校正 (計測)
校正(こうせい、calibration)は、測定器の読み(出力)と、入力または測定の対象となる値との関係を決定付ける作業である。類似した概念である較正(こうせい)についても説明する。
例えば、ある機器に流れる電流について、「ある測定器で測ったら1Aだったのに別な測定器では5Aになる」というならば、それらの測定は用をなさない。校正は、それぞれの測定器の読みのずれを把握し、共通の測定の基盤を作る行為である。
上記の例では、安定的に既知のアンペア数の電流を流すことができるような機器(標準器)を測定することで、個々の測定器の読みが期待する値からどれだけずれているかを知ることができる。この行為が校正であり、校正の結果(ずれている量)を加味することで、測定は適正に行われる。校正の結果は測定器に固有のデータとして保管され、必要に応じて測定などの際に参照されることが多い。
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[編集] トレーサビリティ
標準器による校正を受けた測定器を用いて、適切な対象を測定し、その値付けを行うことによって、別な標準器とすることが可能である。当然、その標準器によって更なる校正を行うことができる。このように校正は、厳密に定義された国家標準などをおおもととし、測定器と標準器とを介して、段階的に連鎖する測定の体系を構築するものである。この校正の連鎖をトレーサビリティと呼ぶ。
詳細は「トレーサビリティ (計測器)」を参照
[編集] 校正と較正
紛らわしいことであるが、普通、校正といったときには調整を伴わない。法令上は、同音で較正という概念があり、そちらの場合には調整も含むこととなっている。また普段には、この較正を校正と書くこともある。
ちなみにわかりやすい例を挙げれば、
- テレビの時報とともに腕時計を見て、「x秒の遅れだ」と認識するとき、このずれを認識する行為は校正である。
- そして几帳面な人ならば、自分の腕時計を調整して時報に合わせるが、こうした調整は校正には含まれない(較正ならば、この調整も含む)。
法令上の行為として行われる校正は計量法に基づくものであり、較正は電波法に基づくものである。こうした違いがどのような由来であるかを端的に説明すると次のとおりである(実際にはそれぞれの手法や対象などが異なっているため、等しく扱うことはできない)。
- 電波法の制定の歴史は古く、おそらく制定された当時は、測定器も単純なつくりであり、「ずれがわかったら、ついでに調整しておこう」と調整が行われていたのではないかと考えられている。この頃に校正といえば、古い用字で「較正」と表記したため、較正には調整が含まれることとなった。
- 時代が下るにつれ、測定器は複雑化し、測定器の中を開いてしまうと製造メーカーの保証が外れてしまうということもあって、精密な測定器の調整は行われることが少なくなっていった(単に時間を経て少しずつずれていく測定器の読みだけが記録され、校正の結果とされることが多くなった)。
- 計量法は比較的新しい法律であるので、調整はそもそも行わなかった。この頃には新しい用字が普通であったから、「校正」と表記することとし、校正の概念には調整が含まれないこととなった。
校正の英訳はキャリブレーション (calibration) が用いられるが、calibration は「調整」(アジャスティング: adjusting)を含むことが多い。
[編集] 表示較正
コンピュータの表示装置であるディスプレイを測定器(モニタ)ととらえ、そこに期待通りに画像が表示されるよう調整することを表示較正、またはモニタ・キャリブレーションと呼ぶ。
通常、輝度・ガンマ・色の調整を指す。CRTモニタの場合には、歪み・アスペクト比・フォーカス・色ずれなどの調整も含み得る。
DTP用途においては、より正確な色再現性を要求されるため、ディスプレイだけでなく、プリンターやイメージスキャナ、デジタルカメラにおいても調整を行う場合があり、これを総称してカラー・キャリブレーションと呼ぶ。
詳細は「カラーマネージメントシステム」を参照
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 各種計測器の校正日本品質保証機構
- 測定器等の較正に関する規則 電子政府利用支援センター
- Howarth, Preben; Redgrave, Fiona; EUROMET; 製品評価技術基盤機構 (2007-05-01), 計量学早わかり(改訂第2版翻訳), Metrology in Short 2009年3月5日閲覧。