カルバリル

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カルバリル
識別情報
CAS登録番号 63-25-2 チェック
ChemSpider 5899 チェック
UNII R890C8J3N1 チェック
EINECS 200-555-0
国連番号 2757
RTECS番号 FC5950000
特性
化学式 C12H11NO2
モル質量 201.22 g/mol
外観 無色透明な固体
密度 1.2 g/cm3
融点

142 °C

沸点

沸点に達する前に分解

への溶解度 微溶
危険性
MSDS ICSC 0121
EU分類 Carc. Cat. 3
Harmful (Xn)
Dangerous for the environment (N)
EU Index 006-011-00-7
Rフレーズ R20/22, R40, R50
Sフレーズ (S2), S22, S24, S36/37, S46, S61
引火点 193–202 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

カルバリル: Carbaryl, NAC)は、可逆性コリンエステラーゼ阻害剤カーバメイト殺虫剤の一種で、農薬動物用医薬品として用いられる。

用途[編集]

農業用として、稲のツマグロヨコバイやウンカ、果樹・花卉のアブラムシハマキムシ、野菜のヨトウムシアオムシ、未成熟トウモロコシアワノメイガリンゴの摘果に有効。商品名としてはデナポン、セビモールやナック、複合剤はグリーンベイトやホクトップ、ヤマセットのほか「ナック」とつく製剤が多数有る。アメリカのユニオンカーバイド社が開発し、日本では1959年3月30日に農薬登録を受けた。かつては松くい虫被害対策特別措置法により空中散布されていたが、1997年よりメーカーの自主規制で散布が中止されている。1999年時点で原体輸入量300トン、製剤が1,178トン生産されていた。輸入量は減少傾向にあり原体輸入量は190.0t(16 年度)、90.0t(17 年度)、50.0t(18 年度)と推移している。残留基準は小松菜春菊で10ppm大麦トマトで5ppm、玄米キャベツで1.0ppmと定められている[1]動物用医薬品としては、使用禁止期間を遵守した上で、殺虫用として肉牛などの外皮に散布される[2]

有害性[編集]

可燃性であり、燃焼や加熱により窒素酸化物などの有害なフュームを生じる。吸入や経口摂取により嘔吐、縮瞳、筋痙直、唾液分泌過多などの症状を生じる。空気中の窒素化合物や人の体内の亜硝酸化合物と反応して生じるニトロソカルバリルは変異原性や発癌性があるとされている[3]。環境への影響として、横浜国立大学の研究者は水中のカルバリル濃度が35ppm程度でもメダカのふ化を妨げると報告している[3]インドボパール化学工場事故で多数の死傷者を生じたのは、カルバリルの製造中間体であるイソシアン酸メチルが混水により発熱・気化したことが原因とされている。

脚注[編集]

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外部リンク[編集]

参考文献[編集]

  • 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著 『農薬毒性の事典 改訂版』 三省堂、2002年ISBN 978-4385356044