カミソリウオ科

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カミソリウオ科
ニシキフウライウオ Solenostomus paradoxus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: トゲウオ目 Gasterosteiformes
亜目 : ヨウジウオ亜目 Syngnathoidei
上科 : ヨウジウオ上科 Syngnathoidea
: カミソリウオ科 Solenostomidae
: カミソリウオ属 Solenostomus
英名
Ghost pipefishes
下位分類
本文参照

カミソリウオ科学名Solenostomidae)は、トゲウオ目に所属する魚類の分類群の一つ。カミソリウオ属のみ1属で構成され、カミソリウオニシキフウライウオなど熱帯性の沿岸魚のみ4ないし5種が記載される[1]。科名の由来は、ギリシア語の「solen(パイプ)」と「stoma(口)」から[2]

分布・生態[編集]

カミソリウオ科の魚類はすべて海水魚で、インド太平洋熱帯域を中心に分布する[1]。4-5種からなる小さなグループで、サンゴ礁岩礁、および周辺の砂泥底など沿岸の浅い海で暮らす種類が多い[2]。日本近海にはカミソリウオ・ニシキフウライウオ・ホソフウライウオの3種が生息する[3]

パイプのように細長い(口先)、大きな腹鰭・尾鰭といった独特な形態と鮮やかな色彩が本科魚類の特徴である[3]。食用魚としての価値はほとんどないが、観賞魚として世界各地のアクアリウムで飼育される[2]

本科魚類はあまり活発には遊泳しない底生魚で、サンゴ海藻の間を漂うか、海底で体を休めていることが多い。食性肉食性で、底生性の小型無脊椎動物動物プランクトンを主に捕食する[2]。雌は腹部に変形した腹鰭によって形成された育児嚢をもち、受精卵を保護する習性がある[1]。近縁のヨウジウオ科タツノオトシゴなど)では育児嚢をもつのは雄だが、本科では逆になっている。

形態[編集]

カミソリウオ科の仲間は短く側扁した体型をもち、全身が硬い骨板に覆われる[1]。最大で全長16cmほどの小型魚類で[1]、細長く伸びたと大きな腹鰭・尾鰭を特徴とする[3]ニシキフウライウオSolenostomus paradoxus)は全身を細長い皮弁に覆われる。

背鰭は2つに分かれ、前半部は5本の細長く脆弱な棘条で、後半は17-22本の未分枝軟条で構成され、軟条部の基底は高く盛り上がっている[1]。臀鰭の軟条は背鰭同様に未分枝で、17-22本[1]。腹鰭は大きく背鰭棘条部の反対側に位置し、1棘6軟条[1]。眼窩周囲骨を欠き、椎骨は32-34個[1]

分類[編集]

カミソリウオSolenostomus cyanopterus)。本種はしばしば海藻の断片に擬態した体色をもつ[3]

カミソリウオ科にはNelson(2006)の体系において1属4ないし5種が認められている[1]。本稿では、FishBaseに記載される1属5種についてリストする[2]。本科魚類は形態や色彩の個体差が著しく、の同定には混乱が生じていた[3]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 『Fishes of the World Fourth Edition』 p.312
  2. ^ a b c d e Solenostomidae”. FishBase. 2011年11月6日閲覧。
  3. ^ a b c d e 『日本の海水魚』 pp.172-173

参考文献[編集]

外部リンク[編集]