原クジラ亜目を参照のこと。
[編集] 生態
クジラ類は全て水生であって主に海に生息するが、カワイルカ類など一部のものは川や汽水域に生息する。現生動物としては体長や体重が最大のグループを含み、特にシロナガスクジラは動物として史上最大の質量(体重約130t)を誇る。一方で、クジラ目の中で最も小さいのはコガシラネズミイルカであり、体長は約1.5m、体重は50kg程度に過ぎない。魚類やイカ類などの頭足類を食べるハクジラ類と、オキアミなどのプランクトンや群集性小魚類を食べるヒゲクジラ類では食性が異なるが、全て広い意味での肉食性である。ハクジラ類は海の生態系の最上位のほか、高位の多くを占め、ヒゲクジラ類も低位消費者の最大種を含む一大グループとして多様な進化に成功したものである。
クジラ類の耳には耳殻は無く、単なる直径2mm程度の穴であり、耳垢がつまっている。耳垢の層を数えることにより、ある程度の年齢を推測することができる。脂肪を蓄え、それによって水分を作ってすごす。汗腺は無い。頭部の背側に呼吸のための噴気孔を有す。噴気孔はヒゲクジラでは2個、ハクジラでは1個である。噴気孔は開閉が可能であり、頭部を水面上に出して噴気孔を開けて空気を吸い、それ以外の潜水する時などは噴気孔を閉じて水の浸入を防ぐ。いびきをかくこともある。糞は固形分が少なく液状に近い。哺乳類であるので体温は35~37℃で臍(へそ)もある。乳首は2つあり、風邪もひく。泳ぐ速度は時速 3kmから50km程度。寿命は 30年から120年程度である。
[編集] 分類と系統
クジラ類は、原クジラ亜目(原鯨亜目、古クジラ亜目、ムカシクジラ亜目とも称)ハクジラ亜目、ヒゲクジラ亜目の3つの亜目に分類されるが、原クジラ亜目に属する種は全て絶滅しており、現生はヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目の2亜目である。 ハクジラ亜目とヒゲクジラ亜目は一時単系統性が疑われたこともあるが、単系統ということで決着が着いた。「ハクジラ亜目・ヒゲクジラ亜目以外の全て」という形の原クジラ亜目は単系統ではないため、廃したり、いくつかの科を除外したりすることも多い。
ハクジラ類は原クジラ類と同様に獲物を捕えるための歯を持っている。また、ハクジラ類は、自分の出した音の反射を利用して獲物や障害物を探る反響定位(エコーロケーション)のための器官、すなわち、上眼窩突起、顔の筋肉、鼻の反響定位器官を発達させていることを特徴とする。イルカ、シャチ、イッカクなどもハクジラ亜目に属する。 一方、ヒゲクジラ類は、口内にプランクトンやオキアミなどをこし取るための櫛(くし)状の髭(ひげ)板を持つのが特徴で、歯は消失している。
[編集] 分類
現鯨亜目を置き、ハクジラとヒゲクジラを下目とすることがある。
また、Cete目、Whippomorpha目などを置き、Cetaceaを亜目、この表の亜目を下目とすることもある。
かつてはカワイルカを総括するカワイルカ上科 Physeteridae を置くことがあったが、側系統であることが判明し、分割された。
- 現鯨類 Autoceta
- ハクジラ亜目 Odontoceti
- †スクアロドン上科 (未分類上科) Squalodontoidea
- マッコウクジラ上科 Physeteroidea
- アカボウクジラ上科 Ziphioidea
- インドカワイルカ上科 Platanistoidea
- †? ヨウスコウカワイルカ上科 Lipotoidea
- †? ヨウスコウカワイルカ科 Lipotidae(絶滅?)
- アマゾンカワイルカ上科 Inoidea
- マイルカ上科 Delphinoidea
- ヒゲクジラ亜目 Mysticeti
- ハクジラ亜目 Odontoceti
[編集] 系統
原生クジラ目の系統関係は次のとおり。現生ではカバ科が姉妹群であり、併せて単系統 Whippomorpha (Cetancodonta) をなす。ナガスクジラ科の単系統性は疑わしく、コククジラ科と併せて単系統をなす。
| Whippomorpha |
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[編集] クジラ目の保護
国際的なクジラ目の保護としては、IUCN(国際自然保護連合)が作成したレッドリストに多くの種が掲載されており、国際的な商取引を規制する絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)にもクジラ目の全種が附属書IあるいはIIに掲げられている。また、1946年には国際捕鯨取締条約が採択され、クジラ目の資源管理・保存・利用が進められている。
日本では伝統的にクジラ漁が盛んであったが、国際捕鯨委員会による商業捕鯨禁止の決定により、現在、指定された種のクジラについては調査捕鯨以外の捕鯨を実施していない。ただし、他のクジラやイルカについては引き続き捕鯨の対象になっている。また、近年では、「ホエールウォッチング」というクジラとの新たな接し方が観光資源として注目されてきている。
日本のクジラ目は環境省及び水産庁の法令等により保護・管理されている。環境省は哺乳類レッドリストでは対象外としているが、種の保存法に基づく国際希少野生動植物種にはクジラ目の種も指定している[3]。これは罰則規定がないワシントン条約の国内での実効的な運用を目的として設けられている。一方、水産庁は水産資源の持続的利用を目的として「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」という水生生物のレッドデータブックを発行しているが、その評価基準及びカテゴリーは最新のIUCNカテゴリーではなく、環境省の1991年版カテゴリー(IUCNカテゴリー (ver.1) )に準じており、また独自のカテゴリーも設けている[4]。例えば、水産庁のレッドリストでは、生息数の変動が自然変動の範囲内である野生生物は「普通種」としてランクされる(例えば、10万頭が1万頭に激減しても、その後、大きな変動が無ければ「普通種」と評価される)。また、マッコウクジラに関しては日本哺乳類学会では系統群ごとに評価しているにもかかわらず、水産庁では北太平洋全体で一つと認識されており、生息数もそれだけ大きく見積もられる、といった海洋野生生物の保全に対する基本的な認識に対する問題点を日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)の羽山伸一助教授(当時)が指摘している。
[編集] IUCNレッドリスト
下記にIUCN(国際自然保護連合)が作成した2006年版レッドリストに記載されている主なクジラ目を示す。括弧内は分類された年で、「」内はIUCN日本委員会の訳語である。
- 「絶滅寸前」 (CR:Critically Endangered) 2種
- コガシラネズミイルカ Phocoena sinus (1996年)
- ヨウスコウカワイルカ Lipotes vexillifer (2005年)
- 「絶滅危機」 (EN:Endangered) 7種
- イワシクジラ Balaenoptera borealis (Sei Whale) (1996年)
- シロナガスクジラ Balaenoptera musculus (1996年)
- ナガスクジラ Balaenoptera physalus (1996年)
- タイセイヨウセミクジラ Eubalaena glacialis (Right whale) (1996年)
- セミクジラ Eubalaena japonica (1996年)
- セッパリイルカ Cephalorhynchus hectori (2000年)
- インドカワイルカ Platanista gangetica (2004年)
- 「脆弱」 (VU:Vulnerable) 5種
- シロイルカ Delphinapterus leucas (1996年)
- アマゾンカワイルカ Inia geoffrensis (1996年)
- ザトウクジラ Megaptera novaeangliae (1996年)
- ネズミイルカ Phocoena phocoena (1996年)
- マッコウクジラ Physeter macrocephalus (1996年)
- 「低リスク - 保全対策依存」 (LRcd
- Lower Risk - Conservation Dependent) 14種
- 「低リスク - 準絶滅危惧」 (LRnt
- Lower Risk - Near Threatened) 1種
- 「低リスク - 軽度懸念」 (LRlc
- Lower Risk - Least Concern) 13種
- 「情報不足」 (DD
- Data Deficient) 39種
[編集] ワシントン条約の附属書
下記に絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の附属書に掲げられたクジラ目の種を示す。
- 附属書I
- 附属書II
- 附属書Iに掲げる種以外のクジラ目全種
[編集] クジラの利用と加工品
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- Whale:英語版ウィキペディア
- Evolution of cetaceans:クジラの進化史(英語版)
- クジラ学
- 鯨偶蹄目
- イルカ
- 潮吹き
- クジラの歌
- ライブストランディング:(クジラの)生体座礁現象
- 鯨の爆発
- 龍涎香
- 捕鯨問題
- はりはり鍋
- くじら座:星座
- マリンジャンボ:航空機
[編集] 参考文献、外部リンク
- 2006 IUCN Red List of Threatened Species IUCNレッドリスト(英文)
- 海棲哺乳類図鑑 国立科学博物館 動物研究部
- May-Collado, L., Agnarsson, I. (2006). Cytochrome b and Bayesian inference of whale phylogeny. Molecular Phylogenetics and Evolution 38, 344-354. [1]
- 羽山伸一著 『野生生物問題』地人書館、2001年、155-159頁。ISBN 4-8052-0689-6
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