ガメラ対深海怪獣ジグラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ガメラ対深海怪獣ジグラ
Gamera vs. Zigra
監督 湯浅憲明
脚本 高橋二三
製作 永田秀雅
出演者 坂上也寸志
グロリア・ゾーナ
八並映子
佐伯勇
アーリン・ゾーナ
坪内ミキ子
藤山浩二
夏木章
音楽 菊池俊輔
主題歌 「ガメラマーチ」
大映児童合唱団
撮影 上原明(本編)
藤井和文(特撮)
編集 宮崎善行
製作会社 大映
配給 ダイニチ映配
公開 日本の旗 日本 1971年7月17日
上映時間 88分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 ガメラ対大魔獣ジャイガー
次作 宇宙怪獣ガメラ
テンプレートを表示

ガメラ対深海怪獣ジグラ』(ガメラたいしんかいかいじゅうジグラ)は、大映東京撮影所が製作し、ダイニチ映配の配給で1971年(昭和46年)7月17日に公開された日本の特撮映画。「ガメラシリーズ」の第7作。カラー、大映スコープ、88分。

同時上映は『赤胴鈴之助 三つ目の鳥人』(1958年3月11日公開作品のリバイバル上映)。


ストーリー[編集]

「鴨川シーワールド」で全編ロケが行われた

世界各地で謎の大型地震が発生。その一方、「鴨川シーワールド」で休暇中の洋介、トムの科学者2人と、その子供、健一とヘレンが宇宙船に誘拐される。助けに来たガメラによって宇宙船を壊された宇宙人は、水圧の違いから巨大化してしまい、地球を植民地化することで復讐を図る。

巨大化後は水中戦でガメラを翻弄、陸上戦ではオレンジ光線でガメラを仮死状態にして勝利したジグラは、ガメラを調査しにきた科学者親子の潜航艇を捕獲、乗組員を人質に人類に降伏を迫るが拒否された。一度はジグラに敗れ、海上に足だけを出して仮死状態となったガメラだが、落雷の電気ショックで復活。水中戦の後、ジグラを苦手な地上に引き上げ、鴨川シーワールド周辺で繰り広げられた戦いの末に、ついにジグラのオレンジ光線を封じ、この強敵を火炎放射で焼き殺すのだった。

概要[編集]

吉田義夫扮する老人が登場する一場面は、千葉鴨川沖の仁右衛門島でロケされた

前作『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(1970年)に続き、予算の増額が行われた作品。経営不振の渦中にあった当時の大映の作品にあって、まずまずの興行成績を記録。次回作の企画も出たものの、その年、大映が倒産したため、結果として旧大映のガメラシリーズとしては最後の作品となってしまった。湯浅監督は大映倒産の報を聞いた後、1人倉庫に籠り、くやしさのあまりに周り一切を叩き壊したという。

本作では海底での特撮描写が多く、通常は手前に水槽を置いて特撮セットを組むが、湯浅監督によると本作ではセットの上部分にも水槽を置き、海底の雰囲気を出したという。

タイアップ・ロケをした鴨川シーワールドの精巧なミニチュアセットが組まれたが、壊すわけにもいかず、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(1968年)にも似た、スケール感の乏しい戦いとなってしまった。一方で、当時の「大映ハレンチ青春路線」の新スター、八並映子の起用によって、従来の大映特撮映画と比べて乏しかったお色気部分がパワーアップしている。八並演じる「菅原ちか子」がビキニの水着で登場するのは、湯浅監督によると「お父さんへのサービス」。群衆の避難シーンは、大映東京撮影所そばの京王多摩川駅でロケされた。この駅は、普段大映撮影所の所員が通勤に使っていた馴染みの駅だった。

登場キャラクター[編集]

ガメラ[編集]

ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年)で新調され、『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(1970年)で頭をすげ替えたぬいぐるみを補修したもの。

深海怪獣 ジグラ[編集]

  • 身長:80メートル
  • 体重:75トン
  • 出身:天体ナンバー105系宇宙の第4惑星ジグラ星

自身と一体化したような宇宙船に乗って来た魚型の知的生命体で、目的は環境汚染が進んだ自星を捨て地球に移り住むこと。密かに地球に進入し、世界各地に関東大震災以上の大型地震を引き起こさせ、次々に壊滅に追い込んで行った。途中で近くにやってきた子供達を誘拐するも助けに来たガメラに宇宙船が破壊されたため、水圧の影響で巨大な姿に変貌する。武器は頭部の単眼から撃つ赤い破壊熱線や物質を移動させる緑色の光線(転移四次元光線)、細胞組織を停止させる「オレンヂ光線」(仮死光線)で、地上では尻びれや尾ひれで身体を支えて直立が可能だが水中のような機敏な動きは出来ない。

ガメラとの対戦においては、水中戦では自身の水中での高機動性と頭の刃を利用してガメラを圧倒する。地上戦では第1回戦ではガメラを仮死光線で戦闘不能に成功する。しかし、第2回戦ではガメラに空中に連れて行かれ、空圧で単眼を破壊された後、大岩が鼻先に刺さったために身動きが取れなくなり、ガメラに背びれで演奏された直後に火炎放射で痕跡を残して焼死する。

ジグラやX1号の催眠術と洗脳術はイルカクジラが障害物や獲物を捕らえる際に発する超音波に近いものらしく、催眠術にかかった対象は壁にぶつかることなく移動できるという特徴がある。また、医師の研究の結果、自衛隊の短波無線機等による別の音波による妨害で催眠術から解放できることが判明し、実際に健一とヘレンの父2人とX1号(菅原ちか子)がこれで催眠術と洗脳から解放されている。

デザインは矢野友久、造型はガメラとともにエキスプロが担当。人間が立って入るものと、操演用の魚形態の二つが造られた[1]。エキスプロの前沢範は、左右で目玉の位置がずれた状態でジグラの頭を造型してしまったが、「このほうが目玉を動かす仕掛けを仕込みやすい」とメカニック担当のスタッフに言われたそうである。

声は声優(担当不明)のセリフのテープ速度を落として使用。しゃべる際は単眼を明滅させる。

ジグラのデザインモチーフは深海魚のミツクリザメである

背びれにはなぜか音階があり、ガメラがその背びれを叩いてテーマ曲を演奏している。デザインのモチーフはミツクリザメという深海性のサメ[2]。操演用のミニチュアはバショウカジキも髣髴とさせるものとなっている。

公開当時の映画館用スチールには、海に落とした人間を次々に飲み込んでいる合成写真があったが、劇中ではこういった描写は見られない。餌食になる人間の写真素材は過去作品から採られていて、『対バルゴン』の江波杏子がジグラに食べられているものもあった。

宇宙怪獣ガメラ』(1980年)に、宇宙海賊の手先という設定となり、ライブフィルムで登場。ガメラがジグラの背びれで「ガメラマーチ」を演奏する本作のシーンは、新作のテーマ曲に差し替えられた。蕪木版ノベライズ本『ともだち 小さき勇者たち 〜ガメラ〜』には「Gジグラ」が登場する。

ジグラ円盤[編集]

ジグラが地球攻略のために乗って来た宇宙船。デザインはジグラの頭部をモチーフにしている。人類の月面基地を壊滅させ、その後地球に飛来した。地震を誘発する特殊光線によって、地球の各地に壊滅的な被害を与えた。地球侵入後に房総半島沖に潜むが、ガメラの攻撃によって破壊された。

コントロール室の天井付近から、常に巨大なジグラの顔が覗いており、X1号に指令を下す。X1号は月面基地で捕縛した地球人だが、他に乗組員らしき姿は見えない。

撮影には上部に発光ギミックを仕込んだ、3尺大のミニチュアモデルが使用された。劇中メカでは、他に月面探検車の模型が作られた。

X1号[編集]

ジグラ円盤内にいた女性工作員。人間を昏睡させる催眠術を得意としている。健一とヘレン親子を海で円盤に誘拐し、健一とヘレンの父を催眠術で昏睡状態にする。その後、父親と共に地上へ逃げた健一とヘレンを追って鴨川シーワールドに派遣され、諜報活動を行う。その正体は、ジグラ円盤が地球に来る前に襲った月面基地職員、菅原ちか子をジグラが拉致し、洗脳したものであり、シーワールドで健一とヘレンを大追跡の末に捕えることに成功するも、直後に催眠術から解放された健一の父が短波無線器を使ったことで洗脳から解放される。

ジグラに操られた菅原ちか子の来ている宇宙服は、『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年)に登場した宇宙人の服に似ているが、湯浅監督は「別物です。衣装にはそんなに予算はかかりませんからね」とコメントしている。この宇宙服は、本作の翌年に東洋エージェンシーとひろみプロダクションが制作し、エキスプロが特撮を担当したTV番組『サンダーマスク』(日本テレビ)での劇中衣装に流用されている。

キャスト[編集]

  • 石川健一:坂上也寸志[3]
  • ヘレン・ウォレス:グロリア・ゾーナ
  • 女性X(日本月世界基地研究員・菅原ちか子):八並映子
  • 石川洋介(国際海洋動物研究所員、健一の父):佐伯勇
  • マージ・ウォレス(ヘレンの姉):アーリン・ゾーナ
  • 石川弘子(健一の母):坪内ミキ子
  • トム・ウォレス(国際海洋動物研究所員、ヘレンの父):藤山浩二[4]
  • 石川れい子(洋介の妹、女子大生):笠原玲子
  • 老人:吉田義夫
  • 山田安吾(鴨川シーワールド飼育係):三夏伸
  • 防衛軍総司令官:九段吾郎
  • 防衛軍副官:井上大吾
  • 小川正作(ホテル支配人):喜多大八
  • 記者:中原健
  • 沢本博士:夏木章

スタッフ[編集]

  • 監督:湯浅憲明(本編・特撮とも)
  • 製作:永田秀雅
  • 企画:斉藤米二郎
  • 脚本:高橋二三
  • 音楽:菊池俊輔
  • 撮影:上原明
  • 録音:奥山秀夫
  • 照明:久保江平八
  • 美術:矢野友久
  • 編集:宮崎善行
  • スチール:沓掛恒一
  • 助監督:明瀬正美
  • 製作主任:真鍋義彦
特撮班
  • 特殊撮影:藤井和文
  • 特殊合成:金子友三
  • 照明:藤野慎一
  • 美術:石塚章隆
  • 操演:恵利川秀雄
  • 助監督:阿部志馬
  • 音響効果:小島明
  • 怪獣造形:エキスプロダクション
  • 協力:鴨川シーワールド

映像ソフト化[編集]

  • レーザーディスク
    1986年発売。
  • ビデオ
    1991年発売。
  • DVD
    2001年11月28日発売の「ガメラTHE BOX(1969-1980)」に収録されており、単品版も同時発売[5]。トールケース版は2007年10月26日発売。2006年8月31日発売の「ガメラ 生誕40周年記念Z計画 DVD-BOX」に収録されている。
  • Blu-ray
    BDは2009年7月24日発売の「昭和ガメラ ブルーレイBOXII」に収録されており、単品版も同時発売。

幻の次回作『ガメラ対双頭怪獣W』[編集]

湯浅監督らガメラシリーズのスタッフは本作のあと、『ガメラ対双頭怪獣W』と仮題する次回作の企画準備を進めていた。原案は高橋二三、登場怪獣「W」のデザインは井上章が担当した。

この企画は1991年に大映から発売されたレーザーディスク『ガメラ永久保存化計画』の映像特典として再び高橋・井上両スタッフによってミニチュアとイラストによるシミュレーション映像が組まれた。この企画で、怪獣「W」はコブラのような双頭の「ガラシャープ」と命名され、『ガメラ対大邪獣ガラシャープ』と題名がつけられた。湯浅憲明が監修に就き、ガメラシリーズスタッフによるこの映像企画の収録時には、マスコミ取材も殺到したという。

脚注[編集]

  1. ^ 石井博士ほか 『日本特撮・幻想映画全集』 勁文社、1997年、222頁。ISBN 4766927060
  2. ^ 『強いぞ! ガメラ』(徳間出版)
  3. ^ 坂上忍の実兄である。
  4. ^ ガメラ対宇宙怪獣バイラス』では自衛隊の司令官を演じていたが、本作では外人を演じた。
  5. ^ 「綴込特別付録 宇宙船 YEAR BOOK 2002」、『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ2002年5月1日、 170頁、 雑誌コード:01843-05。

参考文献[編集]

  • 『ガメラ大怪獣図鑑』(徳間書店)
  • 『雑誌宇宙船VOL13』(朝日ソノラマ)
  • 『ガメラクロニクル』(ソニーマガジン)
  • 『怪獣とヒーローを創った男たち』(辰巳出版)
  • 『ガメラを創った男』(アスペクト)
  • 『大怪獣ガメラ秘蔵写真集』(徳間書店)
  • 『強いぞガメラ!』(徳間書店)
  • 『ガメラから大魔神まで 大映特撮映画のすべて』(近代映画社)

外部リンク[編集]