キーロフ級ミサイル巡洋艦

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キーロフ級ミサイル巡洋艦
キーロフ級ミサイル巡洋艦 フルンゼ
艦級概要
艦種 大型ミサイル巡洋艦
艦名
建造期間 1974年 - 1998年
就役期間 1980年 - 就役中
前級 スラヴァ級ミサイル巡洋艦
次級 最新
要目
排水量 基準: 24,300 トン
満載: 26,500 トン
全長 252m
全幅 28.50m
喫水 10m
機関 CONAS方式 2軸推進
KN-3加圧水型原子炉(140,000shp 2基
重油ボイラー(予備) 2基
速度 30ノット (56 km/h)
乗員 727名
兵装 #兵装と装甲を参照
艦載機 カモフKa-25ホーモン
Ka-27ヘリックス対潜ヘリコプター
3-5機
レーダー トップ・ペア3次元レーダー 1基
トップ・スティア3次元レーダー
(1-2番艦)
トップ・プレート3次元レーダー
(3-4番艦)
1基
トップ・ドームSA-N-6発射管制レーダー
(1-3番艦)
2基
トゥーム・ストーン
トップ・ドーム
(4番艦)
1基
ポップ・グループSA-N-4発射管制レーダー
(1-3番艦)
2基
クロス・ソード(SA-N-9管制用)
(4番艦)
1基
パーム・フロンド航海レーダー 3基
カイト・スクリーチ130mm砲射撃指揮レーダー 1基
アイ・ボウルSS-N-14発射管制レーダー
(4番艦)
1基
バス・ティルトCIWS射撃指揮レーダー
(1-2番艦)
4基
ソナー ポリノム低周波バウ・ソナー 1基
ホース・テイル中周波可変深度ソナー 1基

キーロフ級ミサイル巡洋艦(Киров)は、ソビエト連邦海軍・ロシア海軍のProject1144.1/1144.2「Orlan」重装原子力ミサイル巡洋艦(巡洋戦艦)。1番艦の就役時の艦名から「キーロフ」級と呼ばれる。ソ連崩壊後、1番艦は「アドミラル・ウシャコフ」と改名されたが、現在でも「キーロフ」級と呼ばれる事が多く、「アドミラル・ウシャコフ」級と呼ぶケースはほとんど無い。ソ連・ロシアにおいては、「重原子力ミサイル巡洋艦」。

目次

[編集] 概要

「キーロフ」は第二次世界大戦後に建造された水上戦闘艦では世界最大の軍艦として、1977年12月にレニングラードのバルチック造船所で進水した。「キーロフ」は当初、敵潜水艦および航空機を発見これを撃破することを目的として計画され、ソビエト連邦海軍が当時計画していた航空母艦の護衛任務部隊として行動することが目的であったが、長距離艦対艦ミサイルグラニートを装備されてからは、より能力の高い軍艦となった。

ロシア海軍においては、本級は「"重"原子力ロケット巡洋艦」に分類されており、普通の「ロケット巡洋艦」よりもワンランク上の存在と見なされている[1]。しかしながらその船体排水量はかつてのイギリス戦艦ドレッドノート」より大きく、ジェーン海軍年鑑では巡洋戦艦に分類している。実際にも、戦後型水上戦闘艦としては異例なことに、艦橋その他の重要箇所に耐弾用の装甲が施されており、単に巡洋艦をスケールアップした構造ではない。

ただし対水上艦・対空・対潜のバランスの取れた武装は、現代巡洋艦の性格そのままであり、かつての巡洋戦艦とは性格が異なる艦である。

[編集] 特徴

キーロフ級は世界ではじめて艦載ミサイルをVLSとし、レーダー反射面積低減を狙った「ステルス」デザイン(1番艦キーロフがデンマーク海峡を通過する際、NATO軍のレーダーには「2,000t程度の小型フリゲート」にしか写らなかったという逸話は有名である[要出典])、アメリカイージスシステムに数年先駆けて同時多目標対処可能な艦隊防空システム「S-300F フォールト」を採用し(本級の場合、同時12目標対処可能)、30mm機関砲と近接防空ミサイルを組み合わせた「コールチクCIWSや、現代では珍しい連装砲(AK-130 130mm砲)を採用するなど技術的に特徴の多い艦である。

また、現代の軍艦には珍しく、艦の主要部に装甲が施されている。乾舷のナックルライン以下の部分に100ミリ、艦橋構造物に80ミリの装甲が施されているといわれている。なお、「フォールト」艦対空ミサイル垂直発射機区画は、甲板下の自律格納庫に収まっている事や、内部には発射コンテナもあるため、「グラニート」区画のように舷側装甲は必要無いと判断された。これに前述のステルスデザインと相まって、キーロフ級は非常に生存性の高い軍艦と言える。

本級は、原子力推進艦にも関わらず煙突が有り、原子炉の他に重油焚きボイラーも搭載している。この件に関し、西側諸国では長い間「原子炉が供給する蒸気ボイラーで追い炊きして改質する"スーパーヒート"推進システム」であると信じられていたが、ソ連崩壊後にロシア側から明らかにされた資料によると、単なるバックアップ用であった。本級の計画時、海軍総司令官ゴルシコフは、原子炉の他に「17ノットの速力が出せる予備ボイラーの設置」を要求し、これを受け入れたがための結果であった。

[編集] 運用

キーロフ級ミサイル巡洋艦「アドミラル・ウシャコフ(旧キーロフ)」(左)
スラヴァ級ミサイル巡洋艦(右)

本級は、7隻が計画され(9隻という説も有る)、5隻が起工されたが、竣工したのは4隻であった。建造が長期に渡った事もあり、竣工した4隻は、微妙に装備が異なる。この内4番艦は、艤装中にソ連邦が崩壊したために一時工事が中断したが、極度の財政難にも関わらず、エリツィン大統領の指示で1990年代半ばに工事が再開され、1998年にようやく就役した(だがこのため、細々と建造中だった他の艦は工事が中断してしまった)。5番艦は1989年に起工されたが、1990年10月4日付で建造中止が決定された(ちなみに、5番艦の予定艦名は「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」であったが、建造中止となったため、同日付で改名が決定した就役目前のプロジェクト11435重航空巡洋艦 (旧名トビリシ) の新艦名に「流用」された)。ソ連崩壊後の1992年5月27日、就役済みの3隻と艤装中の1隻は、ソ連邦時代の人名から、帝政ロシア時代の人名に改名された。

本級は出現当初より、その巨体と原子力推進という特異な設計から西側諸国の注目を集めたが、ソ連崩壊後は外洋に出る事も無くなった。1993年春に発表された、ロシア海軍の「艦艇整備10ヵ年計画」のリストからは本級の名前は消えていた。ロシア海軍は本級を早期に退役させる予定であったが、本級が消えるのを惜しむ者は海軍部内及び部外には多く、上述のように計画が発表された5年後、4番艦が就航した。

ソ連崩壊後のロシア海軍においても、21世紀初頭までは4隻全てが艦隊に在籍していた。1番艦は1990年代末期に除籍されそうになったのだが、「重原子力ロケット巡洋艦"アドミラル・ウシャコフ"の修理と復帰の為の慈善基金」が設立され、政治家への働きかけが行われた。その結果ロシアの連邦議会は「待った」を掛け、一転して「除籍は認めず。修理して現役復帰させるべし」という決議が採択されてしまった。1番艦の除籍は撤回されセヴェロドヴィンスク造船所に回航、「修理待ち」状態となった。しかし結局、同艦の修理は行われずに除籍された。

現在、稼動状態に有るのは、4番艦「ピョートル・ヴェリーキイ」のみとなっている。「ピョートル・ヴェリーキイ」は北洋艦隊の旗艦であり、インド海軍と演習を行なったり、ソマリア沖の海賊に対処のために出動するなど、比較的頻繁に活動している。3番艦は、セヴマシュ・プレドプリヤーチェ(北方機械建造会社、第402海軍工廠、セヴェロドヴィンスク市)で改装工事を行っている。この改装は、対艦ミサイル等兵装や電子機器類の換装も含む大規模なものであり、工事完了は2007年の予定である。

2009年ウラジミール・ポポブキン国防副大臣は、ロシア国防省が「アドミラール・ラーザリェフ」と「アドミラール・ナヒーモフ」を近代化改装した上で復帰させることを決定したと述べた[2]

[編集] 兵装と装甲

[編集] 火器兵装

[編集] 電子兵装

  • サイド・グローブ電波探知機×1基
  • ベル・シリーズ電波妨害機×10基
  • ラム・タブ電波妨害機×4基

[編集] 装甲

    • 艦前部「グラニート」対艦ミサイル垂直発射機区画:舷側・喫水線以上100mm、喫水線以下70mm(傾斜装甲)、甲板70mm
    • 艦中央部主戦闘指揮所、戦闘情報所区画、補助蒸気ボイラー区画、原子炉区画:舷側100mm、隔壁及び上部75mm
    • 艦尾ヘリコプター格納庫、航空燃料保管庫、艦載機用弾薬庫、舵区画:舷側70mm、上部50mm

[編集] 同型艦

  • キーロフ(Киров:セルゲイ・ミローノヴィチ・キーロフ:レニングラートソヴィエト議長を務めたソ連の革命家):→アドミラール・ウシャコフ(Адмирал Ушаков:フョードル・フョードロヴィッチ・ウシャコフ海軍大将):
    • 北方艦隊所属。1990年、推進器事故を起こして予備役編入、その後、セヴェロモルスク基地に係留されていたが、1990年代末にセーヴェロドヴィンスク市に回航され、修理を行う予定であったが結局断念。除籍されて、「ピョートル・ヴェリーキイ」の部品取りのためにレイドアップされた[3]。2004年9月、同艦の解体工事が艦船修理工廠「ズヴェズドーチカ」に4,000万ドルで発注されたと伝えられたが、実際には解体工事に着手されず、誤報であった。「アドミラール・ウシャコフ」の名は、2004年6月、ソヴレメンヌイ級駆逐艦「ベスストラーシュヌイ」に受け継がれた。2006年4月12日、セーヴェロドヴィンスク市に係留されたままとなっている本艦に元乗組員が集まり、キーロフの海軍旗掲揚25周年を祝うイベントが開催された。同日、キーロフに再びソ連邦海軍旗が掲揚された。キーロフは、元乗組員と慈善基金により、出来る限りの保守作業が行われている。
  • フルーンゼ(Фрунзе:ミハイル・ヴァシーリイェヴィチ・フルーンゼ:ロシア革命におけるボリシェヴィキーの指導者のひとり):→アドミラール・ラーザリェフ(Адмирал Лазарев:ミハイル・ペトロヴィッチ・ラザリェーフ海軍大将):
    • 太平洋艦隊所属。ソ連崩壊後は、ストレローク(ウラジオストクから南東数十キロに位置する軍事機密都市)市のアルベーク湾埠頭にて係留保管されていた。1993年に小事故を起こした際、原子炉が緊急停止された。原子炉の再起動には、艦隊司令官の許可が必要だったのだが、当時、太平洋艦隊司令部は不祥事が相次いで司令官を初めとする司令部要員が頻繁に交代しており、誰も、そこまで気に掛ける余裕が無かったため、再起動命令が出されないまま時間が過ぎ、現在に至る。原子炉が停止した後、グリーンピースのD.ヘンドラーが同基地のラーザレフを視察し「この艦の原子炉は蒸気発生器が老朽化し、原子炉の再起動手順を知っている専門家が居ないため、原子炉を再起動出来ない」などという見当違いもいいところの結論を下した事があった。2002年12月6日にも小火災を起こしたが、すぐに鎮火された。2004年、ボリショイ・カーメニ市の原潜修理工廠「ズヴェズダー」に回航して最低限の修理を行った後、2005年、再びストレロークに戻された。
4番艦ピョートル・ヴェリーキイ
  • ユーリイ・アンドローポフ(Юрий Андропов:ユーリイ・ヴラジーミロヴィチ・アンドローポフ:ソ連の首相を務めた):→ピョートル・ヴェリーキイ(Петр Великий:ピョートル大帝):
    • 北方艦隊所属。現在、北方艦隊旗艦。2004年3月に「核爆発」騒ぎが有ったが、誤報であった。当時の海軍総司令官クロエドフ元帥が、艦長ウラジミール・カサトーノフ大佐の叔父イーゴリ(元海軍大将、海軍総司令官第一代理)と不仲であったため、「嫌がらせ」にこのようなデマを流したともされる。
  • ロシア(Росси́я:ロシア)
    • 6番艦。計画中止。
  • ジュダーノフ
    • 7番艦。計画中止。
  • スヴェルドロフ
    • 8番艦。計画中止。
  • ジェレスニャコフ
    • 9番艦。計画中止。

[編集] 登場作品

[編集] 脚注

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  1. ^ ソビエト海軍・ロシア海軍では「ミサイル」と「ロケット」は区別されておらず、同義語として扱われており、ロシア語の正式表記では「ロケット○○艦」と表される。
  2. ^ 「海外艦艇ニュース ロシアがキーロフ級CGN 2隻の現役復帰を計画」『世界の艦船』第719集(2010年2月号) 海人社
  3. ^ 「ロシア軍艦の近況 近着のTASS写真から・・・」『世界の艦船』第564集(2000年2月号) 海人社

[編集] 参考文献

  • アンドレイ V.ポルトフ「ソ連/ロシア巡洋艦建造史 第18回」、『世界の艦船』第711集、海人社、2009年9月、 108-115頁頁。
  • アンドレイ V.ポルトフ「ソ連/ロシア巡洋艦建造史 第19回」、『世界の艦船』第712集、海人社、2009年10月、 110-115頁頁。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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