カーリヤ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
蛇王カーリヤの頭上で踊るクリシュナ 10世紀 南インド ニューデリー国立美術館収蔵

カーリヤKaliya)は、インド神話の英雄クリシュナに退治された、猛毒を持つナーガラージャ(蛇の王)の名。聖仙カシュヤパヴィナターの間に生まれた最初のナーガで、全てのナーガの中で最年長者であるとされる。ヤムナー川に一族とともに棲んでいたが、カーリヤの猛毒は川の水を煮えたぎらせ、毒気を含んだ熱風を起こした。そのため付近の植物は枯れ、鳥獣は死んだという。

バーガヴァタ・プラーナ』によると、あるときクリシュナはヤムナー川にやってきた牛飼いたちが毒に倒れるのを見てカーリヤに戦いを挑んだ。カーリヤは長い胴体でクリシュナを絞め殺そうとしたが、体の大きさを自在に変化できるクリシュナは自分の体を大きくしていったので、カーリヤは体がちぎれそうになってクリシュナを放した。なおも攻撃を仕掛けようとすると、クリシュナはカーリヤの頭に飛び上がって踊りだした。自らの体内に宇宙を持つクリシュナの重さは半端ではなく、カーリヤはその重さに耐えかねて血を吐き、悶絶した。しかしカーリヤの妃が命乞いしたので、許されて、ヤムナー川を去り、海中のマラナカ島に移住することを命じられた。こうしてヤムナー川の水は清浄になったという。またカーリヤの頭にはクリシュナの足跡が残りクリシュナの加護の証となった。そして以後カーリヤの一族には皆頭に足跡の印が現れ、この印の加護によりナーガの天敵であるガルダでさえこの一族には手出し出来なかったという。

この話はインド美術の定番の1つとなり、カーリヤの頭上で踊るクリシュナの像が好んでつくられた。クリシュナは主に左足でカーリヤの鎌首を踏み、左手でカーリヤの尾をつかんでいる。カーリヤはクリシュナの足の下で合掌したナーガの姿か、あるいは多頭のコブラで表される。