キャッシュレジスター

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アンティーク・キャッシュレジスタ

キャッシュレジスターcash register、通常レジと略される)は、主に商店において、商品の販売額を計算、記録する機器。日本語で「金銭登録機」とも呼ばれる。また、小売店内でこの機器が設置され、代金を支払う場所も「レジ」と言う。

本体とともに、売上金を保管するドロワーと呼ばれる引き出しが一体になっている。

基本機能[編集]

商品の売上金額を打鍵すると、その記録としてジャーナルを印字し、内部の計算機にその金額を記録し、一定期間の売上金額を集計して印字する。また、任意の期間で売上をゼロリセットする機能や、マイナス登録する機能を持つ。

レジ用語の「登録」は、文字通り売上(返品)記録をレジスターに「登録」することに由来する。

付加機能[編集]

時代とともに、次のような機能が付加されていった。

顧客向け売上明細書(レシート)発行機能。
レシートを発行するために幅の細長い専用のロール紙(レジペーパー)を用いる。
複数商品登録機能
レジスター内部に、1日の売上集計用と、1件の取引集計用の2つの計算機を持つことで、複数の商品が購入された場合に、レジスターで1件ごとの合計金額を、総売上金額と同時に計算する機能。
部門管理機能
レジスター内部に、更に複数の計算機を内蔵することで、商品をグループ分けし、どのグループの商品がどれぐらい売れたのかを集計し、レポートを印字できる機能。
単品管理機能
部門管理機能を更に強化し、商品ごとの売上を集計し、レポート出力できる機能。更に、商品ごとにあらかじめ単価をレジスターに登録し、商品番号を入力するだけで商品の金額が表示される機能も併せ持つ。
釣銭計算機能
釣銭計算用の計算機を内蔵し、預かり額を打鍵すると、つり銭額が計算され、レシートや取引記録にも印字される機能。つり銭の計算間違いなどによるトラブルを軽減した。
自動釣銭機能
釣銭額を計算するのみならず、釣銭機が投入金額を数えてから、自動的に出してくるもの。計算間違いやレジの不正をなくす効果はあるとされるが、人手よりも遅いことが多く、スキルの高い従業員の向上心を削ぐとして批判もある[1]
割増・割引機能
単品ごと、または合計金額から一定の割合で割増・割引を計算する機能。消費税導入初期ではこの機能を使って消費税を算出できた。
現在は消費税を自動計算し、更に税額を印字、レポートできる機種が標準である。
マクドナルドでの注文メニューが自動的に一番安い価格に再構成される機能もこの一種であると思われる。
ネットワーク機能
スーパーなど、複数のレジスターを設置する場合、1台の親機に複数の子機を接続できる機能。通常、各レジスターごとの売上や、単品管理の単価をすべて親機で管理できる。
POS機能
単品管理機能と、ネットワーク機能を活用することにより、商品単価の変更や、単品ごとの売上をリアルタイムで把握できるようになった。POS(Point Of Salesの略で販売時点管理システムのこと)と呼れ、店舗の営業戦略に積極的に利用されるようになった。
クレジットカード電子マネー処理機能
クレジットカードや電子マネーの処理装置(→信用照会端末)をレジに内蔵しているものもある。決済金額は商品小計金額の内金の範囲内であるため入力ミスが無い、クレジットカードや電子マネーの売上履歴がレジの集計レポートに自動的に反映される、クレジットの信用照会通信にストアコンピュータと同じ専用線を用いておりレスポンスが早いなどのメリットがある。また、レジに決済機能を内蔵せず、外付けしたCATをレジ操作と連動させて、金額の入力ミスを抑制させた形態のパッケージもある。
顧客管理機能
顧客にカードを配布し、その内容を読み取り、店舗の客層や、客層ごとの売上を集計レポートする機能。付随して、販売額に応じて、ポイントを進呈し、一定ポイントがたまると商品と引き換えできるなどのポイントカードシステムにも発展する。
電子ジャーナル機能
売上記録を紙でなく、MOディスクなどの電子媒体に記録する機能。保管場所や紙資源の節約になる。商法の改正により可能になった。
担当者記録機能
レジ担当者名または担当者番号または記号を記録・印字する機能。担当者別の取引集計機能を備えたものもある。
レシート・ジャーナルの印字内容の充実
金額だけの印字から、店名スタンプ自動印字機能、カタカナによる印字機能、更に漢字による印字機能へと向上した。
レシートオートカット
レシートを手で破り切らなくても、取引ごとにレジスター内蔵のカッターで自動的に切りとられる機能。登場当初は、発行されたレシートが散乱する機種もあったが、現在はわざと隅を切り残して散乱を防ぐ「パーシャルカット」方式が主流である。
認証印字機能
ジャーナル・レシートとは別に、伝票に認証印字ができる機能。
コンピュータ取込用登録データ記録機能
集計分析を容易にするため、ジャーナルとは別に、コンピュータが読み取れる形式でデータを記録する機能。パンチテープ、データ記録用カセットテープなどから、現在はSDカードなどの半導体メモリーに進化している。また、NCRは機械式レジスタに、コンピュータに接続された装置で直接読み取れるフォントを開発し、ジャーナルに採用した機種もある。

レジ本来の目的でない付加機能[編集]

領収書発行機能
代金支払い時には通常、レジ本体からレシートが発行されるが、法人購入などで領収書を求められる場合があり、手書きの領収書を書く手間を省くため、商法の領収書要件を満たした領収書を自動的に発行する機能。店舗によっては、、一定金額以上の領収書に義務付けられている、印紙税相当の収入印紙を貼り付ける代わりに、印紙税申告納付承認済みの旨を印字、印紙の貼り付けを省略している。
広告表示印字機能
レシートや顧客用ディスプレイに広告を表示したり印字したりする機能。
出勤退勤管理機能
従業員の勤怠を管理するタイムレコーダー機能を備えたもの。特別画面を呼び出し、当人が自分のID番号を入力して出勤・休憩入り・休憩上がり・退勤の各種別に割り当てられたボタンを押すと登録される。

特殊なレジスター[編集]

Suica対応キヨスク(2009年)
セルフレジ・セルフチェックアウトシステム
スーパーやコンビニ、駅のキヨスクで、客自身が商品を登録し、精算処理を行うレジスター。スーパー向けには、日本NCR「セルフチェックアウトシステム」東芝テック「セルフレジ」などの商品名で販売されている。
セルフ式ガソリンスタンドで客が操作する精算機器も一種のレジスターといえる。
TSUTAYAでは、DVDCDレンタルが顧客自身で手続きできるセルフレジを導入している。
食器のICタグを読み取り、お盆ごとセンサーに乗せるだけで合計金額が算出される食堂向けセルフレジ。社員食堂などでは決済に電子マネープリペイドカードなどを使い、完全にセルフ化しているものも少なくない。一部の割引きが計算されないなどの制限がある。
ハンディレジスター
小型端末にレジスターの機能を搭載したもの。ブティックなどで、店員がレジと客との間を何回も往復することが無くなる。また、車内販売やライブ・イベント物販での導入例もある。
レストラン向けレジ
シートキーを採用し、メニュー名の書かれたシートキーを押すと、ワンタッチで商品名や価格が登録される。
発展形として、あらかじめテーブル番号や伝票番号ごとに、注文された商品を登録しておくと、会計時にテーブル番号や伝票番号を入力するだけで合計が計算できるレジスターもあり、さらにオーダリングシステムと連動し、レジへの商品登録が自動的に行われるものもある。
医療機関向けレジスター
診療報酬点数と健康保険種別の打鍵で診察料が計算できるレジスター。法律の改正により、診療報酬の明細を記載した領収書の発行が医療機関に義務付けられたため、これら明細をレシートとして発行できるレジスターも発売されている。なおレセプトコンピュータを導入する病院・診療所も多いが、金銭収受登録機として汎用レジスターを併用している病院・診療所もある。
時間料金計算機能付きレジ
駐車場ネットカフェなど、時間制料金施設向けのレジスター。利用開始時間などを入力すると、利用時間と利用時間帯や条件(駐車場なら車種、ネットカフェならブース種類など)を元に料金を自動計算する。利用開始時間を記した受付券を発行する機能もある。駐車場向けには、磁気ストライプ入り駐車券を読取り、入庫時刻を入力しなくても料金計算できる機種もある。日本国内における駐車場向けレジ市場では、駐車場管理システム大手のアマノ(過去には製品名「タイムレジ」を使用していた)や三菱プレシジョンのシェアが高い。
その他
食券などチケット発行機能を持つレジスター
駅精算券発行機 レジスター型の端末だが、ドロワーがないなどの特徴がある。レシート型の精算券を発行できる。神鋼電機(現シンフォニアテクノロジー)が専用機を発売していたが汎用型レジスターを使用している駅もある。

技術の進化[編集]

駆動部
ハンドル操作などの手動式から電気モーターと機械式計算機を組み合わせた電動式、半導体計算機を使った電子式に進化した。外観はレジスターの形をしているが、中身はWindowsなどのOSを搭載したパソコンにレジソフトを搭載した機種も、POSシステム用に多用されている。
印字部
長らく活字によるものから、ドットインパクト方式のプリンタを搭載し、部門名や商品名、案内を英数字とカタカナで印字できるようになり、感熱紙を用いたサーマルラインプリンタに進化した。サーマルラインプリンタは日本における漢字など複雑な文字を使用する国で多用されるが、英語を使用するアメリカなど、今でもドットインパクト式プリンターが多用されている国もある。
表示部
当初はジャーナル印字が表示を兼ねていた。その後、機械式の表示器が備えられたものが登場し、電子レジスターではニキシー管式、7デジットデジタル表示式(プラズマ式、光電管式、液晶式など多種多様)に進化した。カタカナ・漢字が表示できるものもあり、液晶ディスプレイを搭載する機種もある。顧客側から金額が確認できる表示器を搭載したものもある。電子式では、自由に角度が調整できる表示器が搭載されたものが多い。電子式では、操作者の表示器には表示されるが、顧客側には不要な表示されないようになっており、分かりやすさと情報漏えい防止対策がなされている。

レジスターに関連すること[編集]

レジカウンター
スーパーマーケット量販店など、レジスターが何台か集中設置されている場所(カウンター)を、特にこう呼ぶことがある。
レジ袋
主にスーパーマーケットなどで、会計後に渡されるポリエチレン製などの袋は、通称としてレジ袋と呼ばれることが多い(正式名称ではない)。この袋は、支払いを済ませた証拠となるとともに、客が商品を持って帰りやすくするサービスとして提供されてきた。しかし、環境問題もあり、袋を有料化したり、マイバッグの持参を呼びかけるスーパーが増加している。
レジ横商品
レジ周辺は会計を待つ客が停滞する時間が長いので、手に取りやすい商品を配置する重要な場となっている。
札勘
札勘定の略。お札を数えること。縦勘(縦読み)、横勘(横読み)がある。

脚注[編集]

  1. ^ 『読売新聞』2009年10月25日、朝刊11面。

関連項目[編集]

海外メーカー
国内メーカー

外部リンク[編集]