キューバワニ

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キューバワニ
キューバワニ
キューバワニ Crocodylus rhombifer
保全状況評価[1][2]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: ワニ目 Crocodilia
: クロコダイル科 Crocodylidae
: クロコダイル属 Crocodylus
: キューバワニ C. rhombifer
学名
Crocodylus rhombifer Cuvier1807
英名
Cuban crocodile
分布

キューバワニ(玖瑪鰐、Crocodylus rhombifer)はクロコダイル属に分類されるワニの一種。

分布[編集]

キューバ(キューバ島、フベントゥド島[3][4]固有種

形態[編集]

最大全長350cm[3][4]。口吻は細長く、上顎に厚みがある。口吻の基部は菱形状に盛りあがる。下顎第1歯によって上顎の吻端に穴が空かない。眼後部から耳蓋上部には隆起が発達する。頚部に並ぶ鱗(頸鱗板)は4枚で、背鱗板とは離れている。背鱗板は6列で、規則的に並ぶ。体色は黄褐色で、黒い横縞や斑点が入る[3]

虹彩は暗緑褐色[3]。卵は長径7.8cm、短径5.2cm[4]

分類[編集]

クロコダイル属内では原始的な形態を残した種とされる[3]

生態[編集]

性格は非常に攻撃的[5]。 現生ワニ類の中では最も陸を好むワニであり、他のワニ類と同様に時速16km前後でのギャロップが可能なだけでなく、狩りさえも大地を駆けることで行うことがある[6]しかもこれらは、かつてバハマ諸島などに生息した(現在は絶滅している)キューバワニも同様であり、キューバワニ全体に見られる習性と考えられる。獲物は魚、陸ガメのような爬虫類、サギなどの鳥類、それにフチア(カリブ海周辺に生息する齧歯類の1種)といった哺乳類で、もちろん他のワニ類同様に水中からの急襲も行うことがある[7][5]

水辺の砂地に穴を掘って卵を産む[3]

人間との関係[編集]

農業による生息地の破壊などにより生息数が激減している[4]。かつてはキューバ島およびその周辺の島嶼にも分布していたが、現在はキューバ国内の2つの沼のみに生息する[3]。その一方であるキューバ島にあるサパタ沼では本種とアメリカワニを一緒に囲いを設けて保護した結果、本種とアメリカワニの種間雑種が現れ遺伝子汚染が懸念されている[3][4]。そのためサパタ沼内に別の囲いを設け、そこに純粋な本種を隔離して保護している[4]。もう一方のフベントゥド島のラニエル沼では人為的に移入されたメガネカイマンによる幼体の捕食が問題になっている[3][4]

参考文献[編集]

  1. ^ CITES Appendices I, II and III”. 2015年2月21日閲覧。
  2. ^ Targarona, R.R., Soberón, R.R., Cotayo, L. & Tabet, M.A. and Thorbjarnarson, J. (IUCN Crocodile Specialist Group) (1996). "Crocodylus rhombifer". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.3. International Union for Conservation of Nature.
  3. ^ a b c d e f g h i 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社2001年、117、257-258頁。
  4. ^ a b c d e f g 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、159頁。
  5. ^ a b ワイルドライフ「カリブ海の真珠キューバ 巨大ワニが闘い 世界最小の鳥が舞う(NHK:2020)」
  6. ^ The Cuban crocodile (Crocodylus rhombifer) from late Quaternary fossil deposits in the Bahamas and Cayman Islands (Gary S Morgan:2013)
  7. ^ Giant Rat (Cuban Hutia) | Wild Animals - Planet Doc

外部リンク[編集]