キャリッジ

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エカチェリーナ2世が戴冠式で使用した美しく弧を描く金で彩られたコーチ(エルミタージュ美術館)
従者(footmen)と乗馬従者(postillion, outrider)を伴いランドーに乗るジョージ6世エリザベス王妃:1939年カナダ

キャリッジ (carriage [ˈkærɪdʒ]) とは、古フランス語のcariageに由来する言葉で、最も広義には輸送機械・運搬機械全般を意味するが、現代英語での通常の用法では、個人用途で人を運ぶための(旅客用)の4輪車両(主に馬車)を指す。

定義[編集]

乗り心地をよくするためにサスペンションが装備されており、リーフスプリング(板ばね。19世紀になると楕円ばね)、または革ストラップが使われた。洗練された形状をもち、軽量快速のものや大型でよりいっそう快適さを備えたものもある。

これは古くから用いられている狭義定義で、この意味では公共交通用のステージコーチ(stagecoach)、キャラバンク(charabanc)、オムニバス(omnibus)とは異なる。広義ではキャリッジにこれらを含み、通常乗合用途(またしばしば長距離用途)に使用されるもののほか、優雅な王族貴族の用途に用いられたものも(英語文化では)コーチと総称される。コーチに用いられる用語がキャリッジの説明にも用いられることがある。使い方の例:キャリッジの御者はドライバー(driver)である。コーチというキャリッジのドライバーはコーチマン(coachman)とよばれる。キャリッジの説明中コーチの用語が出てくるのはこのような文脈の違いがある。

キャリッジに含まれない馬車[編集]

同じく馬などで牽引される車両でも、サスペンション(ばね、スプリング)を装備しないものは、英国または英語での呼び方でワゴン(wagon)と呼ばれ「キャリッジ」には含まれない。米国のバックボード(buckboard)やコニストガワゴン(Conestoga wagon)やプレーリースクーナー(prairie schooner)と呼ばれる車両もキャリッジには含まれない。ワゴンをベースとした遊戯用車両で「ワゴネット」があり、これは車両全体に座席が設けられていた。

馬車以外のキャリッジ[編集]

「カー(car)」という用語は「車輪のついた乗り物」という意味で、ノルマン朝フランスから14世紀に英国に渡ってきた用語である「car」が「automobile(自動車)」を指すようになったのは1896年からである[1]。carはcarriageと同語源ではあるが、carriageの略ではなくcartに相当する古語にさかのぼる。

ブリテン諸島やコモンウェルス・オブ・ネイションズ(英国連邦)では、鉄道の客車を「レールウェイキャリッジ」という。コーチ (coach)、レールロードカー (railroad car)ともいう。

乳幼児を載せる車輪のついた乗り物乳母車は、米国では「ベビーキャリッジ」とよばれ、また北米以外の英語ではperambulatorプランビュレーター(略pramプラム、)と呼ばれる。

ニューイングランド地方のある地域では、キャリッジとはショッピングキャリッジの略でショッピングカートを意味する。

歴史[編集]

17世紀のクーペ・ド・ガラ(Coupé de Gala):ベルギーブリュッセル王立美術歴史博物館

ケルトの墓に見られるホースカート(horsecart)は、プラットフォームとフレームのつなぎはすでに弾力を持つように吊り下げられて(サスペンション)いた[2]。紀元前1世紀ローマ人ばねのついたワゴンで陸路を移動した[3]。古代市民社会の衰退によりこれらの技術もほとんど消えた。

中世の時代、馬にのって旅行する者は、老人や体の不自由な歩くことのできない者を手伝った。ばねのないカートで整地されていない道をいくことは簡単ではなかった。16世紀になると上流階級では客室が閉じたキャリッジがより広く使われるようになった。1601年からわずかの間だが、英国では、軟弱だという理由により、男がキャリッジに乗ることを禁止する法令が施行されていたこともあった。17世紀になるとよりばねの効いた乗り心地のいい車両が開発された。18世紀中ごろになるとより車両重量は一層軽量化され、また装飾が施され優雅な名前がつけられた車両が競い合うように開発された。馬車メーカー(コーチビルダー)ではウッドカービンググライダーペインターラッカーワーカーグレイザーアップホルスタラーといった職工が働き、冠婚葬祭等の家庭用途としてステータスあるコーチや、軽量で見栄えがよく快速で快適な乗ってよし飾ってよしの車両なども製造していた。

英国やフランスのコーチには、コーチボックスという前方の高いところに置かれた御者台にコーチマンとよばれる御者[4]が座って運転した。スペインでは御者は車両側に乗らず古くから変わらずに引き馬の中の一匹に乗り馬を御していた。1939年にカナダでおこなわれたパレードの画像でこの様子が見ることができる。

1860年代になると、金持ちの欧州人が長距離旅行に自身の所有するポストコーチ(郵便馬車)を使うことはほとんどなくなった。鉄道による一等レールウェイキャリッジ(鉄道キャリッジ)のほうが新しく速くかったからである。さらに1890年には自動車が登場する。このころには馬車を御するというコーチング("coaching")は、英国、米国において上流階級のスポーツとなる。英国、米国ではそれまで専任のコーチマンが運転していたタイプの大型車両の手綱を主人(ジェントルマン)自らがとるようになったのだった。

ウィーンでのレンタル馬車。ランドーの一種、フィアクール(仏fiacre)。観光客を載せて旧市街を巡る。

馬が引いたキャリッジの種類[編集]

大変多くの種類の馬車(馬で引くキャリッジ)が存在する。アーサー・イングラム著「全色刷:馬で引く車両Horse Drawn Vehicles(1760年以降)」では325種がリストされ、それぞれに短い解説がなされている。19世紀初頭まではキャリッジを選ぶということは単に実用的で性能面からのものだけではなく、ステータスをあらわすものであり、そこには流行が反映されていた。キャリッジの種類には以下のものがある。

外部リンク[編集]

参照[編集]

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  1. ^ en:Carriage
  2. ^ Raimund Karl: Überlegungen zum Verkehr in der eisenzeitlichen Keltiké = Deliberations on Traffic in the Ironage Celtic Culture (Dissertation in German, PDF)
  3. ^ Rekonstructions of a Roman travelling waggon and of a waggon from the Hallstadt bronze culture (ドイツ語)
  4. ^ 御者は英語ではドライバーであり、日本語のように馬車は御者、自動車は運転手という使い分けはない。
  • Sallie Walrond, Looking at Carriages
  • Arthur Ingram, Horse Drawn Vehicles since 1760 in Colour, Blanford Press 1977.