ガンドレス

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ガンドレスGUNDRESS)は、天沢彰原作の日韓合作アニメ映画1999年3月20日日活配給で東映洋画系の劇場42館で公開された。

目次

[編集] ストーリー

西暦2100年。ヨコハマ・ベイサイドシティは2度の震災から驚異的に復興し、今や高度な自治権を有する国際都市として、首都・東京を上回る繁栄を謳歌していた。しかし、繁栄の陰に犯罪はつきもので、テロリストたちによる凶悪犯罪の多発によって、治安は悪化し、市長もまたテロリストの凶弾に倒れる。新たに市長に就任したウォン=ハイクは、元市警SWAT部隊隊長で現・市長補佐官のゴウマンに新たな治安維持部隊の創設を命じる。ゴウマンは警察学校での教え子、タカコ・ホウライジに新たな警備会社の創設を依頼し、タカコは異能の美少女たちを集めたエンジェル・アームズ社を創設する。エンジェル・アームズ社のメンバーは最新式のパワードスーツランドメイドに身を包み、テロリストに立ち向かっていく。

ある日、エンジェル・アームズ社は密輸組織の頭目を捕らえるが、彼は身柄の安全の保障と引き換えに取引相手の名前を教えるという取引を市長に持ちかける。市長はその取引に応じ、エンジェル・アームズ社が頭目の身辺警護を勤めることになる。やがて、頭目の命を狙って新たなテロリスト集団が現れるが、そのリーダー、ジャン=リュック・スキナーこそ、エンジェル・アームズ社のメンバー、アリサ・タカクラの元恋人で既に爆死したと思われていた人物であった。

「アリサは元恋人の情にほだされて、自分たちを裏切るのでは?」エンジェル・アームズ社のメンバーの中で動揺が広がる中、アリサはテロリストに捕らえられる。そして、アリサの前にかつての恋人、ジャン=リュックが現れ・・・

[編集] 作品概要

題名のガンドレスは、銃(GUN)をドレス(DRESS)のように身にまとっているというエンジェル・アームズ社のメンバーたちを表現した言葉である。この言葉通り「美少女と銃器・メカアクションの組み合わせ」が基本コンセプトとなっており、そうした作風を得意とする士郎正宗がキャラクター・メカデザイン原案で参加している(デザイン画は画集『イントロンデポ4 バレッツ』に収録されている。コメントによると元々はロールプレイングゲーム用企画だったらしい)。

ストーリーは小説版(全3巻、後述)の外伝的要素が強く、映画単体ではよくわからないという評価もあった。

またORCA原作・沖一作画で、このベイサイドシティを舞台にした「壊し屋HUMMER」というガンドレスの主人公達と同じようにランドメイトを操るバウンサーが主人公の作品がアスキーコミックで連載されており、「壊し屋HUMMER」のスピンオフ作品とする意見もある。

[編集] 未完成での公開

日活、東映、パナソニックデジタルコンテンツイヨンズコーポレーションインナーブレインスターフィッシュの4社による製作委員会方式により製作され、幹事会社は日活であった[1]。4億円の予算があり、アニメの製作はサンクチュアリが請け負い、サンクチュアリからはさらにスタジオジュニオに2億円に満たない額で制作が丸投げされた[2]。しかし製作管理が破綻し完成が間に合わず、大部分が未完成の状態で劇場公開された。このため、当日の舞台挨拶はなくなり[3]、前売り券は返金に応じ、観客には事情を説明して納得した上で入場してもらい、また後日完全版のビデオを送付するなどの措置が取られた[4]。ビデオを送る人数は7000人だったという[1]

アニメ映画では、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』や『火垂るの墓』などが、本作以前に一部未完成のまま上映された例はあったが、大半が未完成というものはなかった。興行を行なう東映は、公開日の2日前の3月18日の初号試写の段階になってこの事態を把握し、上映中止による混乱を鑑みて未完成の状態のままでの配給を決定したのだという[1]。 人物全体が一色で塗られていたり、制作者の指紋が画面に残っていたり、動画の不足のために登場人物が何度も同じ動作を繰り返したりと、全くの未完成品であった。公開初日に新聞紙上で珍事と書かれて話題となり、未完成の度合いを見るために劇場に見に行った人もいた。関西の劇場ではビデオカメラで画面を撮影する人物までいたという[1]

ビデオ化は東映ビデオが辞退し[1]、DVD版は日活から販売されたが、劇場公開版が特典としてそのまま収録されている(一部カットされた箇所があるためマルチアングルは採用されていない)。DVDでは「世紀末、日本アニメ業界を慄然とさせた伝説のANIMATION MOVIE」と謳われている。

当時『新世紀エヴァンゲリオン』のヒットに便乗して、テレビアニメやアニメ映画が量産され、『ロスト・ユニバース』の第4話「ヤシガニ屠る」のように、絵の質の低さや、大幅な動画不足といったトラブルが多発していた。また、本作上映の不始末を、顧客を無視した企業の利益優先主義がもたらした帰結として、東映の労働組合である全東映労連が問題として取り上げたこともある[1]

パッケージソフト化や衛星放送など二次利用のため[1]、上映後も完成のための作業が続けられ、完成版は2000年4月29日から東京の上野スタームービーで2週間上映された。完成にはさらに1億円の予算がかかったと言われる。この未完成事件で東映は日活に、日活はサンクチュアリに、サンクチュアリはスタジオジュニオに損害賠償を求めた[5]。制作を請け負ったスタジオジュニオは、1997年テレビアニメ白鯨伝説』でもたびたび放映中断を起こしたが、ガンドレスで損害賠償請求をされたこともあり、ついには活動停止してしまった。

[編集] キャラクター

エンジェル・アームズ社メンバー。21歳。かつて、テロリスト・グループ「セクンダティ」に属したが、セクンダティ壊滅後、更正してエンジェル・アームズ社に加わる。無愛想な性格で、他のメンバーから浮いている。
エンジェル・アームズ社メンバー。18歳。高麗共和国(朝鮮半島の統一国家か?)陸軍出身のテコンドーの使い手。直情径行型の性格。
エンジェル・アームズ社メンバー。18歳。日本出身だが、アメリカで教育を受け、アメリカで警察官となる。しかし、とある事件のために警察官をやめ、エンジェル・アームズ社に加わる。射撃の達人。
エンジェル・アームズ社メンバー。16歳。フランス出身。世界的な学者を両親に持つ天才。14歳で博士号を取得する。バックアップおよび情報分析担当。
エンジェル・アームズ社メンバー。19歳。沖縄県出身だが、なぜか関西弁を話す。空手の達人で、ストリートファイトで勝ち抜いているところをタカコにスカウトされる。
エンジェル・アームズ社オーナー。25歳。かつての市警本部長の娘で、父親の殉職を期に警察官を志す。警察学校時代の恩師・ゴウマンの要請でエンジェル・アームズ社を創設する。
ベイサイドシティ市長補佐官。元市警SWAT部隊隊長。警察官出身らしく堅物な性格。市長の信頼は厚い。
テロリストグループのリーダー。アリ・ジャイーブ・ハッサンの命を狙う。セクンダティ時代はアリサの恋人だった。セクンダティ壊滅時に爆死したと思われていたが・・・?
  • アリ・ジャイーブ・ハッサン:稲葉実
密輸組織の頭目。身柄の安全の保障と引き換えに、取引相手の情報をもらす。
ベイサイドシティ市警刑事。エンジェル・アームズ社のメンバーたちとは対立することが多いが、いざという時には協力する。
アリ・ジャイーブの弟。アラブ街に住む。兄とは対照的に生真面目な性格で堅気の生活を送る。
ベイサイドシティ市長。市の治安維持に力を入れる。なかなかのやり手で世界各国の首脳とも対等に渡り合う。

[編集] 登場メカ

  • ランドメイト
    • ドルチェ
    • 金剛(クムガン)
    • ノクトゥール
    • トリュフ・アン
    • 南武(ナンブ)
    • ケルベロス

[編集] スタッフ

  • 製作:中村雅哉、李于錫、浅川武彦、高野輝隆、川野真寛
  • プロデューサー:藤家和正、吉田達
  • ゼネラルマネージャー:長島正治
  • アニメーションプロデューサー:野口義晃、香西隆男
  • 制作担当:渡辺武文
  • 演出:寿二郎、春日梢、飯野洋子
  • キャラクターデザイン:青木哲朗、岩井優器
  • 総作画監督:山田たろう
  • 作画監督:土屋幹夫、丸英夫、奥村まさひこ
  • 演出助手:溝口雅彦
  • 脚本ORCA、伊藤健太郎、坂井淳一、勝家和正
  • 設定協力:士郎正宗
  • 撮影:ACCプロダクション
  • 音楽:富永豊
  • 音楽プロデューサー:青沼明人
  • 音楽選曲:合田豊
  • 美術設定:加藤浩、平沢晃弘、塩澤良憲
  • 美術:宮前光春
  • 音響監督:伊達渉
  • 音響演出:谷田部勝義
  • 録音:荒井孝、池田裕貴
  • 音響プロデューサー:中野徹
  • 整音:安藤邦男
  • レコーディスト:中野明
  • 編集:井上和夫
  • 監督谷田部勝義
  • 製作:ガンドレス製作委員会(日活、パナソニックデジタルコンテンツ、イヨンズコーポレーション、インナーブレイン、スターフィッシュ)

[編集] 小説版

電撃文庫から天沢彰著で「ガンドレス」全3巻および、堀慎二郎・天沢彰共著で「ガンドレス・ザ・ムービー」が刊行されている。

[編集] 脚注

  1. ^ a b c d e f g 全東映労連旧公式Webサイト 「全東映労連第35回定期大会議案書オンライン」 (Internet Archiveのキャッシュ)
  2. ^ 多田信『これがアニメビジネスだ』廣済堂、2002年、p64。
  3. ^読売新聞』1999年3月19日号夕刊『ガンドレス』広告
  4. ^朝日新聞』1999年3月20日号
  5. ^ 多田信『これがアニメビジネスだ』廣済堂、2002年、p65。
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